サイバーリーズンでも、前述のようなポイントを踏まえたソリューションを提供している。中でも注目されるのが、軍事技術から生まれたAIによる高度なエンドポイント・セキュリティ技術だ。「当社の創業者をはじめとする多くの開発者がイスラエル軍のサイバー部隊出身です。当社のセキュリティ製品には、その知見と実践経験に基づく攻撃分析のノウハウが存分に生かされています」と菊川氏は話す。
例えば、Emotetによる被害を防ぐには、添付ファイル付きメールの受信、マクロによるPowerShellの起動、Emotetのダウンロード/実行、マルウエア通信の確立、内部への展開、偵察と、いくつものプロセスで脅威の活動を防ぐ必要がある。
そこで同社の、次世代アンチウイルス製品「Cybereason NGAV」は、「既知の攻撃」「未知の攻撃」「ファイルレス攻撃」「ランサムウエア」「脆弱性を悪用した攻撃」「スクリプトを悪用した攻撃」のそれぞれに対応する6つの専用防御層を装備している。
「既存のNGAV製品には、シグネチャで既知の攻撃、AIで未知の攻撃を止めるというものが少なくありません。しかし、Cybereason NGAVはさらに4つの防御層を備えているので、PowerShellなどの正規ツールを用いた攻撃やランサムウエアによるファイル暗号化、悪意あるマクロを含んだ文書などもブロックできます」と菊川氏。これによりEmotetによる攻撃を阻止することが可能になる。
さらに、Cybereason NGAVは、導入や運用が容易な、USBデバイスの制御やディスク暗号化端末の可視化が行えるなど、これからのエンドポイント防御に不可欠な特長もすべて網羅している。
しかし、これだけの機能をすべて駆使しても、防御をすり抜けて社内に侵入するマルウエアを完全にゼロにすることは難しい。そこで、次の備えとして用意しておきたいのが、侵入後の脅威を検知し、素早い対応を可能にするEDR(Endpoint Detection & Response)製品だ。
「EDRには『複数端末にわたる相関解析』『振る舞い分析』『リアルタイム検知』『攻撃の全体像の可視化』の4つの機能が必須ですが、当社の『Cybereason EDR』は、これらの要素をすべて備えています」と菊川氏は話す。
個々の攻撃を分析するのではなく、PC/サーバーなど組織全体を横断した相関解析を実施。さらにAIを活用して、既存のソリューションでは検知できないファイルレス攻撃やラテラルムーブメントなどの最先端攻撃も分析する。「インシデント対応ではスピードも重要になるため、常時毎秒800万クエリーの高速ビッグデータ解析も実施。さらに、いつ・どこで、何が起きたのかを自動解析・可視化することで、影響範囲を素早く把握し的確な対処が行えるようになります」と菊川氏は説明する。
テレワーク環境においては、セキュリティ担当者自身も自宅などで仕事をしているケースも多いはずだ。その点、Cybereason EDRを利用すれば、遠隔地からでもマルウエアに侵入された端末の封じ込めや根絶・復旧をまとめて行うことが可能だ。
また、こうした高機能な製品群に加えて、同社では脅威検知と対応のマネージドサービス「Cybereason MDR」も提供している。これは同社の専門アナリストが、ユーザー企業に代わってエンドポイントの監視や脅威の解析、危険度の判定などを行うもの。「緊急性が高い場合には、即座にご連絡を行うとともに翌営業日までにレポートを提出します。推奨対策などもご提示いたしますので、必要なアクションを迅速に起こせます」と菊川氏。このほかに月次レポートなども提供されるため、自社で何が起きているのかを正確に把握することができる。セキュリティ人材の確保に悩んでいる企業にとって、有効なサービスだといえるだろう。