~AI活用による意思決定高度化~
KPMGコンサルティング
Advanced Innovative Technology
Senior Manager
江原 圭司 氏
現代社会が直面する社会課題の多くは、単独の企業では解決が難しい。例えば、持続可能なモビリティー社会を実現するには、自動車関連企業だけではなく、エネルギーやEVインフラ関連企業、あるいは行政などの協力が必要。つまり、現代の社会課題の解決には、業際化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、様々な業界において、多様なエコシステムの形成が一般的になりつつある。
また、社会課題の解決には、今やデータ活用が必要不可欠。実際に、フィンテックやリテールテック、HRテック等々──、あらゆる業界でデータとテクノロジーを活用して様々な課題を解決することは珍しいことではなくなっている。その結果、いずれの業界・エコシステムにおいても、課題解決の方法や関与する主体が変わっているのは言うまでもない。
では「解決にエコシステムが求められる社会課題の増加」と「データ×テクノロジーの浸透による業界構造の変動」という2つの環境変化が起こっている現在、企業はどのような行動を取るべきなのだろうか?
この問いに対する答えとして、登壇したKPMGコンサルティングの江原氏は「企業はエコシステムの中で自社の存在意義(パーパス)を改めて定義し直す必要がある。テクノロジーとデータの力を使って、エコシステムの一員である各企業が、独自の強みをてこにオーナーシップを発揮し、社会課題の解決に当たるべきだ」と話す。
また、オーナーシップを発揮する企業は、エコシステム内の他のパートナーと連携すること(コラボレーション)が求められると江原氏。場合によっては、エコシステム外のパートナーを巻き込み(エンパワーメント)、エコシステム自体の強化を図る必要もある。この「コラボレーション」と「エンパワーメント」こそ、エコシステムを時代性、社会課題やテクノロジーの変化に適応し、進化・成長させていくために重要だというのだ。
そして、それを実現するには、AIを活用して世の中にあふれている“非構造化データ”の中でも、特に“自然言語データ”を企業の意思決定に活用することが有効だ、と江原氏。その際、AIには「社内外、業界・業種にかかわらず大量の情報を広く取得する機能」「取得した情報をSDGsやメガトレンドなどの軸で整理する機能」「情報を重ね合わせて自社の強みが活用可能な領域を定める機能」「抽出された情報を意思決定者が把握できる形で可視化する機能」が求められることを説明した。
さらに、江原氏は、セッションの最後に自社が標榜する「Intelligence Amplification」というAI活用のコンセプトに言及。「AIに人の代替を担わせるのではない。AIには人の能力を拡張する役割を担わせてこそ、エコシステムの成長が図れる」ことを強調して話を締めた。
「Intelligence Amplification」とは、AIが人と対話するような活動を通じて、人にアイデア発想のヒントを与えるなど、意思決定に反映させるようなAIの活用コンセプトを表している。AIに作業の代替をさせるのではなく、人の能力を拡張する役割を担わせることがポイント。
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