働きがいのある環境で「人財」を生かす

「IT人財」の真価を発揮する
「人」を軸とした事業戦略とは

先進的なCAEソリューションも提供
CAEや数理解析にも取り組む

 同社の事業は、ITのインテグレーションにとどまらない2つのユニークな取り組みがある。そのうちの1つがコンピューター上で様々な解析を実行するCAE(Computer Aided Engineering)ソリューションの開発と提供である。電磁界解析の「JMAG」(図1)、プレス成形シミュレーションシステム「JSTAMP」、材料物性解析の「J-OCTA」など、業界で評価の高いハイエンドCAEをそろえるとともに、受託解析も行っている。「当社のCAEの歴史は古く、JSOLの根幹の1つを成しています」と前川氏は説明する。

 もう1つの取り組みが数理解析技術を通じたイノベーションの創出である。JSOL、国立研究開発法人理化学研究所、および株式会社理研鼎業の共同出資により、株式会社理研数理を2020年10月に設立したのもその一環だ。最高峰の数理科学の研究者を集め、協業し、頭脳の還流を行うことで、世界に通用する数理科学の社会展開モデルの実現を目指している。

 JSOLではこれまでも金融データや取引ネットワークの分析などを通じて数理技術の確立を図ってきた。理研数理での研究も交えながら、ディープラーニングやビッグデータ活用をさらに進めていく考えだ。

 システムインテグレーションを担うプロジェクトマネージャーやソフトウエアエンジニアだけではなく、CAEや数理解析のスペシャリストが活躍できる場が用意されている点は、エンジニアにとって魅力の1つと言えるだろう。プライム案件(元請け)の比率は95%と高く、顧客の課題にダイレクトに向き合いながらIT改革の実現を担うことができる。

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図1. 電磁界解析ソフトウエア「JMAG」を用いたモーター解析の一例。鉄損/銅損、振動、トルク特性、発熱分布などをコンピューター上で解析できる。SDGsの一環として、若手技術者の育成を目的に、大阪大学ほか様々な教育機関にも提供している。

DX時代に求められる
「IT人財」を生かす労働環境

 JSOLの風土の根底にあるのは、従業員を「人材」ではなく「人財」と捉える価値観だ。その考え方を示したのが「価値共創モデル」である。社員満足度が上がれば顧客満足度が上がり、顧客満足度が上がればビジネスが好調になって収益が上がる、収益が上がれば社員に還元できるとの考えの下、「社員エンゲージメント」を主軸に、「お客様エンゲージメント」「ビジネス強化」および「ビジネス創出」という4つの領域に注力している(図2)。

4つの注力領域

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図2. 社員満足度の向上、顧客満足度の向上、ビジネスの向上というサイクルを実現する価値共創モデルの概念

 働きやすさという観点では、例えば年次有給休暇取得の平均取得日数は年間15.6日(2019年度)と、厚生労働省が発表している国内平均の10.1日(2018年度)に比べて十分に長い。また、女性社員の育児休業制度の活用率は100%に達し、育児休業を取得する男性社員も増えているという。60歳を過ぎて定年となったベテランの継続雇用制度も用意されていて、これまでの知見や経験を生かし活躍している。オフィスは東京(中央区)、大阪(西区)、名古屋(中区)の3拠点にあり、リモートワークに対応したVDI(仮想デスクトップ基盤)も3年前に構築済みだ。

 近年のライフスタイルの多様化や働き方の変化に即座に対応し、従業員の働きやすい環境を速やかに提供している点も、「社員エンゲージメント」に注力した同社の価値観の表れの1つだ。

 今後、企業のデジタル化は「推奨」ではなく必要に迫られていく時代。IT人材は、企業のDXを推し進めていく上で重要な存在であることは言うまでもなく、さらに少子高齢化が加速し労働力の確保が難しくなってきた今では、IT人材の確保に多額の投資を行っている企業も目立ってきている。そういった中で、IT人材を「人財」と捉え、彼らが生き生きと活躍できる場を提供している同社の取り組みは、顧客と従業員の双方に利益をもたらすはずだ。

 前川氏は、「自ら考え、自ら行動し、自らの考えを伝えて周囲を動かせる」ことがこれからの時代にはより求められていくと、DX時代の人物像を説明する。

 未来に向けて「今はない、答えを創る」人財を、JSOLは求めている。