アフラックは社会貢献活動の一環として、がんの早期発見・早期治療の大切さを知ってほしいという想いで、全国で展示イベントを開催してきた。そのイベントの中で、マイクロソフトの HoloLens 2 を活用した新たな体験を通じて、視覚的・直感的に分かりやすいがん啓発コンテンツを提供することを考えた。2020年、コロナ禍により展示イベントの開催が困難になったが、アフラックとお客様が接点を持つシーンにおいて、HoloLens 2 の活用と「がんを知る」ことを融合させた新たな体験を提供する環境を整えた。この新しい体験に対して顧客の反応は良く、今後アフラックの代理店、業務提携先である金融機関や郵便局などとも協力しながら、展開を拡大したい考えだ。

「がんを知る教室」と HoloLens 2 の活用

アフラック生命保険株式会社
デリバリーコーディネーション部
ビジネスリレーション課 課長
土屋 敦 氏

アフラックは、2004年からがんに関する展示会「がんを知る展」を開催してきた。2018年にはより広く認知されることを目指し、「なるほどなっとく がんを知る教室(以下、がんを知る教室)」としてリニューアルをした。アフラック デリバリーコーディネーション部 ビジネスリレーション課 課長 土屋 敦氏は、「がん保険は創業の原点であり、がんに対する社会課題の解決が当社のコアバリューです。がんの早期発見・治療には、がんがどういうものかを知ってもらうことが重要です」と語る。

「がんを知る教室」は小学校の教室をイメージした展示セットを、大型ショッピングモールなどに設置。学科ごとにまとめたがんに関する情報パネルや映像、乳がんの自己検診を疑似体験できるコーナーなどで構成されている。イベント開催地の自治体と協力し、特別講演などを実施することもある。申し込み不要で、通りかかった人が自由に出入り可能。

これまでに全国122か所で開催、来場者数は延べ38万人を超えている。

コロナ禍において、人と人とのリアルな交流が制限されるようになり、2020年以降、イベント開催は見送りとなっている。

2019年下期、マイクロソフトは複合現実(MR)デバイス「HoloLens(ホロレンズ)」の第2世代にあたる「HoloLens 2」を発売。アフラックにも紹介していた。HoloLens 2 の先進性に興味を持った同社は、活用を模索した。アフラック デリバリーコーディネーション部 ビジネスリレーション課 課長代理 永山美紀氏は、「社内で検討した結果、まずは公共性の高いイベントで使ってみようということになりました」と語っている。

慣れない人でも装着しやすく、
ハンズフリーで操作可能な先進性を評価

日本マイクロソフトからの提案により利用を決めた同社だが、採用に当たっては複数のVR(仮想現実:仮想空間に没入)、AR(拡張現実:現実に非現実な映像を重ねて現実世界を拡張)、MR(複合現実:現実の情報を仮想空間に反映し、現実と仮想が連動)を実現するデバイスを比較検討した。

その中で HoloLens 2 を採用した理由を永山氏は次のように語っている。「視界を完全に覆うものに比べ、現実空間が完全にシャットアウトされないので、かぶり慣れない人でも装着しやすいと思いました。コントローラーを持たなくても、ハンズフリーで空中に浮かぶバーチャルな3D映像を、指で触れたり動かしたりでき、非常に先進的だと思いました」。

マイクロソフトのグローバル協力体制により
コンテンツを開発

アフラック生命保険株式会社
デリバリーコーディネーション部
ビジネスリレーション課 課長代理
永山 美紀 氏

HoloLens 2 の良さを最大限に生かして、ユーザーにがんに関する正しい情報を知ってもらい、がん検診の受診促進に繋げるには、何よりコンテンツの内容が重要だ。「MR用のコンテンツを作るのは初めてのことで、どう技術を生かせるか悩みました」(永山氏)。

そこで、マイクロソフトが全面協力し、2020年7月からコンテンツ作成プロジェクトがスタート。日本マイクロソフトのスタッフに加え、コンテンツ制作はロンドンの Microsoft Mixed Reality Services Team が協力した。 Microsoft Mixed Reality Services Team のMRコンテンツの専門家のアドバイスを受けながらストーリーを検討。ストーリーを伝えると絵コンテを作り、それを基に実際にコンテンツを作成。できあがったコンテンツに修正を繰り返し、完成に近づけていった。

