パワーエレクトロニクス技術が社会を変える カーボンニュートラル達成に欠かせない技術とは 再エネ・水素の活用機運が急騰、加速する脱炭素化はビジネスの好機

東芝三菱電機産業システム株式会社 執行役員
パワーエレクトロニクスシステム事業部 事業部長

飛田 正幸

再エネの活用拡大には
高度なパワエレ技術導入が必須

そうした状況下で、TMEICは、パワエレをどのように位置付け、発展させていくのでしょうか。

飛田 再エネや水素の効果的で効率的な活用には、高度なパワエレ技術が必須です。

TMEICは、太陽光発電(PV)用インバータのリーディングカンパニーとして、これまで国内外で合計30GW分を市場投入してきました。加えて国内では風力発電の活用が増加する見通しです。従来から、風力発電用の周波数変換装置、電圧安定化に向けた無効電力補償装置(SVC)などを提供してきました。また洋上風力発電が海岸から遠方に設置された場合、交流送電は困難であり、直流送電が必要となります。この交流から直流への変換にはパワエレ装置が用いられます。これらの領域で、より高度なパワエレ機器を、より多く提供して再エネの利用拡大に貢献していきます。

さらに、総発電量に占める再エネ由来の電力のシェアが高まれば、発電量が不安定な再エネの欠点を補う仕組みが欠かせません。例えば、需要変動に合わせて火力発電を頻繁に起動停止することになり、高度なタービン発電機の起動装置が必要になります。加えて、電力貯蔵システム(ESS)や家庭、電気自動車の蓄電池、水素製造工場など、電力の蓄積手段の連携も求められます。需要に応じて発電や蓄電の手段を連携制御するためには、高度なITシステムの活用が欠かせません。その運用を支えるデータセンターの安定稼働に無停電電源装置(UPS)が貢献します。また、ITシステムの中核部品である半導体の製造では、一瞬たりとも電力供給を止めない信頼性の高い電源が欠かせません。TMEICは、こうした要求に応える瞬低補償装置(MPC)を提供しています。

水素関連の領域ではどのような展開を想定されていますか。

飛田 TMEICにとっては水素関連の領域は新たなチャレンジになりますが、この領域に貢献できる様々な技術があります。

例えば、脱炭素化に最も貢献する「グリーン水素」を再エネ由来の電力で水を電気分解して作る際には、電解用整流器が必要です。TMEICでは、従来から大容量で安定性の高い直流電源を産業用に提供してきました。この技術を活用すれば、グリーン水素の大量生産に貢献できます。さらに、水素を高圧化または液化して輸送可能な状態に変える際に使うコンプレッサーの電動化にも、私たちのパワエレを応用できます。

時代の要請と、地域ごとの
要求に合致した製品を提供

TMEIC活躍の場はさらに広がりそうです。

飛田 再エネの活用が進めば、TMEICが特に得意とするインバータの役割がこれまで以上に重要になります。電力系統での周波数と電圧の安定化は、主に発電機の動きを制御して支えられてきましたが、今後は様々な機器にインバータが組み込まれることになります。

例えば、系統事故などが発生した際には、無効電力を出力して電圧変動を緩和する機能や、有効電力を出力して周波数変動を緩和する機能が必要です。既に欧米やインドなどでは、インバータへのこれら機能の搭載が義務付けられています。さらに、系統の電圧が安定していることを前提とした電流源制御に代わり、電圧や周波数を適宜制御する電圧源制御の導入が検討されており、そこで用いるインバータの役割の重要性が高まっています。

TMEICでは、パワエレ技術を生かし、あらゆる分野で貢献することを目指すコンセプト「PEiE(Power Electronics in Everything)」を掲げています。国内外の市場でどのように展開していくのでしょうか。

飛田 欧米では、PV用やESS用のインバータの競争力をさらに強化し、大容量の市場を伸ばしていきます。加えて、欧米でも水素の製造と活用が活発化してきていますから、関連市場への参画を狙っていきます。一方、インドや東南アジアでは、PV用インバータを中心に、再エネ市場に向けたパワエレ機器を継続して納入していきます。特にインドはデジタル大国であり、UPSの潜在需要が高いとみており、シェア拡大を目指します。

海外市場でのTMEICの強みの源泉は。

飛田 TMEICでは、米国、中国、インドに工場を置き、現地の需要に即したパワエレ機器を生産できる体制を整えています。特に米国では、システム部門の会社と製造会社を一体化させて、製販一貫体制の新会社を立ち上げました。長年蓄積してきた現地に根差した経験を生かして応用システムと製品の協調を高め、北米市場でのシェアを拡大していきます。

パワエレ技術は、電力・産業分野の中で、なくてはならないものです。さらに、カーボンニュートラルに向けて、再エネの活用、水素利用、高品質電源の用途でパワエレの活用の範囲が拡大しています。これを好機と捉えて、TMEICは産学官と連携しながら、積極的にパワエレ技術を開発し、貢献していきます。

米国向け太陽光発電モジュラー式パワーコンディショナ(PCS)・SOLAR WARE Uシリーズ
TMEICのパワーコンディショナ(PCS)が100台納入されたベトナムのHong Phong 1A&1B solar project
協力
ロゴ:TMEIC We drive industry