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オンライン配信セミナー ニューノーマル時代を勝ち抜くITインフラとは Review オンライン配信セミナー ニューノーマル時代を勝ち抜くITインフラとは Review

新型コロナウイルス感染拡大によって多くの企業が深刻な影響を受けているが、一方でこの不測の事態に直面するなかで、今こそデジタルトランスフォーメーション(DX)を成し遂げていこうという機運も高まっている。この取り組みを支えるITインフラと企業風土改革のあるべき姿など幅広い情報が発信された。

基調講演 コロナ禍のピンチをチャンスに変える
今こそ変化に強いITインフラでDX推進を

桔梗原 富夫
日経BP総研 フェロー
桔梗原 富夫

 DXは言葉としては定着してきたが、日本企業の推進状況は遅れている。日経BP総研 イノベーションICTラボの調査によると、「積極的に推進している」が12.8%、「少しは推進している」が34.8%で、合わせても半数に満たない。

 進まない理由としては、(1)経営者のデジタル感度が低い、(2)DXを推進できる人材が不足している、(3)老朽化した基幹系システムの維持にリソースが割かれてDXのためのITインフラやデータの整備ができていない、といったことが挙げられる。

 DXを推進するためのITインフラには、変化に強い俊敏性や、データドリブン経営への対応、ビジョンを見据えた全体最適化という3つの視点が重要になる。コロナ禍で変化への対応力という要素がより求められるようになった。

 クラウド利用にも変化が見られる。複数のパブリッククラウドとプライベートクラウドとを組み合わせて使うハイブリッドクラウドが主流になってきた。アプリケーションの開発手法では、クラウドの利点を生かせるコンテナ技術を導入する機運が高まっている。

 DXの本質はビジネスの変革であり、組織風土まで変える取り組みになる。コロナ禍によって人々の固定観念が変化した今こそ、企業文化を変革するチャンスである。ビジネスにおける価値創出の中心は急速にデジタルに移行しており、それに乗り遅れれば敗者に陥るだろう。ピンチをチャンスと捉え、DXを推進できるかが今、問われている。

ソリューション講演(1)富士通 富士通が2つのクラウドサービスを軸に描く
“ハイブリッドIT”へのアプローチ

谷内 康隆 氏
富士通株式会社
戦略企画・プロモーション室
クラウドストラテジー統括部
統括部長
谷内 康隆 氏

 多くの企業でクラウドサービスが導入され、基幹システムや周辺システムのクラウド移行も着実に進行しているが、そのようななかでも心配や悩みは尽きない。たとえばデータの消失や漏えい、あるいは障害による業務停止は最大の懸念である。また、システムごとに移行時期が分散するために合理的な移行計画の策定が困難といった課題にも悩まされている。

 こうした課題を抱える企業に対して富士通が提供しているのが、FUJITSU Hybrid IT Service FJcloudだ。そこには2つのサービスラインアップがある。まずはFJcloud-O。富士通の谷内康隆氏は、「仮想化技術であるハイパーバイザーのKVMからクラウド管理のOpenStack、ゲストOSまでフルスタックを、Red Hat社のオープンソース技術をベースに構成しています。他のクラウドサービスよりも長期間にわたるRed Hat Linuxの延長サポートが利用できることが特長です」と紹介した。

 もう1つはFJcloud-V。こちらはオンプレミスの仮想環境で圧倒的なシェアを誇るヴイエムウェアの技術をベースとするクラウドサービスである。「オンプレミスとのハイブリッド構成の利便性を追求し、VMware vSphere®環境との親和性の高さを生かした容易なクラウド移行をサポートしています」と谷内氏は語った。

 どちらのサービスも基幹システム向けの国産クラウドとして、お客様に最適なインフラを提供している。

図:基幹システムのクラウド化を実現するために重要な3つのポイント

現実的なクラウド移行を実現する3つのポイント

 富士通がこうしたクラウドサービスを提供していくうえで重視しているのは、次の3つのポイントである。

 1点目はデータを守ること。データは企業にとって最重要の資産であるため、万が一にも消失・流出しない、絶対的な安心が必要とされる。「日本国内の堅牢なデータセンターからサービス提供され、国産のクラウドサービスとしてデータを海外法規から守ることや、専有環境の提供によりサーバやストレージなどのリソースを物理的に隔離することで、データの漏えいや消失のリスクを抑止することにも注力しています」と谷内氏は強調した。

 2点目は業務を止めないこと。「FJcloudは障害が起きても業務影響を最小限にするようサービス基盤をすべて冗長構成にしています。機器メンテナンス時はシステムを切り替えながら実施します。基本的にサービス停止はありません」と谷内氏は訴求した。さらに、データ分析やAI活用によって安定稼働を実現する仕組みを導入しているという。

