各界の識者が徹底放談!働き方と組織の未来とは

去る12月2日、オンラインで開催された「NEOJAPAN 未来会議」は、株式会社ネオジャパンの「未来構想プロジェクト」第一回のイベントだ。グループウェア「desknet's NEO(デスクネッツ ネオ)」を開発・提供する同社は、未来の暮らし方や働き方が少しでも良い方向へ向かうよう、コミュニティインフラとしてのグループウェアのあり方を描き、理想の未来の実現を目指してこの取り組みを始めた。社会学、IT、生物学という分野の異なる各界の識者が、これからの働き方や未来を存分に語り合った。

今見直すべき日本的経営

パネリストは、スリランカ出身で羽衣国際大学 現代社会学部 教授で、テレビ・ラジオなどでも活躍する、にしゃんた氏、「電気かデータが流れるもの全般」に関するフリージャーナリスト 西田宗千佳氏、広島大学 大学院統合生命科学研究科 教授で、極限環境に生息する生物を研究し「科学界のインディ・ジョーンズ」と呼ばれる長沼毅氏の3名。モデレーターはScrum Ventures Vice President of Strategy 桑原智隆氏、ヴァイオリニストで「desknet's NEO」キャラクター松尾依里佳氏がアシスタントを務めた。

羽衣国際大学教授・タレント
にしゃんた

それぞれの自己紹介の後、にしゃんた氏が日本の会社組織を振り返った。「私の故郷スリランカは元植民地で、カースト制度もあり会社でも階層が強い。例えばトイレや食堂が、職位ごとに3つあります。そんな社会に80年代日本企業が進出しました。日本企業ではみんなが平等で人を人として見ており、管理職も社員も一緒に食事や飲みに行きます。このような日本的経営の素晴らしさに感動して来日。80年代から90年代前半ごろずっと日本的経営について学んでいたのですが、気がついたらそれがなくなっていました。現在は外国人実習生の処遇など一部に問題があり、変質も感じます。私が感激した、人を人として扱うという本質的なところは、なんとしても変わってほしくない」。

その後組織の課題について議論。長沼氏が「一人ひとりの幸せを基準に、成長神話を見直すべき」と主張。西田氏は、「本来、組織は規模や目的によって目指すものは変わるはず。その組織にとって何が重要かを見直し、何を目指すかをはっきりさせることが重要」と語る。

人のための組織に求められるもの

広島大学教授
長沼 毅

休憩の後、「人のための組織のあり方とは?」をテーマにセッション2が開始された。冒頭で、長沼氏が生物学の見地から組織について語った。「20世紀の生物学は同じ遺伝子を残すことが重要という考え方でしたが、21世紀の生物学は多様性が重要になっています。もう一つ重要なのが冗長性です。私が研究する極限生物の中には人間が5分で死ぬような強い放射線の下でも生きられる菌がいます。これは放射線に強いわけではなく、ゲノムのコピーをそれぞれ4つくらい持っており、ダメになってもすぐに修復する。だから強いのです」。それに呼応して西田氏は、「半導体の世界でも同じような考え方があります。例えばスマートフォンなどに使われるフラッシュメモリーは最初から多少ダメでもいいという設計がされています。完璧なものを作るより、98%くらいで設計した方がコストも見合う」と語る。組織も、多様性はもちろんのこと、失敗を許容しそこから学び新たな成功を目指す文化が重要で、失敗が許容されない組織はもろい。生物、テクノロジー、組織とも、多様性と冗長性が重要と言えそうだ。

DXの本質はデジタル活用ではない

フリージャーナリスト
西田 宗千佳

次にデジタルトランスフォーメーション(DX)の本質について西田氏が語った。「今政府がExcelの書き方を指導しています。これまでのExcelファイルの多くは人が見るために作られていました。そのため、例えば1つのセルの中に複数の多様な情報が記入されており、デジタルですが紙のためのデータでした。これではデータとして二次加工できないので、本質的にデジタルなExcelファイルの作り方が必要になっています。また、大手映像配信会社のネットフリックスでは、社内の備品や食べ物を社員が自由に持って行って構いません。管理しようとすると管理のための人やしくみが必要になります。そんなことにエネルギーを使うのは非効率だと考え、管理自体をやめたのです。これらはいずれもDXであり、DXの本質はデジタルツールを使うことではない。働き方の改革であり、企業の改革です」。これに対して長沼氏は、「ネットフリックスの例は、持って行っていいというルールを作ったわけです。ルールというのは考えなくてよくするためのもので、考えてもよく分からない法律や制度はルールでもなんでもありません。組織は何のためにルールを作っているかを、改めて考え直した方がいい」と指摘した。

西田氏はさらにデータの扱いにも言及。「データ活用が言われ、名刺交換した人からDMがよく来ます。しかし、あれはほとんど意味がありません。データは何のためにどう使うかを考えて集めなければ役に立たず、それは会社ごとに違います」。それに対して桑原氏は、「確かにビッグデータやDXは目的ではない。目的がないままデータを集めても、むしろリスクになる。あくまでも目的を達成するための手段です」と指摘。一方長沼氏は、「データは今リソースが足りないだけで、無限のリソースがあれば何も考えず自動的にためるという選択肢もあるのでは」と提起。対して西田氏は、「データで面倒くさいのは、法律にひっかかるかもしれないというところ。そこはそれぞれの会社が目的と効果に照らして考える必要があり、経営者が判断することが必要です」と答えた。

ヴァイオリニスト
松尾 依里佳

松尾氏は、「これまでdesknet's NEOのお客様を数多く訪問してきました。企業や自治体もありますし、規模も歴史も業種もさまざまですが、共通して言えるのが、皆さんコミュニケーションを大切にされていることです。そのためにdesknet's NEOを活用されており、そう考えるとネオジャパンは、システム開発だけでなく、コミュニケーションデザインをする会社なんだと最近痛感しています。今、官公庁を含む日本の組織は生産性の向上が求められていますが、その視点でコミュニケーションを含めDXを進める上でのポイントはどこにあるとお考えですか」と質問。西田氏は、「組織にはいろんな不便がありますが、その不便が上司や周囲に理解されていません。DXの本質の1つは不便を解消することです。不便の解消には、コミュニケーションによって互いの不便が伝わらなければならず、それを分解して解消するためリーダーシップも必要です。すなわち現場の話であると同時に、それを理解する経営者の話でもあります」と答えた。

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