ITインフラSummit 2021 Review

カメラ映像をAIで解析するクラウド基盤を提供
AIの推論処理をクラウドに集約して映像解析の普及を促進

NTT東日本
ビジネス開発本部 担当課長
佐藤 優

NTT東日本
ネットワーク事業推進本部
実藤 直洋

NTT東日本は、カメラ映像をAIで解析するアプリケーションを簡単に導入できるサービスの提供を開始する。Red Hatの「OpenShift」を活用したクラウド型基盤サービス「映像解析AIプラットフォーム」だ。NTT東日本の佐藤氏と実藤氏は講演で、AIの推論処理をエッジではなくクラウドに集約するアーキテクチャ「Malti-access Edge Computing」のメリットを説いた。GPUサーバーの運用負荷を軽減できるほか、AIアプリケーションのデプロイ(配備)にかかる手間を削減できると説明する。

映像解析の需要は大きいが、利用には課題がある

映像解析の課題は、AIモデルの推論に必要なGPUサーバーの運用と、AIアプリケーションのデプロイに手間がかかること。AIアプリケーションを利用するユーザー企業や、AIアプリケーションを提供するサービス事業者は、NTT東日本の映像解析AIプラットフォームを使うことで、これらの課題を解決できる。

NTT東日本は現在、映像解析の課題を解消できる新しいシステムアーキテクチャとして、「Malti-access Edge Computing」(略称はMEC)の構築を進めている。NTT東日本にはもともと、通信設備を収容する電話局やデータセンターが全国各地にある。これらの設備を活用することによって、街中のIPカメラが捉える映像をリアルタイムに転送して解析できる。

NTT東日本
佐藤 優

映像解析の需要は大きい。国内の映像解析市場は、2023年までに1,500億円まで拡大すると予想されている。ハードウエア面では、映像解析を支えるIPカメラは、現在500万台以上が稼働しており、出荷台数は年間で100万台以上に上る。ところが、IPカメラが撮影した映像を解析するAIアプリケーションについては、需要が大きいにもかかわらず、実際に利用しているケースは限定的である。

NTT東日本の佐藤優氏は、映像解析の利用拡大のためには、ユーザー企業(カスタマー)とサービス事業者(AIサービサー)双方に課題があると指摘する。

ユーザー企業の目線では、映像解析には専用システムが必要な場合が多く、初期投資がかさむ。既設のIPカメラが使えず、カメラへの投資が二重になる。欲しい時に欲しい分だけ使えるサービスが少ない。

サービス事業者の目線では、ユーザーのオンプレミス環境にAI解析装置を構築する場合、ユーザーごと拠点ごとにプロジェクト管理が必要になる。AI解析装置をクラウドサービス型で提供する場合は、ネットワークやセキュリティなどのAIサービス以外のケアが必要になる。これらが負担になる。

複数のユーザーが実証実験で成果を上げている

NTT東日本の映像解析AIプラットフォームを利用することによって、これらの課題を解決できる。現在、複数のユーザー企業とサービス事業者で実証実験をしており、効果が確認されているという。講演では代表的な事例2つが紹介された。

1つは、全国にスーパーを展開するトライアルカンパニー(本社:福岡市)。顧客の行動を予測するAIを店舗に導入して成果を上げた。購入を迷っている人や、万引きが疑われる人を、店員が持つスマートフォンに通知する。これにより、売り上げが上がり、万引き被害が減った。

もう1つは、NTT東日本のオフィスに設置したスマートストア。マーケティングデータの収集のため、店舗内の6台のカメラに映像解析AIを導入した。顧客の人数、属性、動線、滞在時間などを解析し、ダッシュボードで管理している。このデータを使って、品揃えや商品配置を改善している。

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