新しい時代に生きる力を育てるため
ICT教育に取り組む
長野県飯山市は長野県北部に位置する人口1万9388人(2020年11月1日現在)の自治体である。飯山市は日本でも有数の豪雪地帯で、長野県内で最も低い千曲川沖積地に広がる飯山盆地を中心に南北に長く、南西部には斑尾高原、北西部には鍋倉山など、多くの自然資源に恵まれている。
市内には小学校7校、中学校2校があり、ICT教育と国際交流を通じて、生きていく力と郷土愛を育成するまちづくりを目指している。その中で、新しい時代に生きる力を育てるためにタブレットやパソコンを使用したICT教育を推進すると共に、学校適正規模の検討に取り組み、小学校の施設改修・整備を進めてきた。
2002年には教育委員会と小中学校を光ファイバーで結ぶ形でインフラを整備し、中学校にはPC教室を設置してデスクトップPCを導入。その後2016年には、飯山市ICT教育のモデル校として選出された市立木島小学校に、マウスコンピューターのWindows 10搭載タブレットPC「MT-WN1001」50台が導入された。それを活用することで、木島小学校ではICT機器を効果的に活用する授業の研究を行い、ICT教育の推進と子どもたちの学力向上を目指す取り組みを進めてきた。2018年には、全小学校へグループ学習で使うための大型ディスプレイを整備した。「木島小学校で算数の授業に参観しましたが、子どもたちがタブレットPCに計算の答えを書くと、大型ディスプレイにすぐに表示されるのです。それに対して先生が書き込んで、子どもたちがまた書いていく。これは新しい教え方として大きな効果があると感じ、何とかすべての学校で1人1台にしたいと思いました」と、飯山市長の足立正則氏は語る。
こうした経験を背景に持つ飯山市では今回、文部科学省の「GIGAスクール構想」に基づく児童生徒の1人1台端末環境を実現するため、マウスコンピューターのWindows 10搭載のタブレットPC「MousePro P101A」1161台の導入を決定した。
長野県飯山市長
足立正則 氏
飯山市教育委員会
教育長 長瀬哲 氏
飯山市教育委員会
教育部長 常田新司 氏
タブレットPCの利用で、
双方向でやり取りする授業を実現
飯山市では、ICT教育の土台作りで大切なのは教員を牽引するリーダーの養成だと考え、教員1人を上越教育大の大学院に2年間留学させた。「その教員を核にして、市内の各小学校の教員たち向けに研修会を行い、ICT活用研究会も作りました」と飯山市教育委員会の教育長である長瀬哲氏は説明する。
こうした活動は木島小学校が核となり行われた。2016年の「ふるさと学習」では、子どもたちが米作りの現場をタブレットPCで取材し、撮影した写真を発表。さらに後日、そのお米を使って作ったおにぎりをタブレットPCで撮影し、大型ディスプレイに投影して発表するなど、タブレットPCの活用を深めていった。また、プログラミングの授業ではタブレットPCでプログラムを作ったり、長野高専の教授と学生の力を借りて、マイコンを使ったゴミの自動分別機の作成などにも取り組んだ。
「木島小学校では、タブレットPCを教室で使えるようにするためにWi-Fi環境を整備し、教室には大型ディスプレイを設置。授業支援クラウド『ロイロノート・スクール』を導入して、先生と子どもたちが使えるようにしました。今まで授業は先生が黒板に板書したものを子どもたちが書き取るというやり方でしたが、タブレットPCを使い、大型ディスプレイに映すことで双方向でのやり取りができるようになりました」と飯山市教育委員会の教育部長である常田新司氏は、その取り組みを振り返る。
1人1台端末採用の決め手は、
堅牢で安心して使えること
飯山市が導入を決めた「MousePro P101A」
飯山市ではこうした木島小学校でのタブレットPC活用の経験を通して、教育現場で使う端末の機能や性能を明確にしていった。そして、こうした実践における知見を踏まえた上で、GIGAスクール構想対応端末として導入を決めたのが、マウスコンピューターのWindows 10搭載のタブレットPC「MousePro P101A」だ。
「MousePro P101Aを採用したのは、WindowsPCでMicrosoft 365 Appsプリインストールに対応しているため、子どもたちが将来社会人になった時に必要となるであろうOfficeソフトに慣れ親しむことができることが大きいです」と常田氏は語る。また木島小学校の経験から、MousePro P101Aは堅牢で、子どもたちが多少手荒に使っても、大丈夫であることが分かったことも大きいという。「マウスコンピューターは国産メーカーなので、安心して使えます。サポートもしっかりしていて、運用していく上での信頼性も評価しています」(足立氏)。
自宅持ち帰り、オンライン授業など
幅広い学びでの利用を計画
東小学校における「MousePro P101A」を使った授業の様子
飯山市教育委員会では1人1台タブレットPCが使えるようになることで、子どもたちの学習に対する興味が向上し、集中して学ぶことができるようになると考えている。そこで、子どもたちがタブレットPCを自宅に持ち帰って、自由に使えるようにしていくことを計画しているという。
そうなると、教員が子どもたちに出す宿題や課題への取り組み方は、今までとは大きく変わってくる。「子どもたちが自ら学ぶ力を付けていくことが一番大切です。学校で学んだことを家に帰って、タブレットで復習する。例えば、鶴亀算がよく分からなかったら、鶴1羽の足は何本か、亀が1匹増えたら、足はいくつ増えるのか、簡単なところから始めると理解が進みます。自宅にタブレットPCを持ち帰って、子どもたちが興味を持って学べるような手だてを講じていきます」(足立氏)。
子どもたちが自由にタブレットPCを使うことができるようになれば、夏休みの絵日記をはじめ、さまざまな形で応用することも可能だ。「飯山市は自然に恵まれ、四季折々の変化と景観の豊かさと古い寺社や史跡、祭りなどの行事もたくさんあります。それを子どもたちがタブレットPCで自由に撮影して編集し、絵日記にできるようなところまで使いこなせるようにしたいと考えています。今回の1人1台端末はその第一歩です」と、長瀬氏は語る。
飯山市が近年ICT教育に取り組んできた経験は、コロナ禍でも役立っている。以前からタブレットPCを使ってプログラミング学習などに取り組んできた東小学校では、2020年夏に行く予定だった長野県庁への社会科見学をオンラインで行った。さらに、2021年6月から7月には、オンラインで南極昭和基地とつないでインタビュー学習を行うことも計画している。
またICT教育支援員が各学校を回り、学校が休校などで、リモート授業が必要になった時のことを想定した教員向けの研修も実施するという。その中で、教員が子どもたち1人1人とオンラインでつながり、宿題を出したり回収したりできるスキルを身に付けてもうらことが狙いだ。「先生たちよりも早く覚えるくらい、子どもたちはタブレットPCに興味を持っています。AIが当たり前になる時代に生きていく子どもたち対して、私たち上の世代の人間は今何をやることができるのか。それを常に考えながら、ICT教育に取り組んでいく考えです」と長瀬氏は締めくくった。
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