特別トップインタビュー
Vicor

高性能電源モジュールで技術革新を加速

業界トップレベルの
先進的な独自技術で
電源供給の難題を解決

Vicor
日本法人 代表取締役社長
米国本社 バイスプレジデント

堂園 雄羽

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業界トップレベルの変換効率や電力密度を特長とする高性能な電源モジュールを40年にわたって開発してきたVicor。電源要求の高度化が進む中、コンピューティング&コミュニケーション、オートモーティブ、インダストリアル、航空宇宙・防衛の4分野を中心に、それぞれ最適な高電圧・大電流ソリューションに取り組む。同社日本法人の堂園雄羽氏に詳細を聞いた。

2021年を振り返って、ビジネスはいかがでしたでしょうか。

堂園 2021年度の第1四半期から第3四半期の全社の売上高は2.691億ドルと、昨年の同期比でおよそ27%増となりました。

 成長要因の一つとなったのがコンピューティング&コミュニケーション(AI、データセンター、HPC(高性能コンピューティング))分野における需要の拡大です。近年のAIチップやプロセッサーチップは、1.0Vを下回る低電圧で動作し、数百Aから時には1000Aを超える電流を消費します。データセンターから供給される直流48Vを降圧してサーバー内の各素子に適切に供給するには、電力供給ネットワーク(PDN)をいかに構成するかが重要であり、電源のレギュレーション性能の高さとともに、変換効率や電力密度に優れる点から、Vicorの電源モジュールを採用いただく機会が増えています。

 さらにインダストリアル分野でも半導体製造検査装置などの需要が好調であり、航空宇宙・防衛分野では人工衛星向けの開発が進むなど成長を見せています。

改めて、Vicorの事業内容について紹介してください。

堂園 Vicorは、DC/DC、AC/DCコンバータの回路をシングルパッケージ化した、電源モジュールの専業メーカーです。

 当社のモジュールの特長は、小型で98%を超える高い電力変換効率、100W/cm3を超える電力密度など、きわめて高い性能を実現していることです。また、Vicorのモジュールは数種類を組み合わせることで、300通りを超える電力供給ネットワークを構成でき、並列接続により大電力に対応できるという、柔軟性とスケーラビリティを兼ね備えています。

 米マサチューセッツ州アンドーバーに本社と工場があり、独創的な回路アーキテクチャー、スイッチングエンジンと呼ばれるコントローラーチップ、パッケージング技術などはすべて自社で開発・製造しています。コンピューティング&コミュニケーション、インダストリアル、航空宇宙・防衛など、多くのアプリケーションに採用されています。

xEV化を追い風に事業を強化

オートモーティブ分野への取り組みを強化しているようですが、狙いをお聞かせください。

堂園 自動車業界はCO2の排出規制を背景に大きな変化を遂げています。多くの自動車メーカーが高電圧・大電流を必要とするxEV・インフラにシフトしているのは、当社にとって追い風となります。数年前にオートモーティブ事業部を新設し、日本を含めて取り組みを強化してきました。Vicorのテクノロジーを活用することでどのような価値を創造できるかという観点を持ち、複数のOEM・Tier1のお客様と共同で開発を進めています。

 例えば、DC-DCコンバータモジュール「BCM6135」は3.8kW、「NBM6123」は6.4kWと、大電力のコンバータモジュールも開発しており、今後はさらなる大電力も視野に入れています。

 インフラである充電ステーション、車両内部のチャージング回路、異なる電圧バス間の電力ブリッジには、数百Vのバッテリ電圧から48Vへの降圧や、48Vから12Vへの降圧など、当社の技術が必要不可欠になると考えています。

ディスクリート(単体部品)で電源ソリューションを展開する半導体メーカーが多い中、Vicorの強みや特徴はどこにありますか。

堂園 当社の強みは、ディスクリートで電源回路を構成した場合に比べて、より優れた変換効率、電力密度、応答性能、信頼性、放熱性などが得られるモジュールで構成する電源アーキテクチャーです。スイッチング損失を低減する「ZVS/ZCS(ゼロ電圧・ゼロ電流スイッチング)技術」、トランスを用いて直列共振回路を構成し効率と電力密度を高める「Sine Amplitude Converter(SAC)」、プリ・レギュレーション段と電圧変換段とを分離して高性能な負荷点電源(POL)を実現する「Factorized Power Architecture(FPA)」などの回路技術を用いて、業界トップクラスとなる変換効率、電力密度、および応答性能を実現しています。

 また、独自のパッケージング技術「Converter housed-in Package(ChiP)」という放熱性に優れた高密度パッケージを採用し、数百W/cm3という高い電力密度を可能にします。実際、電源モジュールをお客様にお見せすると、皆さんこの小型な形状で高い性能を実現していることに驚かれています。

電源要求に応え顧客の技術革新を加速

ますます需要が高まることが期待できそうですが、2022年のビジョンや注力していく分野について聞かせてください。

堂園 2021年は各市場の電源要求により応えられるよう、本社の新体制がスタートしました。コンピューティング&コミュニケーション、オートモーティブ、インダストリアルおよび、航空宇宙・防衛の4事業分野により一層注力していきたいと思います。

 日本における事業展開に関しては、インダストリアル事業ではEV化や無人化が進む作業車両や建機、半導体製造装置や検査装置、産業用ドローンなどのビジネスを強化していきます。また先ほども述べた通り、オートモーティブ事業は複数のOEM・Tier1のお客様と協議を継続していきます。

 供給面については、米アンドーバー工場の増床が完了する2022年の半ばには、生産キャパシティが大きく増える計画となっています。世界各国の様々な市場での需要が増えたことによって電源モジュールの供給が追い付かない状況が続いていますが、2022年後半には改善されると見込んでいます。

2022年はどのような年にしたいですか。

堂園 2022年も継続して、お客様との取り組みをさらに前進・拡大すべく、最適な電源ソリューションのご提案と開発サポートに努めて参ります。

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Vicorの先端電源モジュール。中間バスコンバータ400V/48V BCM6135(左)、双方向DC-DCコンバータ800V/400V NBM6123(右)

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〒141-0031 東京都品川区西五反田8-9-5 FORECAST五反田WEST 6F
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