株式会社アンドパッド 建設DX 「ANDPAD」が考える産業の未来 - 日経クロステック Special

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「ANDPAD」が考える産業の未来

建設を取り巻くあらゆる情報を共有してDXを実現

施工管理アプリとして急成長を遂げている「ANDPAD」。2021年は、住宅分野にとどまらず、次々に新しい展開を発信し、注目を集めている。目指しているのは、様々な最先端企業との連携が生み出す、現場のDXから経営のDX、そして建設・建築業界のDXだ。取り組みの狙いと、そこからもたらされる変革について、アンドパッドの2人のキーマンに語ってもらった。

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アンドパッド株式会社
代表取締役

稲田 武夫

2016年にリリースされた「ANDPAD」は、現在、利用社数10万社、累計ユーザー数26万人を記録。クラウド型施工管理サービスとしてはトップクラスのアプリとなった。

「これまでニーズに合わせて、いろいろな機能を増やしてきました。近年、専門工事会社など、住宅領域以外の顧客が増えてきたこともあり、21年度後半からは、専門工事分野も視野に入れたバリエーションを追加していく予定です」(アンドパッド代表取締役 稲田武夫氏)。

受発注をペーパーレスに

電子化で労力と時間を削減


そうした動きのひとつが、21年5月に発表された電子受発注システム「ANDPAD受発注」だ。従来、建設・建築業界の受発注では、電話やFAX、紙でのやりとりが中心となっており、見積・発注・請負契約・請求などの業務に多大な労力と時間が割かれていた。

その負担を軽減するため、「ANDPAD受発注」では、受発注全体のフローをデジタル上で完結。建設業法・電子帳簿保存法など関連法令に適合した受発注の管理が可能となる。「ANDPAD」の他サービスとの機能連携強化も順次予定されている。

「BIMと連動させることで、材料の数量を呼び出したスムーズな積算をした後に、実行予算の管理、実際の受発注までシームレスにつなげていくことも検討中です。今後、住宅・非住宅を問わず、BIMの活用は進んでいきます。『ANDPAD』も現場の管理だけでなく、BIMのデータをより広い範囲でスムーズに生かせるようにしていきたいですね」(稲田氏)。

建設業法・電子帳簿保存法など関連法令に対応。タイムスタンプ、電子署名といった機能を備え、これまでメール、FAXや原本郵送などで処理していた見積書・発注書・請負契約書・請求書をペーパーレス化。受発注業務は繰り返し行われる入力作業や捺印、発送作業など煩雑な作業が膨大にある。一連の受発注フローをデジタルで一元管理することで、業務のスピードアップだけでなく、属人化からの脱却、伝達漏れや人的ミスを解消。パソコンだけでなく、スマートフォンで操作ができ、外出先でも対応が可能に。受発注データの一元管理により、リアルタイムで工事原価を集計、分析にも役立てることができる。

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「ANDPAD」とBIMを連動

情報を共有してDX推進



アンドパッド株式会社
執行役員 新規事業開発室長
ANDPAD ZERO Director

今井 亮介

同社が現在取り組んでいる「ANDPAD HOUSE」というプロジェクトもBIM活用を前提としたものだ。同社が施主となり、実験住宅の設計・施工を通して「数年先に実現する設計・施工のDX」を先行して実証するのが狙いだ。

「『ANDPAD』とBIMを連動させたらどうなるか、検証したかったのです」。こう話すのは、執行役員新規事業開発室長・ANDPAD ZERO Directorの今井亮介氏。「ANDPAD」をプロジェクト管理のプラットフォームとして使用。意匠設計者、構造設計者、施工者、BIMマネージャーなどの座組みを定め、通常の家づくりと同様、基本設計から実施設計までをまとめ、施工に着手。年内に竣工の予定だ。

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木造住宅の設計・施工において、「ANDPAD」とBIMを連動させることによる効果を検証するための実験的プロジェクト。国土交通省が進める「令和3年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(先導事業者型)」において、「木造住宅における、BIMとクラウドサービスを用いたCDE※1とECI※2の効果検証・課題分析」として採択された。定例会議はフルリモート。オンラインで議論しながら、資料は「ANDPAD」で共有した。「会議の場で設計者、施工者がいて同じ資料を見られて、すぐに物事が決まる。検討事項を持ち帰らずに済むので、とても効率的でした」(今井氏)。もうひとつ大きなメリットは、設計の初期段階で施工者も交えて構造を検討できたこと。当初、構造設計者が想定していた梁断面の木材が折からの"ウッドショック"のために入手しづらいことが判明。納期に影響のない断面寸法の材で設計し直すことで、早期に問題を解決できたという。

│プロジェクトメンバー│ プロジェクトマネージャー/ANDPAD ZERO 意匠設計/小林・槇デザインワークショップ(略称 KMDW) 構造設計/DN-Archi 施工者/長谷川萬治商店 プレカット工場/長谷萬 BIMマネージャー/慶応義塾大学SFC研究所

※1 CDE Common Data Environmentの略。工事、運営や管理に関わる数多くの人たちが、情報を受け渡したり共有したりするための環境。
※2 ECI Early Contractor Involvement(方式)の略。プロジェクトの設計段階より施工者(建設会社)の技術力を設計内容に反映させることで「コスト縮減」や「工期短縮」を目的とした方式。


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今後は、BIMの内容を確認できるビューワー機能も「ANDPAD」に追加する予定だ。「工程表や図面、チャットの内容、工事の進捗写真・動画・報告など全部を共有するというのはBIM単体ではできないこと。『ANDPAD』と組み合わせることで、複数企業のプロジェクト参加者が効率的に情報をコミュニケーションできるようになりました」。プロジェクトの手ごたえについて、今井氏はこのように話す。

設計、施工、現場管理、積算、受発注から契約に至るまで、同社のカバーする範囲は実に幅広い。「それだけ建設・建築の世界は奥深いということです。いろんな立場の方にとって最適な機能、サービスを提供して、多くの人に使っていただく。理論だけではDXは進みません。現場で活用してもらって、初めて皆様に納得いただけるDXが実現する、と考えています」(今井氏)。

「人、もの、お金、そして情報。これらの流れについて『ANDPAD』を通じてもっとスムーズなものにしていきたい。現場のDX、経営のDXが進めば産業そのもののDXも進むはずです」(稲田氏)。

建設・建築の未来がよりよいものになるように——そんな願いが「ANDPAD」には込められている。

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社外のパートナーと新規事業を共同開発

「BIM」「データ解析」、「IoT(Internet of Things)」をキーワードに、リサーチ、投資、アライアンスなどを通じて事業やプロダクトを開発するための新部門として、2021年1月に立ち上げられた。建設・建築会社とその周辺産業の企業やテクノロジー企業から寄せられた声をもとに、中長期の共同開発に取り組む。「ANDPAD HOUSE」もこの一環となるプロジェクトだ。「当社には様々なバックグラウンドを持つスタッフがいますし、100人以上のエンジニアが在籍しています。ANDPAD ZEROには、ゼネコンの現場監督や組織設計事務所などを経験した、専門性の高いキャリアを持つ社員がいます」と今井氏。多角的な視点を持てる同社ならではの研究・開発組織となりそうだ。

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[お問い合わせ]

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株式会社アンドパッド 東京オフィス
〒101-0022 東京都千代田区神田練塀町300 住友不動産秋葉原駅前ビル8階
TEL. 03-6831-4551 https://lp.andpad.jp/

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