 3点目がクラウド移行のサポートだ。オンプレミスの既存資産をいったん富士通データセンターのハウジング/ホスティング環境にそのまま移して段階的にクラウド化していく方法、オンプレミスのVMware vSphere®環境から無停止でFJcloud-Vに移行するライブマイグレーションを活用する方法、一定期間アクセスが無いオンプレミス環境のデータをコストの低いクラウドへ自動的に移行していく方法など、「クラウド移行をより簡単にする多様な選択肢を提供しています」と谷内氏は基本方針を示した。

ソリューション講演(2)富士通 ハイブリッドクラウド環境を見据えた
理想的なオンプレミスを手に入れる

加藤 浩晃 氏
富士通株式会社
インフラストラクチャシステム事業本部
統合商品事業部
事業部長
加藤 浩晃 氏

 ハイブリッドクラウド環境を構成する理想的なオンプレミスのITインフラとはいかなるものだろうか。それは特定の技術者だけではなく、誰でも導入や運用管理を担っていくことができる負荷の低いITインフラだ。またクラウド利用を前提として考えたとき、容易な移行やシームレスな運用を可能とするクラウドとの高い親和性も重要だ。

 そうしたなかで注目されているのが、仮想化リソースの容易な増設を実現するハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)である。

 富士通の加藤浩晃氏は、「富士通は、インテルの最新CPU 第 2 世代 インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載した高性能なサーバとテクノロジーアライアンスパートナーのソフトウェアとの組み合わせで柔軟な構成を組むことができ、さらに独自の運用・管理ソフトウェアとサポートサービスにより、安心して簡単に使えるHCIを提供しています」と語った。

 具体的には、VMware、Microsoft、Nutanixの3つをラインアップ。設計・検証・構築済みですぐに使えるHCIを、顧客がさまざまなニーズや業務課題にあわせて選択できるよう豊富な商品構成で展開している。

図
ハイブリッドクラウド環境における理想的なオンプレミス。ITインフラの簡単な導入・運用を実現するHCIと強固なデータ基盤となるストレージ製品群

クラウドとの親和性に優れたオンプレミスに求められる条件

 もう1つの重要な要件であるクラウドとの高い親和性についてはどうだろうか。ここで重視すべきポイントは、「クラウドへの移行性」「オンプレミスとクラウドのシームレスな運用」「安心して運用できるサポート」の3つである。

 富士通のHCIならお手軽・簡単にクラウド移行が可能だ。「とくに仮想環境であればライブマイグレーションにより稼働中の複数の仮想マシンを同時に、なおかつほぼ無停止でクラウドに移行できます」と加藤氏は語った。

 また、富士通のストレージ製品ETERNUS AX/HXではFabricPoolというオンプレミスとクラウドをシームレスに組み合わせたデータ階層化機能を提供する。例えば、一定期間アクセスがないデータは、コストの低いクラウドへ自動で移動される。「これにより性能とコストのバランスが取れた最適な環境が実現できます」と加藤氏は強調した。

 さらにオンプレミスとクラウドの双方をトータルでサポートできることも、富士通ならではの強みとなっている。

 このように富士通はオンプレミスからクラウドまでをカバーするソリューションを提供することで、オンプレミスにおけるITインフラの導入・運用管理の徹底的な省力化を図るとともに、企業ごとの多様なニーズに対応した最適なハイブリッドクラウド環境を実現していくのである。

特別講演 IT部門は社内の要望を聞くことから卒業し
事業部門と共に会社を変革する議論を
ISENSE 岡田章二氏 × 日経BP総研 桔梗原富夫

岡田 章二 氏
ISENSE
代表取締役社長
岡田 章二 氏
桔梗原 富夫
日経BP総研
フェロー
桔梗原 富夫

 DXを成功に導くために、企業はどのように組織・風土改革すればよいのか。特にIT部門はどう変わるべきか。ファーストリテイリングの執行役員CIO、RIZAPグループの取締役CIO兼CSOとして変革をリードし、2019年にISENSEを設立した岡田章二社長に、日経BP総研の桔梗原 富夫がアドバイスを求めた。

 これに応じて岡田氏は「まず前提として、製品・サービス・ビジネスモデルを変革するのがDXであり、経営トップが主導し事業部門が主体的に動く必要がある」と指摘した。DXサーベイ2では、多くの経営トップは現場任せで協力的でない結果となっているが、重要経営課題と認識し主導しなければ、事業部門が本気になるはずもない。

 その上で、「IT部門は事業部門以上に業務を理解し、部門リーダーと対等の立場で一緒に課題解決を議論できるように変わるべき。ベンダー任せの仕事のやり方からも脱皮する必要がある」と、自らの経験を踏まえて語った。

 「社内の要望に応えて感謝されるIT部門から卒業しましょう」ともアドバイスする。要望を聞いてきた結果、システムが肥大化し、保守も煩雑化して運用コストが上昇する「2025年の崖」問題を招いているからだ。それよりも、事業部門と一緒に会社を良くする議論に時間を費やす。

 これを受けて桔梗原も「これまでどおりIT基盤をしっかり支えていくことは重要な使命だが、DXの推進役としての役割が求められる」と語り、IT部門に一層の奮起を促した。