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GIGAスクール構想のインターネット回線を調査 ICT教育の効果を高めるために選択肢として検討したいデータキャッシュ機能の利用GIGAスクール構想のインターネット回線を調査 ICT教育の効果を高めるために選択肢として検討したいデータキャッシュ機能の利用

GIGAスクール構想による1人1台PC体制が整い、授業での本格的な活用が始まった。デジタル教科書・教材の利用や学習データの収集・分析、双方向性授業の実施などにより、今まで以上に多くの児童・生徒、教員が一斉にインターネットにアクセスするという状況を迎える。では、それを支えるネット回線は大丈夫か。現状のままで円滑に授業を進めることができるのだろうか──。全国の自治体を対象に行った『GIGAスクール構想の取り組みに関する調査』によって、教育現場が直面する課題と、それを解決するヒントが浮かび上がってきた。

学校現場のインターネット回線を調査 安定した通信ネットワーク環境が課題

1人1台PC体制が整備された今、GIGAスクール構想は「ICTをどう活用していくか」という新たな段階を迎えた。文部科学省では、ICT活用の一環として今年6月、24年度からのデジタル教科書の導入をめざす第一次報告を公表。今後はさらなる実証的な研究を行い、全国規模でその普及を加速させていくとしている。

その一方で、学校側の状況はどうだろうか。1人1台PC体制のもと、デジタル教科書・教材の活用や双方向性授業、調べ学習の実施などにより、個別最適化された学びを実現することが、GIGAスクール構想の本来の目的である。それに適した環境は整っているのだろうか。

そこで、『GIGAスクール構想の取り組みに関する調査』と題したアンケート調査を実施した。全国の公立小中高と一部私立校を調査対象に、約1,800の教育委員会(都道府県47+市区町村1,741)にアンケートを配布し、回答のあった計278の教育委員会の集計をまとめている。

この調査によると、学校教育の現場ではインターネット回線が必ずしも万全とはいえず、ICT教育を進めていくうえで「通信ネットワークの整備」が大きな課題となっていることが見えてきた。それを端的に示すのが、「ICT教育の課題」と「ネットワーク回線の満足度」に対する回答だ。

全国の自治体に、ICT教育を進めていくうえでの課題について聞いた質問では、「教師が操作方法に慣れていない」など人的な課題を別にすれば、「安定した通信環境下での実施が難しい」との回答が3割を超え、さらに「環境の充実に向けてコストがかかる」という回答も5割近くに達した。通信ネットワーク環境が課題として上がるとともに、その整備に必要となるコスト面での懸念が示されている。

次に、1人1台PC体制が整い、多くの児童・生徒が一斉にインターネットに接続するようになった今、「インターネット回線の帯域への満足度」はどうだろうか。

「現在のインターネット回線の帯域に関して満足している」との回答は55.6%と約半数にとどまり、「どちらともいえない」が17.7%、残りの26.7%は「満足していない」という回答となった。満足していないという理由としては「校内でテレビ会議をするとフリーズする」「大規模校で帯域不足となる」といった声が上がっている。

こうした結果から、現時点での通信環境に不満を感じる学校や、これから加速するICT教育に備えた通信ネットワークの整備に頭を悩ます学校が少なくないことがわかる。デジタル教科書の本格的な活用が24年度から始まることを考えると、インターネットに接続する機会はますます増え、「同時視聴でフリーズする」「オンライン授業がつながらない」といったトラブルがさらに多くなると予測される。

現在のネットインフラ状況を調査 帯域の確保が不十分な学校が過半数

ネットワークに課題や不満を抱える学校が多いなか、実際に現時点のインフラ状況はどのようになっているのだろうか。

まずは学校教育での回線の種類について見ていこう。

回線の種類は大きく「ベストエフォート型」と「ギャランティ型」に分かれている。「ベストエフォート型」とは最大通信速度は示されているが一定の通信速度が保証されていない回線、「ギャランティ型」は高コストだが通信環境を常に保証する回線である。

アンケートでは「ベストエフォート型」の学校が約7割と多くを占め、「ギャランティ型」は1割にも満たない。この背景にはコスト面から多くの学校がベストエフォート型を選択したという事情があり、当面、この流れが続くと見られている。加速するICT教育のもと、今後、多くの学校では通信速度を安定させるためのさまざまな工夫が必要となるだろう。

