特別トップインタビュー
Moxa

ミッションクリティカルな産業のネットワークを実現

産業用IoTとデジタル化で
OTとITをつなぎ
日本と台湾をつなぐ

Moxa
アジアパシフィック担当ディレクター
Moxa Japan 合同会社 社長

陳 昌林

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産業用通信やネットワーキングの分野でグローバル市場をリードする台湾のMoxa。単なる通信機器メーカーではない、ITの考えとミッションクリティカルなOT(Operational Technology)をよく知りながら、ITとOTの架け橋を目指している。アジアパシフィック担当ディレクターの陳昌林氏に日本市場に向けた取り組みについて聞いた。

貴社の注力事業について、沿革や企業理念を交えて、改めてお聞かせください。

 当社は1987年の設立以来、産業用IoT(IIoT)ソリューションに力に入れてきました。これまで全世界で7100万以上のデバイスを接続しています。世界各地に13の拠点を持っており、製造はすべて台湾で行っています。

 Moxaはミッションクリティカルな産業機器で高い接続性を実現できる企業です。輸送システムを中心に、鉄道や、高速道路、トンネルなどの高度道路交通システム(ITS)、ファクトリーオートメーション(FA)、製造業、食品・飲料、自動車、再生可能エネルギー、電力、石油・ガス、船舶などを手掛けています。

 さらにIIoT業界での当社のパートナーには、標準化団体のODVAや、相互運用性の標準化団体OPCに加え、クラウドサービス業者がいます。さらにはFA関係ではITS事業のコンサルティング会社ともパートナーを組んでいます。

貴社の強みを教えてください。

 Moxaは特許技術を複数保有しています。代表的なのがネットワークの冗長化に関する技術です。私達の特許技術“Turbo Ring” 及び“Turbo Chain”ではネットワークで障害が起きた際にR-STP(Rapid- Spanning Tree Protocol)よりも素早い回復を可能にします。産業用ネットワークでは、たとえ高速の冗長構成をしていても、ネットワークの回復がとても重要です。産業用では1秒の遅れは許されず、当社は数ms(ミリ秒)以内での回復を実現します。

 もう一つの強みは、IIoTをはじめ様々な分野で、標準化の策定に携わっていることです。近年では、ヨーロッパにおける鉄道通信の革新に貢献する新しいネットワーク技術Shift2Rail標準規格の作業にも参加しています。

 さらに、品質の高さも当社の特長です。当社はアジア企業に先駆けて国際鉄道産業標準規格(IRIS)を取得しています。鉄道輸送システムでは、10年、20年にわたって品質を保証した部品を供給し続けなければなりません。ISOでも品質管理システムをカバーしていますが、製品を供給する上での標準化が必要とされます。しかし、こうした長期間にわたり、販売からマーケティング、研究開発、製造に至るまでのきちんとしたドキュメンテーションを作れなければならず、当社はこれを実現できる数少ない企業の一つです。

OTとITをつなぐ

現在、注力している分野についてお聞かせください。

 近年はとくに、OTとITの融合にフォーカスしています。IIoTでは、OTとITプラットフォームとの間で大量の高品質データが収集・共有されるため、多くの接続されたデバイスとシステムが必要です。Moxaでは、信頼性の高い安全なデータ収集と分析を容易にするために、エッジからクラウドへの接続を簡素化したアーキテクチャーを提供しています。

 従来は、OTとITをつなぐことはそれほど重要ではありませんでした。例えば、PLC(プログラマブルロジックコントローラー)は分散システムとして機能しており、各PLCがそれぞれの場所で動作していました。しかし現在は、それぞれカスタム化された大量のPLCが、生産ライン中で交換や設定を変更しています。PLCなどのフィールド機器から生成された大量のOTデータが、インテリジェントな分析をされ、生産性と運用効率を大幅に向上させるためには、ITとOTの統合は不可欠です。

 またさらに進んできた多品種少量時代に合わせて、様々な分野をカバーしながら、OTデータを接続・変換するネットワーキング技術を保有しています。

産業用のネットワークは、CC-LinkやFieldbusなど、各社各様のプロトコルに分かれています。Moxaはどのように産業機械をつなぐのでしょうか。

 当社は35年前に、シリアルデータをTCP/IPに変換する技術を開発しました。独自のプロトコルではなくTCP/IPプロトコルに変換することこそが、当社のコアコンピタンスです。例えばCC-LinkやFieldbusでは、インターネットでよく使われて標準となっているTCP/IPに変換します。今ではOTの様々なデータフォーマットをITでTCP/IPに変換可能です。

日本と台湾は互いに助け合える相補的な関係

2021年のビジネスの状況および、今後の戦略・展望をお聞かせください。

 台湾では2021年の第3四半期のGDPは3.7%成長でした。輸送部門はとくに成長しています。ただし世界的な部品不足によって、ポストコロナの2022年には少しスローダウンするかもしれません。しかし投資も始まっていることから、私は部品不足がそう長く続くとは考えていません。

 Moxaでは近年、日本市場にフォーカスしています。2020年に日本法人を立ち上げ、システムを台湾から日本へ販売してきました。日本政府は2050年までの指針として、半導体サプライチェーンにおけるレジリエンス(回復力)と、カーボンニュートラル、そしてデジタル化の3つを掲げていますが、ちょうど当社の最大の強みと一致しており、お力添えできると確信しています。

最後に、日本の読者やユーザーに向けて、メッセージをお願いいたします。

 お伝えしたい言葉が3つあります。「感謝」「絆」、そして「経済復興」です。日本と台湾は、文化や歴史を背景に非常に特別な結びつきがあります。ビジネスとしても、相補的な関係にあるはずです。

 日本は、工業オートメーションのリーダーです。世界的に知られた多くの製造企業があります。一方、台湾には半導体IC企業があり、ソフトウエア企業が栄えています。Moxaはハードウエア企業ですが、述べたようにプロトコル変換のソフトウエア指向の企業でもあります。だからこそ互いに補える、つまり相補的な関係ができます。当社が持つIIoTのノウハウやネットワーキング技術と、日本の得意な製造業との相補的な関係によって互いに強固になれることを願っています。

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OTとITをつなぐMoxaのポートフォリオ

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