日経クロステック

クラウドとネットワークが切り開く未来、ビッグプレイヤーが手を組んだ理由

クラウドとネットワークが切り開く未来、ビッグプレイヤーが手を組んだ理由

クラウドとネットワークが切り開く未来、ビッグプレイヤーが手を組んだ理由

「Beyond Carrier」戦略を掲げ、通信事業を基盤として最先端のテクノロジーを活用しながら事業領域の拡大を進めているソフトバンク。新しい価値を提供するために、戦略的なクラウドパートナーとして組んだのがマイクロソフトである。ネットワークとクラウドによるコラボレーションがめざす世界観とは? 両社キーパーソンの言葉から、その答えを探る。

「モバイルファースト、クラウドファースト」から急接近

ソフトバンクでは「Beyond Carrier」戦略のもと、通信事業を基盤としながら5G、AI、IoTなどの最先端のテクノロジーを活用して事業領域拡大を図っている。予期せぬパンデミックにより社会全体のオンライン化が急速に進む現在、「Beyond Carrier」が示すビジョンは、まさに“ニューノーマルのスタンダード”になりえる可能性を秘める。

そうした中、ソフトバンクの法人部門はマイクロソフトとの連携を強めている。鍵となるのはネットワークとクラウドの融合だ。2019年8月には戦略的パートナーシップを締結し、「 Microsoft Teams 」向けの音声通話サービス「UniTalk」の提供を開始。Microsoft Teams を通じて「03」「06」などで始まる固定電話番号(0AB-J番号)を利用した音声通話ができるもので、リモートワークでのマルチデバイスによる外線通話を可能にした。

マイクロソフトコーポレーション
パートナー事業本部
戦略パートナー本部 部長
香坂 聡 氏

より踏み込んだ形で手を組んだ背景には、同じ世界観の共有がある。ソフトバンクが強く惹かれたのは、2014年にマイクロソフトのサティア・ナデラCEOが標榜した「モバイルファースト、クラウドファースト」のコンセプトだった。コネクテッドワールドが本格化し、クラウドとビジネスが不可分になり始めた頃の話だ。

その代表例がメールやチャット、ビデオ会議といったコミュニケーション手段を統合したユニファイドコミュニケーション(UC)の隆盛である。マイクロソフトコーポレーション パートナー事業本部の香坂聡氏は、「UCの領域でネットワークと音声サービスが密接にオーバーラップしたとき、どのように通信キャリアと関係を深めていくべきかを検討し始めました。つまりモバイルファースト、クラウドファーストを機にソフトバンクとのパートナーシップを強めたのです」と振り返る。

ソフトバンク株式会社
法人プロダクト&事業戦略本部
デジタルオートメーション事業第2統括部
デジタルオートメーション企画部
事業企画3課 課長
深堀 菜生 氏

ソフトバンク 法人プロダクト&事業戦略本部の深堀菜生氏は「マイクロソフトとの関係性ではクラウドのライセンスだけを販売するのではなく、ライセンスをベースにしてさらに付加価値を提供していきたいと考えていました」と語る。そこでマイクロソフトとともに“新しい音声の世界観”を作り上げていく方向性へと舵を切った。それから約4年の月日をかけて共同開発したのが2019年8月にリリースした”UniTalk”となる。

「マイクロソフトとの連携はBeyond Carrierの構想前から始まったものです。UniTalkは、我々のコアとなる音声事業がクラウドにつながることで新たな価値創造へと発展します。これはマイクロソフトとソフトバンクが一体となって提供されるサービスであり、パートナーシップの最もわかりやすい事例となっています」(深堀氏)

香坂氏は「UniTalkは両社のコアコンピタンスをかけあわせたファーストステップ」と話す。

強みと強みのかけ算によるシナジー

UniTalkは始まりに過ぎず、両社は継続してコラボレーションを続けている。「通信サービスの一部をクラウドプラットフォームの土台で実現し、融合していく経営判断が、世界の通信キャリアの中で早かった。ソフトバンクは、クラウドを本格的に推進するグローバル戦略的パートナーとして位置付けさせていただいています」と香坂氏。ソフトバンクでは、自社の持つ通信キャリアならではの強みと、マイクロソフトが持つグローバルにおけるケイパビリティをかけ合わせた先に生まれるダイナミズムに心を躍らせている。

そんな折、コロナ禍はコラボレーションの先見性を実証する機会となった。今や Microsoft Teams のデイリーアクティブユーザは1億1500万人(2020年12月現在)を突破し、リモートワークに欠かせないツールとして浸透した。ソフトバンクでは現在、Microsoft Teams とUniTalkを最大3ヵ月間無償で利用できるプログラムを展開し、社会貢献の一環としてリモートワーク支援に力を入れている。

「固定電話をクラウドに移行できることから、回線敷設工事も不要です。もはや会社の固定電話は出社しないと使えないものではなく、場所を問わずに利用できるものになりました。いずれ新型コロナが収束しても柔軟な働き方は変わらないはずです。日本でも有数のタッチポイントを持つソフトバンクにご相談いただければ、クラウドは敷居が高いと思われていたお客さまにも幅広くサービスをご提供できます」(深堀氏)

戦略パートナーのマイクロソフトにとっては、こうした顧客との濃密なタッチポイントやサービス提案のわかりやすさがクラウド市場開拓の武器となる。Microsoft Teams とUniTalkはリモートワークで必要とされるツールの一部であり、土台となる「 Microsoft Azure 」をはじめ、「 Microsoft 365 」、仮想デスクトップの「 Windows Virtual Desktop 」など、セキュアな環境でリモートの生産性を高めるサービスをソフトバンクとともに提供できるからだ。

両社の強みを掛け合わせ、最先端ソリューションの提供を拡大していく

香坂氏は「将来的には申込をするだけで企業活動において必要なサービスをクラウドサービスとして利用できるようになるのでしょう。これぞ、クラウドとネットワークが通信キャリアからワンストップで提供される価値にほかならない」と期待を寄せる。一方でBtoB領域での幅広いソリューション提案はマイクロソフトに一日の長があるだけに、双方が補完しながら進めていく構えだ。

巨人同士のオープンイノベーションをめざして

蜜月を物語るエピソードを1つ紹介しよう。2020年10月にオンライン開催された法人向けイベント「SoftBank World 2020」にサティア・ナデラCEOが参加し、ソフトバンクに対するパートナーシップへの期待を述べたのだ。

深堀氏は「双方の関係が深まっていることの証拠。ソフトバンクにとっては非常に大きな出来事でした」と語る。その上で、「連携の当初から伴走してきた香坂さんを中心とするマイクロソフトのソフトバンクチームのみなさんの熱量があったからこそ、大きな組織を動かすことができました。これからも楽しみながらマイクロソフトと事業を拡大していきたい」と話してくれた。

対する香坂氏は「最終的にはソフトバンクがグローバルパートナーとして世界に名を轟かせる地位を確立すべく動いています。我々は真の意味でのビッグプレイヤー同士のオープンイノベーションをめざしているのです」と力強く結んだ。両社には、遅々として進まない日本のDXをブーストする力がある。実りある協業によるブレイクスルーに今後も注目したい。

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