ITインフラSummit 2021 Review

DX戦略の成功のために
- データ基盤構築と成功事例 -

Talend
カントリーマネージャー
角田 賢治

企業にとって、データに裏打ちされた意思決定や戦略立案の重要性はますます高くなる。それも含め、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は競争力強化に欠かせない。Talendはそのようなデータ活用を実現する基盤を顧客に提供する。本講演では、DX戦略を成功させるためのデータ基盤構築の手順が、世界最大手電力企業であるUniper社の事例を中心に解説された。

DX成功には最適なデータ基盤が不可欠

Talend
角田 賢治

近年、データの量は人の能力や英知をはるかに上回るスピードで増加している。角田氏は講演冒頭で、現在多くの企業が価値のある/ないデータを区別できないなど、データカオスの状態に陥っていると指摘する。

「データカオスな企業はデータガバナンスも適切に実施できていません。すると、ビジネスチャンス損失やマーケットシェア縮小、株価の下落といったリスクが増大します」

そのようなデータに関する企業の課題を解決するのがTalendである。角田氏は強固なデータガバナンスおよびDX推進を実現した同社のソリューションの成功ケースとして、グローバル企業4社の事例を紹介した。

フランスの大手ホテルチェーンであるACCORは、顧客の個人情報を保護するため、GDRPへ準拠したデータガバナンス基盤を構築。5,000万人の顧客、 一日300ギガバイトのデータを管理可能とした。顧客情報取得日数を1/6に短縮、顧客満足度12%向上などの効果を得ている。

世界的なピザチェーンであるドミノピザは、85,000のデータソースを統合するなど、データインフラを整備した。それをバックボーンに、「オンライン注文を全面導入することで、電話注文に比べコストを1/4に削減し、また、若年層やビジネス層を取り込みました。加えて、膨大なデータに基づくレコメンドで売り上げをさらに伸ばすなど、DXを成功させました」と角田氏は話す。

大手製薬会社であるアストラゼネカは、データ資産とデータ統合基盤をオンプレミスからAWSクラウドへ移行。「90%のデータを3分以内に分析可能としたり、計画サイクルを15日から3時間に短縮したりすることで、臨床試験の年間コスト10億ドル削減を達成しました」。

角田氏はこれらの事例を踏まえ、DXで企業が得られる利益を収益増、コスト削減、リスク削減の3つに大別した。その実現のためのビジネス課題として、膨大なデータの統合、ガバナンス導入など7つを挙げた。そして、ビジネス課題解決の土台となるのが“DX推進データ基盤”であると位置づけた。DX戦略を成功させるためのデータ基盤である。

「業務で使うデータは常に正確・完全・最新、1つのツールで全社データを閲覧可能、データ所有者をすべて把握、データ資産を常に参照・監視・管理――これらをすべて満たしているデータ基盤になります」

3つのステップでデータ基盤を導入

角田氏はDX推進データ基盤の導入成功の象徴として、世界最大規模の電力会社であるドイツのUniper社の事例を大きく取り上げた。

エネルギー市場は気候、経済、政治などが相互に影響し合い、日々刻々と変化する。激しい競争の中トップの座を保ち続けるには、迅速な意思決定が欠かせない。「しかし、Uniper様では必要なデータを素早く容易に入手できず、迅速な意思決定の妨げとなっていました」と角田氏は課題を述べる。

同社はプラントやトレーディングやSCMなど膨大なデータソースを抱えている。データは従来、部門ごと/プロジェクトごとに乱立したサーバーに散在しており、増え続けるデータ種類に対応できなかった。加えて、データ利用ポリシー・ルールが統一されていなかった。

「ビジネス部門のユーザー(以下、ビジネスユーザー)から日々届くデータ要求に、IT部門がオーバーフローした結果、ビジネスユーザーはデータを自分のPCで個々に管理し始めました。経営層は意思決定を企業横断のデータで行えず、部門ごとの報告書をベースにせざるを得ませんでした。しかも、報告書作成に数週間要していました」

Uniperはそのような課題を解決すべく、Talendの支援のもと、データ基盤の最適化に取り組んだ。導入は大きく分けて、3つのステップで進めた。1番目のステップは「データ現状の把握」である。特定のプロジェクトを対象に、まずはデータアーキテクトとデータ技術者でメタデータを収集し、データカタログへすべて登録した。

「データカタログで可視化することで、利用していないテーブルなど、データの汚さをスコアリングしました。次に、それをもとにデータ品質を修正する優先順位を決め、対象データセットにクレンジング処理を実施して、汚れたデータをきれいにしました」

クレンジングは基本的に自動で処理するが、なかには人の判断が必要な場合もある。その際はデータスチュワードが手作業で行った。

「自動化できない処理はスチュワードへ依頼するワークフローを構築することで、クレンジングをトータルで円滑かつ確実に進められる体制を整備しました。データスチュワードの存在こそが次世代のデータ基盤の要であり、従来の基盤とは明確に異なる要素となります」

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