端末からのインターネット回線の形態についてはどうだろうか。

現行のネットワーク構成は学校から直接インターネットにつながる「直接接続型(ローカルブレイクアウト)」、市区町村もしくは都道府県で教育ネットワークを構築し、自治体内の学校をそのネットワークで集約してからインターネットに接続する「センター集約型」の大きく2つに分かれる。

アンケートでは、これまで主流だった「センター集約型」から「直接接続型」へ移行した学校が66%に及んでいる。センター集約型は教育委員会が契約した帯域をさらに各学校に分散するケースがあるため、学校によってはわずかな帯域しか確保できないケースもあった。そのため形態は直接接続型による契約に移行しつつあるが、それでも帯域不足の解消にまでは至っていないようだ。

調査では、各学校が整備しているインターネット回線の帯域についても質問している。

帯域はその数値が高いほど接続しやすくスピードは上がるのだが、アンケートによると、通信速度1Gbps未満が半数を占め、多くの学校が2Gbps未満にとどまっている。

また、各自治体内の生徒数が最多の学校(オレンジ色)と生徒数が最少の学校(青色)でも帯域の差異が見られていない。つまり生徒数が1,000名の学校と100名の学校で同じ帯域を使用しているという状況にあるのだ。ネットワークの負荷は接続台数によって大きく変わるため、生徒数に合わせた柔軟な回線の整備が問われている。

調査結果を見ると、インターネット活用の機会が増加していく今後に備え、多くの学校で現在のネットインフラを拡充していく必要があると思われる。例えば、24年度に活用が予定されているデジタル教科書は、生徒1人あたり1度のダウンロードで50M〜80M以上のデータが消費されるといわれている。今のインフラでは、すぐにネットワークが逼迫してしまう恐れがある。

帯域の増強はコスト高が課題 解決策としてのデータキャッシュ機能

インターネット利用の増大に対応する一つの手段として、帯域増強がある。しかし、「インターネット回線の帯域増強の予定」(ネット回線への満足度別)についての回答を見ると、インターネット回線の帯域に満足していない教育委員会(オレンジ色)でも、帯域増強の予定は4割未満にとどまる。

帯域を増強する必要性は痛感しているが、予算やランニングコストを考えると実施に踏み切れない、というのがその理由のようだ。政府が新型コロナウイルス感染症対策に追われるなか、予算をGIGAスクール構想の整備費に回す余裕がないことも影響を及ぼしているのだろう。

そこでネットワークの増強とともに、もう一つの選択肢として考えられるのが、インターネットからダウンロードしたコンテンツを共有する方法である。デジタル教科書やすでに活用されている「NHK for school」のようなデータ量の大きい動画コンテンツを授業で同時にダウンロードするケースでは、誰か一人がダウンロードしたコンテンツを共有することで、大幅な通信量の削減が見込める。例えば、1クラス30人の授業の場合はデータを共有することで、通信量を30分の1まで削減することができる。このような方法を実現するのがデータキャッシュ機能である。

データキャッシュ機能とは、1台目の端末がインターネットのコンテンツにアクセスすると、そのデータを自動的に学校内にあるデータキャッシュ機器に保存するというもの。その後2台目以降の他の端末はキャッシュファイルにアクセスすることで、インターネット通信を利用することなく、ネットワーク負荷を抑えた円滑なデータアクセスが可能となる。

調査にも表れているように、デジタル教科書の活用が進んだ場合、現在のインターネット回線では逼迫するという不安を抱く教育現場は多い。

ICT教育の成果をより確かなものにするために、ネットワークの負荷を軽減するデータキャッシュ機能を持った製品の導入を視野に入れてはいかがだろうか。富士通ではデータキャッシュ機能を持った製品として「ESPRIMO Edge Computing Edition Z0111/E」を提供している。

※キャッシュ機能の活用にあたっては、配信コンテンツ毎にキャッシュの可否制御やキャッシュ可能な内容が異なるため、利用コンテンツの対応範囲を事前に確認が必要。

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富士通のエッジコンピューティングデバイス「ESPRIMO Edge Computing Edition Z0111/E」は、ICTのさらなる活用が進む教育現場における通信ネットワークの負荷を軽減し、生徒たちが授業でデジタル教材コンテンツ利用時に生じる遅延やフリーズといったトラブルもインターネットキャッシュ機能により回避できる。1人1台PC時代のICT教育に有効なソリューションだ。

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