オープン化と仮想化で進化する5G NECが考えるネットワークとデータの民主化

DcXでデータの利活用を提案

インテル株式会社 代表取締役社長 鈴木 国正氏

鈴木:インテルではデータを利活用し、さらなるデジタル変革、攻めの経営を促す「DcX(データ・セントリック・トランスフォーメーション)」を提唱しています。放っておくと増えていき、コストがかかるデータを価値のあるものに変換することが目的です。インターネットが普及し始めた1990年代、ネットを活用できる人とできない人の間でデジタルデバイド(インターネット及びIT活用の格差)が起きたように、データを利活用できる企業とそうでない企業の間に「データデバイド(データ活用の格差)」が起きていることを危惧しています。データの利活用がビジネスの成長を大きく左右する今は、企業のデータデバイドをいかに解決するかが重要だと考えています。NEC様はすでにデータの利活用を進めていらっしゃると思いますので、DcXについてご意見や、取り組みなどのお話をお聞かせいただけますでしょうか。

森田:現在NECが力を入れているDXの分野に、デジタルガバメントやデジタルファイナンスがありますが、この分野でもデータの利活用、DcXは一層重要になるでしょう。お客様がデータを安心して利活用するための技術開発に注力しており、複数組織が保有する機密データの中身を秘匿しながら結合・分析できる秘密計算技術や、AIをトレーニングするための学習データを自動選別する技術、AIの誤作動を誘導する新手のサイバー攻撃に対処する技術などの実用化を進めています。

以前、鈴木様とお会いしたとき、データの利活用に関して「データの民主化」という表現を使われていましたが、まさにそれが重要で、民主化だからこそプライバシーとデータのオーナーシップを尊重できる環境を作っていかなければいけない。我々はさまざまな先端技術を開発しユニークな提案をしていますが、そこに付随する責任は以前よりも重くなっていると感じます。インテル様を含めて、趣旨に賛同いただける企業と一緒に、技術に対する信頼やデータの扱い方に対する指針を作っていきたいと思います。もし誤解があればそれを解いて、データの正しい使い方を普及させなくてはいけません。こういった考え方は、今後、さらに重要になるでしょう。

鈴木:本当に力強いお言葉だと思います。データの民主化に関しては、共有し越えなければいけない壁が身近にある。なるべく早くガイドライン化や価値の共有化が必要ですが、データの民主化を取り巻く環境は、国や地域によってもポリシーが異なり非常に複雑。課題として、データの所有とユーザー権利保護やデータクオリティの向上、サイバーセキュリティ対策、共創と競争領域のすみ分けなどが挙げられます。それらを再認識して、チャンスへと変えていくことの意識が重要ではないでしょうか。

共創で新しいユースケースを作る

鈴木:今回お話しさせていただいて、NEC様とインテルでは、大切にしている領域が重なっていることがわかりました。我々は会社の方針として3つの領域を大切にしています。AI 、5Gネットワーク、そしてインテリジェントエッジです。日本のエンドユーザーと一緒に新しいユースケースを作ることを目的に動いておりますが、その根底にあるのは、 「Move Faster(より高速な移動)」「Store More(より大量の保存)」「Process Everything(全てを処理する)」といった3つの取り組みです。

世界中のデータ生成量は爆発的に増加しています。その中で、より大量のデータを保存し、高速処理できる半導体のニーズは高まっており、それに応えながら開発し続けることがインテルの使命です。例えばAIでは、Process Everythingを実現するインテル® Xeon® プロセッサー・テクノロジーを中心に、ネットワークインフラやストレージも提供しています。ほかにも、データセンターやセキュリティなど、我々ならではの強みを持ったラインアップを持っていますので、NEC様が目指す方向性に合わせた共創をご提案させてください。

森田:ぜひいろいろと連携させてください。引き続きよろしくお願いいたします。インテル様の1丁目1番地は、5Gやその先の時代を支えるプロセッサー技術だと思っています。そしてDcXのように、さまざまなソリューションやビジネスを支える提案力が素晴らしいと感じています。RANにおけるRUやCU、DU、またIOWNにおける光電融合技術では、プロセッサーチップに留まらず、システムアーキテクチャーを含めて、コンセプトや方向性を共有しながらの協業を期待しています。もう1つ、今年から来年にかけて、ローカル5Gやエッジクラウドを利用した自動運転やファクトリーオートメーション、ロジスティクスなどの取り組みが多数出てくると思っています。まだテストベッド的な動きだと思いますが、先進的なお客様と連携してインテル様と一緒に、ソリューションをユースケースとして作っていきたいと思っています。

鈴木:よろしくお願いします。本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

写真:森田 隆之氏と鈴木 国正氏