日経クロステック Special

流通業のDXが進まない“意外な理由”とは 基幹系システムの周辺に存在するEDIシステムのレガシー資産整理に最優先で取り組むべき

まずは、すべてのEDIプログラム資産の洗い出しを

 EDIの刷新は喫緊の課題として捉えるべきであり、「基幹系システム刷新のタイミングで改めて考えよう」「時間をかけて対策を練ればいい」などと悠長なことは言っていられない。基幹系システムとEDIを同時に刷新しようとすれば、仮に移行テストで不備が出た場合、そのどちらが原因かを絞り切るために多くの工数を要してしまう。さらにオフコンなど旧式の基盤で構築した変換プログラムはマニュアルすら残っていないことが多く、ブラックボックス化によって移行ができなくなる恐れもあるからだ。

 「DXレポートでもIT人材の枯渇や高齢化がうたわれているように、少なくともこれまでシステムの開発や保守を行ってきた人材が引き継げるうちに、移行を進めておくべきです。変換プログラムの数が多いほど、移行に要する期間は長くなりますから、その意味でも早めに取り組んだ方がいいでしょう」と大槻氏はアドバイスする。

 ユーザックシステムは、この移行作業を支援するため、企業間取引に用いられているすべてのEDIプログラム資産を洗い出すサービスを提供している。取引先の企業名やメッセージの種別、帳票類、マスタ類などをすべて一覧化し、どこから手を付けるべきかを優先順位付けすることで、移行に要する時間とコストを抑えられるのがメリットだ。「EDIメッセージ、伝票、値札などで個別対応が必要な取引先が500社あった大手企業様のケースでは、弊社サービスを検討いただき、6カ月の短納期で導入いただくことに成功しました」(大槻氏)。

業界標準DBの活用がブラックボックス化を回避する

 EDIを再構築する際に注意すべき点として、ユーザックシステムでは前述した業界標準の流通BMSのファイルを小売業との取引ファイルだけでなく、中間DBとして活用する方法を提唱している。

 その仕組みは、変換プログラムと基幹系システムの中間に受注データベース(DB)を置き、変換プログラムから送られてきたデータをすべてまとめてしまうというものだ。これによって中間DBから基幹系システムに送られるデータのフォーマットは1本化され、たとえ基幹システムとの接続は取引先が数百社あっても1本となる。10年後、基幹システムを再度刷新する際にも、この中間DBと基幹システムを変更するのみとなり、DXの潮流に乗って基幹系を継続的にバージョンアップすることも容易になる。

ユーザックシステムが推奨するEDI再構築のポイント

図2
小売業者ごとのEDI変換プログラムを直接、基幹系システムに接続する構成では、基幹系を刷新するたびにすべてのプログラムを繋ぎ直さなければならない。中間に受注DBを置けば、この問題は一気に解決する。

 ユーザックシステムでは、小売業のファイルからこの中間DBへの変換プログラムを「小売業メッセージライブラリ」としても用意している。対応する小売業は大手スーパーや地方スーパー、ドラッグストアなど1500以上に上り、このライブラリを利用すれば開発期間やコストをさらに削減できる。

 「中間DBを置かず、急いで刷新した基幹系システムに変換プログラムを直接変換してしまう企業が非常に多いのが現状です。10年後を見据えると業界標準の中間DBの活用は必ず行うべきと考えます。また、EDIのブラックボックス化の解消は最優先の課題と思っています。当社のEOS名人.NETを活用しながら、EDI資産のブラックボックス化を解消された数多くの事例もご紹介できますので、何から始めればよいか分からなくても、早い段階から当社にお声がけいただければ必ずお力添えできるはずです」と大槻氏は語った。

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