日経クロステック Special

SOMPOグループのDX戦略と
「業務のデジタル化」

桜井 浩輝 氏

SOMPOホールディングス株式会社
IT企画部 企画グループ 課長
桜井 浩輝

中山持株会社であるSOMPOホールディングスを筆頭にSOMPOグループでは、どのような目的でDXを推進しているのですか。DX推進に向けた戦略・ビジョン、および取り組みについてお聞かせください。

桜井SOMPOグループは2021年4月に、23年度までの3年間を対象にした新中期経営計画をスタートさせました。この新中期経営計画では「“安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する」というパーパスを設定しました。その達成に向けて経営主導のもと「CX・UX向上を実現する新たなデジタル・ビジネスモデルの創造(攻めのDX)」「デジタルによる組織・業務プロセスの変革(守りのDX)」を推進しています。私が所属するIT企画部では、SOMPOグループのITガバナンスやガイドラインの策定、そしてSOMPOシステムズとともにグループIT基盤の構築に取り組んでいます。

中山DXの最終目標を社会課題の解決に置いているところは、さすが社会と密接に関係する保険というビジネスを展開するSOMPOグループだと感心しました。DXへの取り組みのなかで、業務効率化や業務プロセス改革を目指す「業務のデジタル化」にはどのように取り組んでいますか。

桜井現在、業務部門にもビジネス変革の重要性を周知したうえで、デジタル技術を活用した業務刷新に取り組んでいます。具体的にはグループ最大の事業会社である損害保険ジャパン(損保ジャパン)の「未来革新プロジェクト」の第一期を21年4月にリリース完了し、「SOMPO-MIRAI」と名づけた新システムを稼働させました。この新システムは30年以上にわたって使い続けてきたメインフレームの基幹システムを、機動性・柔軟性・接続性に優れたオープン系システムに一新したものであり、環境変化や技術進化にいち早く対応してDXを加速させる新たなITシステム基盤と位置づけています。このSOMPO-MIRAIはSOMPOグループのコアとなる損害保険業務を支えるシステムですが、一方で本社の間接部門も含む現場で“ふだん使い”している業務アプリケーションについても、抜本的な刷新を進めています。とくにSOMPOグループでは損保ジャパンをはじめ25年間で1000以上に膨れ上がった「Notes」アプリケーションがありましたが、その移行先となる新たなローコード開発・実行基盤として「intra-mart」を採用しました。

他製品とのコスト比較も
intra-mart採用の決め手に

原口 直哉 氏

SOMPOシステムズ株式会社
ITシステム本部 担当部長
原口 直哉

中山どのような経緯から当社のintra-martを採用するに至ったのでしょうか。

原口損保ジャパンではグループウェアのNotesを使ってワークフローや業務アプリケーションを構築していたのですが、現行システムの老朽化をきっかけにNotesからの移行を検討することにしました。メールやチャット、カレンダーといったコミュニケーション/コラボレーション機能については早い段階で「Google Workspace」に移行したものの、1000以上に膨れ上がったワークフローや業務アプリケーションの移行が大きな課題でした。

そのような中、ワークフロー関連については国内に豊富な実績を持つintra-martが候補に挙がりました。また製品の詳細な比較検討を行ったところ、intra-martはワークフロー以外の機能もローコードで容易に開発できる機能が用意されていること、さらにはセキュリティーやガバナンスが強く全社展開が可能な共通基盤であることが決め手となりました。200社を超えるパートナーを有していることも魅力でした。現在は、複数のパートナーとお付き合いいただいています。

桜井実はワークフロー以外の機能については、SOMPOシステムズでは他の製品を導入することを検討していましたが、業務アプリケーションの開発を効率化したり、毎年のように発生する組織・人事の大規模な変更に対する運用を改善したりするには、ワークフローと共通のプラットフォームを用意したほうが望ましいと考え、最終的にコスト比較も行ってintra-martを導入しました。

業務プロセスの整理と
ローコード開発を
アジャイルで実施

中山ローコード開発ではどのような工夫をしましたか。

原口総務部門でペーパーレス化が検討されており、その中でローコード開発に取り組みました。初めて取り組んだローコード開発でしたが、業務プロセスの見直しをシステム開発前に行ったことがポイントです。早めに現場部門と仕様確認を行い、上流プロセスの整理とローコード開発をアジャイルで実施しました。業務プロセスもBPMN(ビジネスプロセス・モデリング表記法)で可視化し、AsIs(現状の姿)からToBe(あるべき姿)の業務プロセスへと転換、全体業務の可視化を行いました。またローコード開発時の規約やルール策定などは、イントラマートのコンサルティングで支援してもらい、SOMPOシステムズ側でブラッシュアップしました。

