日経クロステック Special

BMWグループやNASAなどで採用される大規模空間非接触測定機 高精度と圧倒的な効率性でスマートファクトリー化の新たな可能性を切り拓く

形状計測困難な場面こそ
APDISの特長が際立つ

 APDIS活用の可能性は自動車産業だけに留まらない。「大型製品の形状を、非接触で高精度に、しかも高速かつインラインで計測できるAPDISは、アイデア次第でスマートファクトリーの価値向上に大いに貢献するはずです」と中山氏は話す。

 例えば先述の通り、航空宇宙産業で扱う装置や機体のように大型でありながら高い精度も求められる製品の生産工程での品質管理にレーザーレーダは最適であるとして、NASAでも採用されている。計測機の取り回しが困難な広い生産現場に置かれた製品を、目視できない高所に至るまで離れた場所から形状を隅々まで正確に測ることが可能。人工衛星のアンテナのような繊細な部品が付いている装置でも、非接触式であるため損傷を心配することがない。

 さらに、大型船舶のスクリューや風力発電用タービンブレードなどの生産管理にも活用可能だ。風力発電用タービンブレードの生産において、長さ60mのブレードの生産工程でレーザーレーダを活用し、全体の変形量を測定しながら加工機の位置を調整して、設計通りの仕上がりを目指している事例がある。

 非接触式である利点を活用すれば、加工途中の高温や低温状態の仕掛品の形状の計測も可能だ。計測結果を、加工条件を効果的に調整するために活用できる可能性がある。

 「APDISは今後、小型製品をより高精度に計測できる方向へと進化させていく予定です。また、工作機械などの中に組み込み、ワークや工具の状態を探りながら加工条件を自動調整するような夢のような展開もあり得ると考えています」と中山氏。スマートファクトリーにおけるAPDISの利用シーンはさらに拡大し、近未来の工場を支える存在になっていくことだろう。

製造業の大規模形状測定の自動化に貢献

自動車

自動車の新車生産の立ち上げ時に行う接触式3次元測定機を使ったフィーチャー計測では、生産ラインから計測室への輸送、計測点間の移動、さらには計測点1点当たりの計測に、それぞれ時間がかかり、1台分のボディの計測には丸1日費やしていた。APDISを活用すれば、計測時間が従来の接触式3次元測定機比で6分の1以下に短縮し、迅速な立ち上げが可能。本格的な量産開始後にも、インラインでの全数測定による品質管理に活用する試みがある。

従来の接触式3次元測定機の置き換え

航空

すでにAPDISの従来機は、航空機の生産現場などで高いシェアを誇り、旅客機を含む機種の胴体、主翼、尾翼、エンジンナセルやCFRP成形品の工程検査など、多様な場面で活用されている。航空機は、広い敷地の現場で組み立てられるが、APDISは前世代機に比べて約25%の小型化、約40%の軽量化が実現したため、移動しての測定がより容易になった。

インライン全数測定

風力発電

風力発電用のタービンブレードは巨大であり、その形状が設計通りでないと発電量に大きな影響が及び、破損してしまう恐れもある。形状を確認し、加工機の位置を微調整ながら加工を進める必要がある。APDISを活用すれば、計測時間短縮と作業者依存を改善できる。

Gap&Flash測定

宇宙

大型でありながら精密な形状であることが求められる人工衛星に使用されている反射率の高いアンテナの計測には、APDISのようなレーザーレーダの活用が欠かせない。レーザーレーダなら計測する表面の前処理が不要であり、非接触での測定を実現する。