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監視カメラに凝縮された最新テクノロジーエッジとクラウドが示すスマート社会のあり方

監視カメラに凝縮された最新テクノロジーエッジとクラウドが示すスマート社会のあり方

監視カメラに凝縮された最新テクノロジーエッジとクラウドが示すスマート社会のあり方

次世代の防犯・監視カメラとしてクラウドカメラが脚光を浴びている。ソフトバンクが2020年10月から開始した「スマートAIカメラ」はAI画像解析に対応したクラウドカメラサービスで、マイクロソフトの「Microsoft Azure」をフル活用する。「エッジコンピューティング×クラウド」の最先端ユースケースを、両社の取り組みから紐解く。

想像以上に進んでいるクラウドカメラの世界

現実社会のセキュリティにおいて、防犯・監視カメラの世代交代が顕著だ。アナログカメラの市場が縮小し、近年ではネットワーク接続型のIPカメラ、あるいはクラウド連携型のクラウドカメラが主流となりつつある。

クラウドカメラとは文字通り、クラウドとカメラを連携させて、撮影した映像データをクラウド上で保存・閲覧するシステムのこと。クラウドの特性を活かし、PC、タブレット、スマートフォンなどから“いつでもどこでも”閲覧・管理が可能だ。ローカル保存の煩わしさから解放されるばかりでなく、万が一の際にすぐに必要な対応を取ることができる。

さらに最近では、カメラ自体に処理機能を付加したエッジコンピューティングが浸透。現場に設置したクラウドカメラが“遠隔の目”となり、人の侵入や事故を検知してアラートを出すほか、IoT機器のデータを収集して現場の状況を即時に確認できるようになった。

ソフトバンクが2020年10月から提供を開始した「スマートAIカメラ」は、まさにこれらの次世代機能を凝縮したクラウドカメラサービスである。カメラ本体、クラウド環境、アプリケーション、施工、保守運用まで一気通貫でサービスを提供する。

カメラ本体はフルHDの高精細な映像録画、IP66の防水・防塵規格準拠による屋内外の利用、暗視、130度の広角撮影、有線・無線LAN接続に対応しており、幅広い用途で活用可能な仕様となっている。

基本性能の高さはもちろんのこと、ほかのIoTデバイスや各種センサー、POSシステムとの連携、モーション検出、AIによる解析機能をパッケージした点が特長だ。クラウドとシームレスに連携を図りながら、店舗やオフィスの警備、不正なレジ操作の早期発見、混雑状況や温湿度の可視化・管理など、多様な用途で1台のカメラを利用可能。これまでにない緻密かつ迅速な遠隔管理を実現する。

多様なデバイスやAIとの連携で、セキュリティ向上はもちろん、店舗運営の改善まで、
さまざまな用途で使用できる

ソフトバンク 法人プロダクト&事業戦略本部で「スマートAIカメラ」を担当する佐藤大志氏は、「この1〜2年でクラウドカメラに対するニーズが急速に高まっています」と語る。背景には、非効率なアナログカメラ運用の解決、そして人手不足による省人化への期待があるという。

ソフトバンク株式会社
法人プロダクト&事業戦略本部
デジタルオートメーション事業第1統括部
IoTプロダクト企画推進部 プロダクト企画1課
佐藤 大志 氏

「アナログカメラを利用するにはレコーダやハードディスクを設置しなくてはならず、長期的コストがかさんだり、物理的なスペースを確保したりする必要があるといった課題があります。しかし、『スマートAIカメラ』は映像データが全てクラウドに保存されるため、物理的な機器を用意する必要がなく、場所に縛られずに映像を確認できます。

これは、運用・管理の効率化につながります。多店舗展開されているお客さまは複数店舗を遠隔から管理したいと考えていますが、アナログカメラでは難しい。『スマートAIカメラ』なら管理に割くリソースを減らし、省人化が可能になります。こうした理由から、小売業を中心とした対面業務でのニーズが非常に増えています」(佐藤氏)

「スマートAIカメラ」は完全クラウド保存により、セキュアな映像保存を担保。本体がカメラ兼ゲートウェイとなり、映像データとあわせて、連携するIoT機器のデータを収集してクラウドにアップする。クラウドへの通信は暗号化され、ストレージは三重で分散保存するためデータロスのリスクを低減。PCやスマートデバイスでの閲覧時には専用アプリを利用するが、ユーザのID、パスワード認証に加え、あらかじめ紐付けた「スマートAIカメラ」のシリアルナンバーと合致しないと閲覧できない。これにより、IPカメラの乗っ取りのようなリスクは極めて低くなる。

クラウド上での保存日数は契約プランにより異なるものの、蓄積した映像データのダウンロードは無制限だ。佐藤氏は「映像データはカスタマーハラスメントなどで警察への重要な参考物になるため、無制限で入手できる点が喜ばれています」と話す。

クラウドへの通信は暗号化され、セキュアな映像保存が可能

何かしらの問題が発生した場合、従来は撮影した映像データをくまなく確認する作業を強いられた。「スマートAIカメラ」は動体検知機能を標準搭載しており、開閉センサー、温湿度センサーと連携することで、例えばドアの開閉を一つのイベントとして、そのデータと関連付けた映像確認ができる。