実際に Microsoft Mixed Reality Services Team とのやりとりを担当した永山氏は、随所にプロフェッショナルらしさを感じ感謝していると次のように語っている。「起用するキャラクターや素材を紙面で連携すると、1~2週間で忠実に3Dオブジェクトとして制作してくれ、これには驚きました」「シナリオ作成に多くの時間を割いたことで、コンテンツの制作期間を短縮しなくてはならない場面がありました。その時は、シナリオを削ることなく、優先順位付けをリードし、スケジュールの再考を提案してくれました。また、MR技術を用いた開発経験がないメンバーにも分かりやすく丁寧に対応いただき、ありがたかったです」。

さらに土屋氏は、「当社は2018年から全社的にアジャイルな働き方を進めています。今回、新しい技術を活用し、新規のコンテンツをゼロから約5か月で作成できたのは、アジャイルが実践できている証拠です。しかもコロナ禍でグローバルな開発ができたというのは、大きな自信にもつながりました。そこにはマイクロソフト様の協力が大きかったと感じています」と評価している。

新たな体験を多くの顧客が評価、
集客にも効果

2021年1月にコンテンツが完成すると、開催の見送りが続く「がんを知る教室」のリアルイベント以外での展開を検討した。そこで、2021年5月から来店型店舗「よくわかる!ほけん案内」の一部店舗でのトライアル展開を開始。「現場の声を聞きながらコンテンツを含めて改善を積み重ね、運用を確立し、展開を拡大していきたい」(永山氏)。また、店舗で使ってみたいと思ってもらえるよう、短いプロモーション動画も作成した。

展開に当たっては、マニュアル作りや店舗スタッフへの研修を実施した。永山氏は、「マイクロソフト様のマニュアルに手を加え、ステップバイステップで操作できるようにはしたものの、新しい感覚での操作のため教育は必須でした。店舗スタッフには、実際に対面で操作しながら教えたかったのですが、コロナ禍のため遠方には行くことができず、Teams を使った研修や、研修動画を制作し視聴いただくなど工夫して行いました」と語る。

店舗では、パンフレットラックの前に立ち止まっているお客様、保険相談を終えたお客様、店舗スタッフが見積書を作成しているのを待つお客様へ HoloLens 2 をご紹介し、新しい体験のもと「がん」を知っていただけるコンテンツをご案内している。コンテンツは全体で10分程度だが、時間がない人には一部を体験してもらうこともある。来店客の反応は良く、「がんの理解が深まった」「がん検診を受けてみようと思う」といった声も寄せられており、狙い通りの結果が出ている。「先進的なものを試してみたいというお客様はかなり多いと、手ごたえを感じています。店舗スタッフからも、こういう先進的な体験ができるのは話題性があり、集客にもつながるという声もあがっています」(永山氏)。

パートナーとの協業で
デジタルイノベーションを加速

同社は、今後 HoloLens 2 の展開を拡大する予定だ。「この体験の意義や価値を社内外に広く発信し、最終的にはすべての代理店に置いてもらいたいと思っています。「がんを知る教室」のコンテンツをもっと広く体験してもらうために、かぶりたくなる一歩としてエンターテインメントのコンテンツなども検討していきたい」と土屋氏は意欲を語る。

さらに、今回のコンテンツをスマートグラスやタブレット、スマートフォンなどで展開することも検討中だ。
「HoloLens 2 での体験がベストだと思いますが、身近なデバイスで体験できれば、より多くの方々にがんについて知っていただく機会につながると考えています」(永山氏)。

アフラックは2020年に策定した中期経営戦略で、デジタルトランスフォーメーションを進めながら、新たな共有価値を創造することを目指している。そのためにもIT企業とのコラボレーションを積極的に進めていく。

最後に土屋氏は、「当社は生命保険会社のため、デジタル技術を自前で開発することはしていません。だからこそ、最先端のデジタル技術をもち、さらに当社と一緒にDXを推進できる優秀な人材がいる会社との協業を加速させたい。今回のマイクロソフト様との協業は、まさにその成功事例です。引き続き一緒に新しいことにチャレンジしていきたい」と語った。

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