次世代に品質を紡ぐABCの建材群 Vol.02

進化するExp.J.C. 大地震後の調査でも脱落・損傷例は無し(エービーシー商会)

樹脂製エキスパンションジョイントカバー「アーキウェイブ Eシリーズ」

雪印メグミルク株式会社 磯分内工場 バター棟(壁:EU-300、天井:EU-BT300 アイボリーホワイト)

進化するExp.J.C. 大地震後の調査でも脱落・損傷例は無し。樹脂製エキスパンションジョイントカバー「アーキウェイブ Eシリーズ」

金属製のエキスパンションジョイントカバー(Exp.J.C.)が当たり前のように採用される中、代わる選択肢として存在感を放つ「アーキウェイブ Eシリーズ」。樹脂という素材の特性から、震災による損傷や脱落などの被害を最小限に抑えることができる。またクリアランス内に納まり、内外装の意匠設計を損なうこともない。気密性が高く、耐久性に優れ、建物の長寿命化に貢献する。
エービーシー商会 アルウィトラ・シーリング 販売推進部 販売・技術支援部 アシスタントエンジニア 永田 常浩 氏

 エービーシー商会のExp.J.C.「アーキウェイブ Eシリーズ」は、2006年の発売以来、15年にわたって施工実績を積み上げてきた。既に施工実績は2,000件を超える(表1)。「さらにここ数年、急速に施工実績数が増えています」。同社アルウィトラ・シーリング販売推進部 販売・技術支援部 アシスタントエンジニアの永田常浩氏は話す。

発売開始以降の施工実績数

「もう金属製には戻れない」樹脂ならではのしなやかな強さ

 「アーキウェイブ Eシリーズ」を一度採用した設計者からは、「金属製にはおそらく戻らない」という声がしばしば上がるのだという。リピート率が高い理由は、地震に対するレジリエンス(強くしなやか)さだ。従来、Exp.J.C.には金属製のものが一般的に使われてきた。しかし、地震による複雑な揺れに対応できないことも多く、大きな地震が発生するたびに、損傷や脱落する事例が報告されている。

 これに対し、「アーキウェイブ Eシリーズ」に用いられている素材は、サッシやカーテンウォールなどにも採用される熱可塑性エラストマーである。引っ張りや伸びに優れ、外力に対して全方位に追従する。

 「金属製Exp.J.C.は納まり方やテクスチャにより目立ちやすいです。大きな面幅に表面塗装などで存在感を抑える工夫は可能ですが限界があり、その手間がコストに反映します。『アーキウェイブ Eシリーズ』は、クリアランス内部に納まるコンパクト設計で面幅が最小限。厚みのないフラットな仕上がりになり、目立ちません(図1)。また、柔らかな樹脂の質感は様々な意匠の建物に馴染みます」(永田氏)。

外壁と床の納まりの違い(クリアランス100㎜の場合)
振動台可動実験ムービー

熊本地震・福島県沖地震で損傷と脱落「0(ゼロ)」を実証

 永田氏は2016年4月の熊本地震、2021年2月の福島県沖地震の後、被災状況の分析調査を行なった。

 「熊本では2日間で約20件、福島では約50件の建物を現地営業マンが調査。そのうち『アーキウェイブ Eシリーズ』を採用した建物は3割ほどありましたが、損傷と脱落はありませんでした」と永田氏。一方、金属製Exp.J.C.では、商品同士の取り合い部や、外力が複数の方向に複雑に加わる入隅や出隅のコーナー部に損傷が見られたという。樹脂の特性が発揮されたといえる。

 この結果について、「一般的に、金属製Exp.J.C.で示されている可動性のスペックは直線部が基準。しかし、実際の建物の壁や天井では直線だけでなく、コーナー部もあれば、柱型を巻いた部分もあり、建物・形状の違いにより様々な取り合いがあります。そうした多様で複雑な部位では、特に可動性に優れる『アーキウェイブ Eシリーズ』のメリットが生きます」と永田氏。

 また軽量で柔らかい質感により、万一の脱落時にも二次被害を最小限に抑えられる。

 「実際に、発売以来15年間で東日本大震災をはじめ、いくつもの大地震が発生していますが、これまで採用物件での損傷と脱落はひとつもありません」。この可動性、安全性は大きなメリットだ。耐候性も高く、施工後のメンテナンスの手間も大幅に削減。建物の長寿命化にも貢献する製品だ。

高い気密性は防虫効果も期待 木造にも馴染むマットな色調

 「アーキウェイブ Eシリーズ」の優れた性能のもうひとつは気密性の高さだ。直線部は最大25mまで継ぎ目なし。コーナ一部は特殊溶着による一体成形品で直線部とシームレスに一体化。建具の気密等級のA-4等級以上の性能がある。シビアな気密性が求められる食品や医薬工場などでも「昆虫や粉塵の混入対策に期待できる」と施工実績が増えているという。

 外装、内装と違和感なくコーディネートできるように、カラーバリエーションは5色用意。設計者の声を吸い上げ主張を抑えたトーンに調整。マットな表面仕上げは木造建物とも相性がいい。

 現在、グループ内にあるエービーシー建材研究所での試験、検証を重ねながら商品化を進めており、より一層の改良・開発が進行中だ。省エネ対応型断熱仕様に加え、2018年には同シリーズに床タイプも加わった。さらに免震構造対応の製品も準備しているという。

 金属製Exp.J.C.のウィークポイントや課題を次々にクリアしていく「アーキウェイブ Eシリーズ」。現在のニーズに応えるだけでなく、世の中の常識の先を見通して、商品開発に取り組む同社の姿勢がよく表れている製品だ。

ニーズを超える、開発力がある。
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