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CBTで1人1台端末を有効活用 豊島区が小・中学校向けに導入 基礎学力を正しく評価する「TOFAS」

去る11月9日、教育とICT Days 2021 Autumnにおいて、「『1人1台端末』活用の最前線〜豊島区のCBT導入事例〜」と題するオンラインセミナーがライブ配信された。教育における端末活用の切り札ともいわれるCBTとは何か。株式会社スプリックスが提供するCBT「TOFAS」を導入した豊島区教育委員会では、どのようにそれを活用し、どのような教育効果を上げているのか。セミナーの内容をもとに、「TOFAS」導入の意義やメリット、今後の展望を探った。

文科省もCBTの導入を推進
教育現場の声から生まれた「TOFAS」

 「GIGAスクール構想」の推進により、小・中学校の児童・生徒に1人1台端末の整備が一段落した今、次なるステップとして、端末の有効な活用方法が教育現場では模索されている。

 そのツールの一つとして注目されているのが、紙と鉛筆ではなく、PCやタブレットを使用したテスト形式である「CBT(Computer Based Testing)」だ。作問や採点を自動化してくれるため、教員の働き方改革においても効果が期待されている。

 CBTはすでに海外では幅広く導入され、日本でも民間の英検をはじめとする資格検定試験や「SPI」などの適性テストで採用されている。文部科学省も全国学力テストのCBT化を段階的に進め、2024年度から本格的に導入することを目指している。公教育においてもその注目度が高まることで、CBTを試験導入する動きが活発化しているのだ。

 このCBTにおいて、日本を含む世界複数国で導入されているのが、国際基礎学力検定「TOFAS」である。「TOFAS」は、小・中学生の基礎学力を正しく評価し、分析結果を分かりやすく可視化することで、学力向上に必要な「のびしろ」をフィードバックしていく。世界規模で基礎学力の比較ができる点も特徴だ。

 対象は「計算」「漢字・語い」「英単語」の3科目。これまで世界15カ国、延べ60,000人以上が受検し、日本ではすでに豊島区をはじめ、全国約60の公立校で導入されている。

 「TOFAS」を開発したのは、個別指導塾である森塾の運営など、総合教育事業に携わる株式会社スプリックス。同社ではスプリックス基礎学力研究所を設立し、子どもたちの「基礎学力」の定着を目的に、科学的な観点からの研究・開発を進めてきた。

 また教育基盤事業として、学校の授業準備を効率化する日本最大級の教員向け情報サイト「フォレスタネット」も運営している。これにより、現場で働く教員とのネットワークも築いてきた。

 こうした基礎学力に関する研究とともに、教育現場の生の声をベースにして構築したCBTがTOFASである。

 スプリックス基礎学力研究所で所長を務める梅田修平氏は、「教育環境の変化が激しい今、学力の土台となる基礎学力はこれまで以上にその重要性が高まるでしょう。『TOFAS』には、当社が20年以上にわたり教育事業で培ってきたノウハウが存分に生かされています。画面もシンプルで使いやすく、分析結果も可視化できるため、基礎学力の確実な定着につながります」と話す。

梅田修平氏 スプリックス基礎学力研究所
所長 梅田修平

TOFASの英単語テスト。画面は非常にシンプルで分かりやすく、だれもが操作しやすい TOFASの英単語テスト。画面は非常にシンプルで分かりやすく、だれもが操作しやすい

苦手分野がわかり、自主学習を促す
教員の働き方改革にも効果

「TOFAS」受検の様子 「TOFAS」受検の様子

 今回、豊島区教育委員会では区内の小・中学校8校にTOFASを導入した。選定された小学校では児童がTOFASを受検し、一人ひとりの基礎学力を分析・評価することで新たな学びにつなげている。

 これまで先進的なICT教育を進めてきた豊島区では、GIGAスクール構想の実現を前倒しして、2020年の9月末までに区立の小・中学校に在籍する児童・生徒すべてに1人1台端末の整備を完了してきた。そのため、同区の小・中学校では現在、1人1台端末によるICTを活用した双方向学習やグループワークが日常的に浸透している。そして新たな学習の可能性を広げる次のステップを模索するなか、導入したのがTOFASであった。

 豊島区教育委員会事務局 教育部 指導課 指導課長の佐藤明子氏は、「豊島区では児童・生徒の基礎学力の向上を大切にしています。CBTは日本ではまだあまり知られていませんが、例えばCBTによって児童・生徒の基礎学力がデータとして蓄積されれば、子どもたちや教員がその学びを振り返ることができます。そこで、まずは基礎学力に特化したCBTのTOFASを導入しました」と話す。

 実際にTOFASを活用した小学校の教員は、PCやタブレットを使うことで、準備に時間をかけずに「計算」や「漢字・語い」、「英単語」のテストができる手軽さなどを評価。また、ある教員はTOFAS導入の最大の利点について、「児童それぞれの苦手な部分がすぐに分かるので、その点を本人と共有をしてすぐにフォローアップできます。子どもたちも自分が何につまずいているか自覚できるため、自主学習が進むようになりました」と話す。

 同じくTOFASを導入した小学校の校長は、「これまで教員が多くの時間を割いていた採点や分析業務の負担が軽減しました。テスト結果が短時間で把握できるので、教員の働き方改革にもつながります」と、その効果を語る。教員は空いた時間を活用して、授業で生徒たちと向き合う機会をより多く確保できるようになったという。

 豊島区では、1人1台端末を活用した今回の「TOFAS」導入を契機に、CBT化をさらに進め、子どもたちの基礎学力の習得に力を入れていく方針だ。同時に教員の働き方改革も推進し、業務負担軽減を目指していく。

 佐藤氏はTOFAS導入の意義について、「近い将来、子どもたちの学びにおいてCBTが一般化すると予測しています。今回のTOFAS導入はそれに向けての第一歩。導入した学校では、児童・生徒が自身の学習を管理できるようになるなど、すでに学びの改善が多く見られます」と説明する。

TOFASの結果表。具体的なフィードバックがコメントして記載されている TOFASの結果表。具体的なフィードバックがコメントして記載されている

佐藤明子氏 豊島区教育委員会事務局
教育部 指導課 指導課長
佐藤明子

3つのCBTから成る
「CBT for school」を無料提供

 梅田氏によると、TOFASの導入によって基礎学力の正しい分析・評価の重要性を実感した多くの教員から、他の分野においてもCBTの活用を望む声が上がっているという。

 そこでスプリックスでは、基礎学力を評価するTOFASとともに、小・中学校の主要教科を対象に教育現場の要望を反映して作成した「単元テスト」、サイバーエージェント社と共同開発した、プログラミング概念を体系的に分析・評価する「プログラミング能力検定」という3つのCBTから成る、「CBT fot school」をリリースした。

 CBTを活用し、もっと広く児童・生徒の学力を評価したいという教育ニーズのために、同社ではこの「CBT for school」を2021年度末まで無料で提供している。

 梅田氏は、「まずは活用してもらうことが大事です。1人1台端末とネットワーク環境があれば簡単に実施できます。ぜひ、お気軽にお問い合わせください」と、教育関係者にメッセージを送った。

「CBT for school」はこちらから↓

●「CBT for school」Webサイト
https://foresta.education/cbt/

株式会社スプリックス

TEL:03-5927-9435
Mail:cbt@sprix.jp