「約90%が負荷軽減、
約80%が品質向上」

という社員評価

川瀬 智義 氏

SOMPOシステムズ株式会社
ITシステム本部
川瀬 智義

中山intra-martを導入したことにより、どのような効果が得られましたか。

原口従来の開発手法は、最初に要件定義を固めてから開発するというウォーターフォール型が基本でした。しかし要件定義局面で、業務イメージが固まらないことも多く、その場合、ウォーターフォール型で進めると決められた期間で定めたシステム化要件が不十分な状態に陥るリスクがあります。VUCA(※1)の時代においては、ビジネスニーズの変化は当たり前のこととして捉える必要があると思っています。加えてDXを推進していくには、業務の現場を巻き込んだアジャイル型の開発手法が最適であり、SOMPOグループではSOMPOホールディングスのデジタル戦略部と人事部の主導で、業務の現場にもアジャイル開発を体験してもらう「DX人材育成研修」を実施し、デジタルワークシフトを推進しています。

そうした下地ができつつあるところにローコード開発が可能なintra-martを取り入れ、現場とSOMPOシステムズが協創して開発することにしたわけです。intra-martを使えば自分たちが使う業務アプリケーションを自分たちでつくれることを実感し、業務部門による内製開発を行おうとするマインドが一気に醸成されました。またIT部門にとっても、ローコード開発で現場との距離が近くなりました。開発の最中も現場から「ありがとう」のシャワーがあり、とてもモチベーションが上がりました。

中山 義人 氏

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート
代表取締役社長 執行役員
中山 義人

川瀬intra-martで開発した業務アプリケーションについて、前述の総務部門にアンケートをとったところ、90%以上の社員が「業務負荷が軽減した」と回答し、80%以上の社員が「業務品質が向上した」と回答しています。この結果は従来のシステム導入効果よりも優れたものであり、実際の業務改革や業務のデジタル化に大きく寄与しているところが、intra-martを導入した最大の効果だと考えています。アジャイル開発なので、現業部門からの仕様変更も柔軟に受けつけることができ、それが満足度の向上にもつながっています。

中山現場の社員自らが業務を変えようと思い、それが実際の形になって成果が表れ、さらに感謝されるとなると、業務の現場だけでなく業務改革を支援するIT部門にとってもうれしいことですよね。デジタルワークシフトに向けた人材育成やダイバーシティの観点からも、SOMPOグループの取り組みは注目に値します。

それでは、今後の予定についても教えてください。

桜井現在は損保ジャパン、SOMPOシステムズ、SOMPOひまわり生命でintra-martを利用開始しました。今後は他のグループ会社への展開も進めていきます。テレワークが主体となったこともあり、intra-martによるシステム化(デジタル化)に対する要望は大きくなっています。私が属するSOMPOホールディングス内でも複数の要望が上がってきています。

今後は、ウォーターフォール開発は徐々に減り、ローコードによるアジャイル開発が主体になるのではないでしょうか。社会課題をデジタル技術も使いながら解決するためには、ビジネス部門でも簡単につくれることが求められます。ワンストップで現場を変えていく、システムをつくっていく。主役は現場となり、ビジネス部門とIT部門との協創がより拡大していくことになるでしょう。
※1 V(Volatility:変動性)、U(Uncertainty:不確実性)、C(Complexity:複雑性)、A(Ambiguity:曖昧性)の4つの単語の頭文字をとった造語。先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態を指す。

期待が高まる新サービス
Accel-Mart Quick

中山SOMPOグループには業務アプリケーションのローコード開発基盤としてintra-martを採用していただきましたが、NTTデータ イントラマートでは新しいクラウドサービスとして21年10月に「Accel-Mart Quick」をリリースしました。チームレベルの小規模な業務改革から全社レベルの大規模な業務改革へ、導入成果と企業の成長に合わせて段階的に業務のDXをスケールアップできる新しいローコード開発基盤であり、さまざまな業務に使える機能を共通化したテンプレートを提供しているのも、Accel-Mart Quickの大きな特長です。

川瀬Quickという名前のとおり、必要な業務アプリケーションを素早く開発して素早く提供できるのは、業務のDXをさらに加速していくための強力なツールになると感じました。

原口テンプレートは業務の共通化に寄与するものなので、今後も数がどんどん増えていくことを期待しています。業務アプリケーションの開発生産性の向上にもつながりますね。

中山Accel-Mart Quickの大きなポイントは、ガバナンスを効かせながら、より規模の大きい業務へスケールしていける仕組みを一つのプラットフォームに詰め込んでいるところです。ぜひご期待ください。

エヌ・ティ・ティ・データ・
イントラマート

東京都港区赤坂四丁目15番1号
赤坂ガーデンシティ5階

https://www.intra-mart.jp/