「Adapt To The Future」をテーマとした「NTT DOCOMO VENTURES DAY 2021」が、2021年3月9日にオンラインで開催された。多くの有望なスタートアップが参加する中、国内外ですでに実績を積み上げつつある3社が、メディア向けにブース展示でアピールした。

営業や製造業のデジタル化・効率化をサポートする3社

●RevComm

 「音声(Voice)×人工知能(AI)のプラットフォーマーを目指す」を掲げ、2017年に創業した日本のスタートアップであるRevComm(レブコム)。電話営業・コールセンターを人工知能で可視化するサービス「MiiTel(ミーテル)」を提供している。

 同社が着目したのは、電話営業やコールセンターにおいて、担当者と顧客が「何を」「どのように」話しているのかが不透明であるため、営業の「なぜ」を明確化できない「ブラックボックス問題」である。この課題に対して、MiiTelでは人工知能によって担当者と顧客が話している内容を可視化し、生産性の高い営業の実現をめざす。

 パソコンの画面上で顧客に電話できる仕組みを用意。すべての電話内容が録音・解析、テキスト化されるとともに、応対評価として「全体スコア」「Talk:Listen比率」「被り回数」「ラリー回数」「話速」なども自動で記録される。スマホアプリも用意しており、スマホからかけた通話にも対応可能だ。

MiiTelの画面イメージ

 また、データをまとめた統計情報の閲覧も可能。電話でアポイントを獲得できた回数や時間帯などが、グラフやヒートマップでチェックできる。さらに、担当者ごとの集計情報も見られるため、「教育ツールとしても活用できる」と同社 Alliance推進の大塚響子氏は補足する。

 MiiTelは、サービス開始から約2年半で450社以上が導入。インターネットで転職サイトなどを展開する企業の事例では、利益増加やコスト削減などによって「Net ROIは+538%」(大塚氏)になったそうだ。

RevComm Alliance推進 大塚響子氏

 顧客ニーズとしては「コーチングと可視化の両面がある」(大塚氏)。例えば、コールセンターなどのリーダーにとっては「メンバーの教育観点での強み」に注目が集まる。その一方で、マネージャー以上の経営層は「社員の業務内容の可視化」に興味を持つそうだ。

 そのほか、RevCommはNTTグループとの協業で、新たなビジネスの創出なども手がけている。その具体例の1つがNTTドコモのAI電話サービスとMiiTelを組み合わせた取り組みだ。かかってきた電話に対してまずはAIが自動対応し、有人対応に切り替わった場合はMiiTelのシステムを利用する仕組みとなる。

●Senseye

 2014年に設立した英国のSenseyeは、AIによる機械学習を活用した製造業向けの予知保全(PDM)ソリューションを日本や米国、欧州などで展開。機械に依存せず、さまざまな設備に対しての予知保全が可能なソフトウエア「Senseye PdM」を提供している。

 Senseye PdMは、工場にあるセンサーデータやIoTミドルウエアが取得したデータを使用し、機械の将来的な故障時期を予測することが可能。機械の種類を問わず対応できるなど、拡張性に優れている点が特徴の1つだ。

「Senseye PdM」の画面イメージ

 サービスの流れとしては、独立した専用の機械学習アルゴリズムが、ユーザーの提供データから機械故障のメカニズムを理解し、ユーザー向けに可視化されたデータとしてフィードバックする。これにより、機械の状態監視に加えて、AIによる故障の予知保全にも対応する。

 製品はクラウドで提供され、ユーザーはブラウザで操作・閲覧する。そのため、利用するPCへのソフトウエアなどのインストールなどは不要。1台から始めることが可能で、100台、1000台へと拡張することもできる。

Senseye Strategic Account Manager 山口和歌子氏

 さらに「計画外のダウンタイムの削減に貢献することで、ユーザーのROIを保証する」という点も大きな特徴の1つ。同社 Strategic Account Managerの山口和歌子氏によれば、「1年以内に計画外のダウンタイムを回避することで得られる節約効果がサブスクリプションのコストを上回らなかった場合は、再保険会社とともに支払金額を返金する契約もある」としており、「自社製品にそれだけの自信がある」と力説した。

 なお、SenseyeはNTTドコモ・ベンチャーズからの出資を受けている。資金面でのバックアップはもちろんだが、山口氏がさらに期待するのはNTTドコモの「ネームバリュー」である。出資によって「NTTドコモが信頼するソリューション」というお墨付きを得たことが、「日本展開での大きな訴求力になる」と話す。今後の展開として5Gでの新しいソリューション展開におけるNTTドコモとの協業予定もあることから、「そのアピールにもつなげていきたい」と考えている。

●Crosser Technologies AB

 2016年に設立されたスウェーデンのCrosser Technologies AB(以下Crosser)は、製造業向けのエッジ処理型データ活用プラットフォームを提供。Crosserのソリューションは、昨今の製造業で叫ばれている「スマートファクトリー」を推進する重要なサービスとなる。

 解説を担当したNTTドコモ・ベンチャーズのダオ グエン ジュン氏は、Crosserのソリューションの特徴を3つ挙げる。1つ目は、導入のしやすさに配慮した「セルフサービスとシンプルさ」。2つ目は、拡張性を踏まえたカスタマイズモジュールによる「完全な柔軟性」。そして3つ目は、安全な展開や大規模の設定更新を可能にする「大規模スケーラビリティ」である。

Crosserのソリューションのイメージ。スウェーデン本社のCEOもオンラインで参加

 ソリューションの心臓部は工場のエッジ領域に配置する「リアルタイム・エンジン」だ。特徴としてストリーミング分析が可能で、さまざまな機械から取り出した生データをリアルタイムに分析し、その処理済データを別レイヤーのソリューションに転送する機能を持つ。例えば、下層レイヤーで別々の機械をつないで制御するM2M通信(Machine To Machine)や、その上のレイヤーにある製造実行システムのMES(Manufacturing Execution System)、さらにその上のリソース管理システムであるERP(Enterprise Resource Planning)などと連携することが可能。具体例としては、機械から取り出したデータをCrosserのソリューションが処理し、前出のSenseyeに受け渡すといったシステム構築もできる。このように、幅広く適用できる汎用性が大きなメリットだ。

 もう1つの大きなメリットがコード不要のプログラミング。ダオ氏によれば、従来のエッジ処理型IoTソリューションではコードを書く開発力が求められたが、Crosserのソリューションでは多彩なモジュールを用意しており、「ユーザーはそのモジュールをドラッグ&ドロップでつないでいくだけで、データの分析や加工、変換などが可能になる」とのこと。その特徴を踏まえ「非常に導入しやすい」とアピールした。

NTTドコモ・ベンチャーズ ダオ グエン ジュン氏

 NTTドコモ・ベンチャーズでは、BtoBで成長する気鋭のスタートアップを幅広くサポートすることで、各企業が抱えるさまざまな課題に対して柔軟かつ的確なソリューションを提案できる体制が整いつつある。さらにSenseyeとCrosserのように、システム全体に対して別々のソリューションを一気通貫で提供することが可能になってきた。各スタートアップの成長とともに、NTTドコモやNTTドコモ・ベンチャーズが打ち出す今後のサービスやソリューションの提案戦略にも期待が広がる。

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