キーエンス
データアナリティクス
事業グループ
峯尾 翔太 氏
キーエンスは、1974年の会社設立以来、FA(ファクトリー・オートメーション)用センサーをはじめとする高付加価値商品を通じて、生産現場の「生産性・品質向上」に貢献してきた。自動車、半導体、電子・電気機器、通信、機械、化学、薬品、食品など、製造業のあらゆる分野において25万社以上の取引実績があり、海外においても1985年のアメリカ現地法人設立を皮切りに、現在では46カ国220拠点で事業を展開している。
今まで世の中になかった価値を生み出し続けること、「付加価値の創造」によって社会へ貢献するという考えの下で事業を展開。手掛ける商品は様々な業界の企業に採用され、過去25年間、平均10%を超える成長を遂げてきた。なお、新商品の約7割は世界初、もしくは業界初で、Forbes社の「世界で最も革新的な企業TOP100」に8年連続でランクインしているという。
本セッションの登壇者を務めた同社の峯尾氏は、高収益を上げることができているキーエンスの「データ活用の歩み」について次のように説明する。
「現在、企業では様々なデータを保有しています。例えば営業やマーケティングの現場には、お客様のマスターデータや売り上げデータに加え、ウェブサイトのアクセスログや過去の販売施策のデータ、営業活動の記録など多くのデータが存在します。これらを企業のビジネス課題の解決や改善にうまく使用できれば、より精度の高い意思決定や施策につながることが期待できます。一方で、データを有効に活用し、具体的な施策やアクションにつなげられている企業は多くありません」
そんな中、キーエンスでは以前から企業活動をデータで科学的に捉え、合理的な判断を行うことを心掛けてきたという。しかし、データの質や量が増えるにつれ、特にビジネス部門においてデータを扱う難しさは増してきている。ビジネス部門のユーザーが、データを用いてより良い施策につなげていくために、社内で試行錯誤を繰り返し、活用してきた結果、見えてきたのは仮説を多く作り出し、ビジネス課題との関係性を明示することだったという。そうすることによって、実際の施策がデータから見つかるようになった。
そして、そのような活用経験を基に自社開発したのが、ビジネスユーザーがプログラムなしでデータからビジネス課題の因果を発見し、施策を見つけられるソフトウエア「KI」だ。現在はKIを外部にも提供し、幅広い業界の企業に活用されている。
データ分析ソフトウエア「KI」概念図。
データを入れて、解決したいビジネス課題を選ぶだけで有効な打ち手を見つけ出してくれる。
KIは、データを入れて、解決したいビジネス課題を選ぶだけで、有効な打ち手を見つけ出してくれるデータ分析ソフトウエアだ。主な特徴は次の3つである。
1.人では思いつくことが困難な切り口を無数に自動生成……
KIは、機械学習を使って、膨大なデータから課題解決の切り口を無数に自動で作り出すことが可能
2.効果の大きい順に重要な切り口を提示……
生成された切り口は、統計的な観点から効果が順位付けされ、優先順位が一目瞭然
3.施策の改善効果を事前にシミュレーション……
施策を実行するとどの程度改善するかが、シミュレーションできる。効果があるかないかだけでなく、効果の大きさを事前に数値で把握できるので、どの打ち手を打つと効率がよいか、何にどの程度の予算をかければよいかを、誰でも合理的に判断可能
このような特徴を持つKIは、幅広い業界で、様々な用途に活用されていると峯尾氏は強調する。「優良顧客の特徴分析や営業ターゲット先抽出など普遍性の高い用途から、ECでのかご落ちの低減や製造での不良率低減などの特定業種に特化した用途まで、活用シーンは多岐にわたります」(峯尾氏)
主な業界別にまとめたKIの活用事例。幅広い業界の企業で活用されていることが分かる。
中でもKI活用のインパクトが大きな企業は、「データ活用のレベルを上げたい」「機械学習やAIを活用したい」「専門家ではないビジネスユーザーだけでデータ活用を進めたい」など様々な課題に直面しているようだ。
これらの課題に対し、KI導入後は、データサイエンティストやITエクスパートを含めたキーエンスの経験豊富な専任サポートチームが、お客様のデータ分析・活用をサポートすることで、その解決に導いている。「ツールを提供するだけでなく、『データ活用を通じて、生産性を向上させるプロセスを確立すること』を目標に、キーエンスのノウハウをフル活用しながらお客様をサポートします」(峯尾氏)
ここまで紹介してきた、キーエンスのデータ活用の歩みや考え方、KIについては、不定期で開催しているオンラインセミナーでさらに詳しく紹介していると峯尾氏。なお、セミナーの内容は、以下の通りだ。
1.キーエンスの高収益を支えるデータ活用とは?……
このセミナーでは、前半で、キーエンスが過去20年にわたり、「データ活用」をどのように試行錯誤させ、進化させていったか、立ちはだかった「3+1つの壁」は何か? どう乗り越えたか? などを、当時のエピソードを交えながらリアルに伝えている。後半では、高収益のノウハウを凝縮した「データ分析ソフトウエアKI」をご覧いただきながら、具体的に、データ活用のプロセスを、紹介している。
2.データを活用したキーエンス流「ターゲティング術」……
合理的にターゲット(相思相愛な顧客)を探すため、キーエンスでは、20年以上、試行錯誤を重ねてきた。このオンラインセミナーでは、前半で、活用するデータの種類を基に、ターゲティングを5つのステージに分類し、各ステージの特徴を図解で解説する。後半では、キーエンスにおいて、どのようなチャネルで、どのようにターゲティングしているか、具体例を紹介しながら、大事にしている考え方をお伝えする。
3.試行錯誤から学んだ「データ活用7つのルール」……
このオンラインセミナーでは、上記の2種の60分ウェビナーより短い30分間で、データ活用で大事なポイントを、7つに絞って紹介している。
本セミナーは既に9000人を超える参加者を集め、好評を博している。回によっては数倍の倍率になるため、より深く「組織的にデータ活用を進化させるためのノウハウ」を知りたい読者は、ウェブサイト(https://analytics.keyence.com/ja/events)で開催日時を確認の上、ぜひ抽選予約にお申し込みいただきたい。
お問い合わせ
株式会社キーエンスデータアナリティクス事業グループ
お問い合わせURL
人工知能サミット2020 Online Seminar
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日鉄ソリューションズ
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~AI活用による意思決定高度化~
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