「イベントリストに従って映像を閲覧すれば異常を効率的に発見できるため、お客さまにとってかなりの時間削減になります。もう1つの利点は、イベント発生時にスマートフォンへのプッシュ通知ができること。カメラにはマイクが付属しているので、不法侵入があった際などはリアルタイムで遠隔から発声して注意を促すこともできます」(佐藤氏)

セキュリティレベル向上はもとより、
働く環境の向上にも貢献

「スマートAIカメラ」の効果は、セキュリティ向上にとどまらない。

例を挙げると、AI温度検知ソリューション「SenseThunder」と組み合わせれば、従業員のwithコロナ対応とスマートオフィス化に貢献することができる。

「例えば、オフィスのエントランスではソフトバンクの子会社 日本コンピュータビジョンが提供する『SenseThunder』で温度検知、顔認証、勤怠管理を実施します。

オフィスフロアー内では『スマートAIカメラ』を設置し、従業員の稼働率計測、防犯監視、温湿度監視によって、適切な執務環境の維持やセキュリティレベルの向上を図ります。このように、防犯に限らず従業員の働き方にもコミットできる点が『スマートAIカメラ』の優位性です」(佐藤氏)

施設・店舗の稼働率計測、防犯監視、温湿度監視などを実施し、
最適な執務環境や店舗運営をサポートする

「スマートAIカメラ」の拡張性を後押しするのは、エッジコンピューティングとクラウドの密接な関係にほかならない。クラウドには、ソフトバンクと戦略的なクラウドパートナーシップを結ぶマイクロソフトの「Microsoft Azure」を採用。「スマートAIカメラ」の技術を担当するソフトバンク クラウドエンジニアリング本部の角川ひかる氏は、「Microsoft Azure」の採用ポイントをこう語る。

ソフトバンク株式会社
クラウドエンジニアリング本部
PaaSエンジニアリング統括部
サービスデリバリー部
角川 ひかる 氏

「例えば店舗での『スマートAIカメラ』の利用では、混雑率可視化や人流解析、防犯強化に役立てていただいております。 これらの新たな価値や体験を継続的にお客さまへ届けるためには、インフラに対する変化への追随は必要不可欠になります。そこでサービスインフラとしての最適解やサポート品質を考慮した結果、全ての点で 『Microsoft Azure』 がベストであるとの結論に至りました」(角川氏)

ビジネスの成長に合わせ、マルチテナントで進化に柔軟対応

ソフトバンクでは 「Microsoft Azure」 を知り尽くした「MSP(Managed Service Provider)サービス」を展開しており、設計・導入から運用、その後の最適化までをフルサポートで提供できるメリットがある。独自のCAF(Cloud Adoption Framework)とマイクロソフトのベストプラクティスから「スマートAIカメラ」の特性にあわせたカスタマイズを実施し、セキュリティを高めている。具体的にはMSPサービスで用意しているランディングゾーンを用いて「スマートAIカメラ」のインフラが動作するワークロードの監査ログ、ファイアウォールログを収集・分析し、24時間365日の監視/運用対応を行う。

また当初から顧客増加を見据え、PaaSを利用して柔軟に拡張できる設計とした。「ビジネスの成長とあわせたサービス展開ができるようにしました。さらに、複数顧客向けにサービスが提供できるマルチテナント設計で拡張性を持たせています」と角川氏。スピーディなアプリのデプロイや安定したサービス稼働には素早い障害対応が不可欠だが、ここでも質の高いMSPサービスが迅速に原因を究明し、サービス維持に努める。

マイクロソフトコーポレーション
パートナー事業本部
戦略パートナー本部 部長
香坂 聡 氏

マイクロソフトコーポレーション パートナー事業本部の香坂聡氏は「IoTはソフトバンクにとっても、マイクロソフトにとっても非常に戦略的な領域。圧倒的なケイパビリティを誇り、MSPサービスとしても優れているソフトバンクと一緒にIoT領域を拡大していきたい」と話す。マイクロソフトではエッジコンピューティング向けソリューションとして「Azure Percept」を提供しており、将来的には“より賢い”AIをエッジデバイスに組み込むことも可能になる。

「Microsoft Azure」 では新しい機能が随時追加されており、ソフトバンクではそうした動きを踏まえながら「スマートAIカメラ」のアプリケーションを拡張していく構えだ。「これまでできなかったことが可能になるケースもあります。AIを含め、『Microsoft Azure』 運用の最適化を図っていきたいと考えています」(角川氏)

佐藤氏は「今後は、社会全体でより一層の効率化が求められます。一方、効率化とセキュリティは常に両立しなくてはなりません。しっかりとセキュリティを担保しつつ、お客さまにとっての業務効率化に貢献できるサービスをマイクロソフトとともに作り上げていきたいと思います」と締めくくった。スマートフォンがケータイに取って代わったのと同様に、数年後にはAI搭載のスマートカメラが監視カメラの主役になるかもしれない。「スマートAIカメラ」は、十分にそのリーダーになる資質を秘めている。

 
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