スポーツ施設の未来「スタジアム&アリーナ2021」

スポーツをコアに街全体を活性化。パナソニックのソリューション

パナソニック エレクトリックワークス社では、2020年4月にスポーツビジネス推進部を設立。照明と映像、音響を連動させた演出やデジタルマーケティングによる経済効果向上など、多彩な技術を持つ同社ならではの提案を各地に広げていこうとしている。
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社 スポーツビジネス推進部 部長 宮本 勝文 氏

 かつて日本におけるスポーツは、主に学校教育の一環、もしくは企業の福利厚生の手段として普及してきた。しかしその後、サッカーやバスケットボールなどをはじめとして1990年代からはプロ化が進み、国内のスポーツビジネスの市場も拡大を目指す動きが加速している。

 パナソニックもサッカー、ラグビー、バレーボールなどのチームを所有し、スポーツビジネスに関わる当事者としての面も持つ。スポーツビジネス推進部 部長の宮本勝文氏も、現役時代は三洋電機 (現 埼玉パナソニックワイルドナイツ)で日本代表として第1・2回ラグビーワールドカップに出場し、引退後は同チームの監督も務めた経歴の持ち主だ。社業に専念してからは海外でのビジネスにも携わっており、スポーツビジネスの状況も視察してきた。

 「欧米におけるスポーツビジネスに対して日本の市場はあまりに規模が小さい。逆にいえば、これからの成長が大きく期待できる。当社の技術を横断的に活用することで、スポーツコンテンツの活性化に貢献できると考えています」(宮本氏)

スタジアム/アリーナの中と外の統合演出で街を活性化

ファン以外も巻き込んで収益性を高めていく

 同社におけるスポーツビジネスのコンセプトとして掲げるのが「スポーツの価値向上と街の賑わいの創出」だ。

 スポーツを街の賑わいを生むための手段の1つとして捉え、そこで開催されるスポーツイベントのコンテンツを同社の技術でサポートすることで価値を高める。それに伴って、地元だけでなく他の地域からも観客が来て経済を活性化させる、という流れを目指す。

 「従来の日本のスポーツでは"勝てば観客が増えて収益の増加につながる"という考え方が主流でした。当社の提案の根底にあるのは、まずファンエンゲージメント(ファンとのつながり)を高めることが大事ということ。観客が来場したときに、ホームやアウェイ、勝ち負けに関係なく満足でき"また来たい"と思ってもらう。そうすれば次回は友人なども連れてきてくれるかもしれない。そして会場周辺で飲食や買い物を楽しんでくれるかもしれない。環境や演出も含めてスポーツコンテンツそのものを魅力的なものにすることで、ファン以外の人も巻き込んで収益性を高め、チームだけでなく、その周辺の環境への投資にもつなげていく。そのようにして市場を大きくしていきたい」(宮本氏)。

会場内外を連動させた演出で街の活性化、市場拡大を目指す

 その手段として同社が提案するのは、照明・音響・映像を駆使した、アリーナやスタジアムの内外を連動させた演出だ。例えば、多目的アリーナ「FLAT HACHINOHE」(青森県八戸市)では、オリジナルのLED照明器具を納入。まぶしさを抑え、競技観戦に集中しやすい環境をつくり、最先端の調光制御技術でシーンを盛り上げる照明演出を実現している。「FLAT HACHINOHEのLED同様の照明器具が、国際バスケットボール連盟(FIBA)認証パートナーとして最上級の認証を取得。当社のLED照明が世界競技レベルであることが証明されました。こうした照明の演出で非日常感を高め、観客、競技者を刺激してスポーツコンテンツとしての価値を高めたい」と宮本氏。

 また、一般社団法人 天王洲・キャナルサイド活性化協会が開
催したイベントでは、和太鼓の演奏などのライブパフォーマンス
に合わせて、その音源と光を連動させた空間演出の
実証実験を行っている。

 「統合的に演出することで観客だけでなく演奏者の
モチベーションも高まります。その場に関わる人たち
全体に熱気が伝わるような演出が可能だと実感しました」(宮本氏)。

 スタジアムやアリーナの外では「アフォーダンスライティング」を提案する。照明の光を動かしたり明暗や色などの変化を加えたりすることで、人の心理や行動に働きかけるものだ。歩行速度に合わせて進行方向に光を動かすことで気持ちよく歩けるようにしたり、ゆっくりと気持ちのいいリズムで光の明暗を繰り返し、落ちつける空間を演出することで滞留性を高めるという働きがある。会場からの退出を促したり、周辺の飲食施設の滞在時間を長くするなどの効果が期待できるという。

 そのほか、顔認証IDの技術を拡充して、会場の施設内外で決済できるシステムについても実証実験を行っている。会員アプリ等で会員情報と顔データを連携させることで、チケットのもぎりなしに入場が可能になる。また周辺の飲食店やショップなどでの支払いも顔認証でできるようになれば利便性も高まり、経済効果の向上にもつながる。

 「会場内の演出は欧米でも一般的。しかし、周辺の街も含めた内外を連動させた演出は、まだこれから。当社のソリューションを複合的に組み合わせていくことで、もっとスポーツの価値を高めて、街の活性化や市場の拡大を図っていきたい」(宮本氏)。

 こうしたパナソニックの取り組みに対して、スポーツ団体の関係者や自治体の施設担当者からの問い合わせが増えてきているという。現在、日本の各地でプロスポーツの拠点が地域に密着して根付いてきており、将来的に持続していくための収益増加の試みが模索されている。そのような状況の中、同社の提案は有効な打開策の1つとして関心を呼んでいるようだ。

実証実験:非日常と日常の融合(天王洲・キャナルサイド活性化協会イベント)
「FLAT HACHINOHE」の紹介
「スポーツソリューション」の紹介
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パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
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