特別トップインタビュー
ウィンボンド・エレクトロニクス

半導体不足の中でも、高まる新規需要

効果的なライン運用と
成熟世代への積極投資で
メモリーの供給責任を果たす

ウィンボンド・エレクトロニクス
代表取締役社長

小林 平治

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最先端の製品に注目が集まりがちな半導体業界だが、成熟した製造ラインで作られるチップも同様に重要な役割を担うということは、2021年に直面した半導体不足で顕著に示された。小容量のスペシャリティー(特定用途)DRAMやコード格納用フラッシュメモリーの供給で世界をリードするウィンボンド・エレクトロニクスも、その存在感が強く再認識された企業の一社だ。同社日本法人代表取締役社長の小林平治氏に話を聞いた。

ウィンボンドが注力するビジネス領域をお聞かせください。

小林 ウィンボンドは、台湾に本社を置く、低・中容量メモリー専業の半導体メーカーです。1987年の設立以来、スペシャリティーDRAM、さらにはNOR型やSLC NAND型などのフラッシュメモリーを製造・供給してきました。IDM(垂直統合型デバイスメーカー)として、チップの設計からプロセス開発、製造、さらには販売まで一貫して自社で行っています。

 ウィンボンドが生産・販売するスペシャリティーDRAMは、4Gビット以下の比較的小容量のレガシーインターフェース製品に注力しています。他方で、コード格納用フラッシュメモリー(主にNOR型あるいはSLC NAND型)は、メモリーカードなどに使われる大容量のMLC/TLC NAND型とは異なり、電子機器を動作させるプログラムのコードを格納するために使われます。アプリケーションは広範にわたり、PCやスマートフォンから、サーバー、テレビなどの家電製品、産業機器、自動車など、あらゆる分野です。

 日本に拠点を設置したのは2001年です。営業、マーケティング、品質保証などに加え、DRAM、フラッシュの設計チームも擁しています。日本の半導体メーカーでメモリー設計の豊富な経験を積んできたエンジニアが在籍しており、ウィンボンドでのメモリー開発の主力となっています。

2021年はどんな年でしたか。

小林 総じて見れば、年初の想定を上回る業績が得られる見込みです。日本法人としては、前年比約50%増の過去最高の売り上げになりそうです。 2021年の半導体業界のトピックは何と言っても半導体不足でした。前半は急激な受注増による品不足、後半はお客様の生産拠点の状況、各種部品の入手状況による生産数の変動への対応に追われました。他社製品を採用していたお客様が、調達先拡大から新たに当社の製品を認定して採用するといった動きもありました。そして今も、タイトな状況が続いています。

 ただ幸いなことに、当社は自社工場を保有するために安定供給が可能です。とはいえフル稼働状態で余力はありませんでした。2021年は、既存製品の需要増対応に追われ、当初予定していた新製品のプロモーションに注力できませんでした。

需要をけん引した市場は何ですか。

小林 日本国内では、とくにHDDやプリンターなどのPC関連の旺盛な需要がありました。これは、コロナ禍によるライフスタイルや働き方の変化でネットワークの活用が急増し、予定を上回る増産があったからです。また同様の理由で、PC向けのBIOSを格納するコード格納用の高容量品の需要が高まりました。一方、ウィンボンド全体ではPC関連に加えて、コミュニケーション関連(5GやWi-Fi 6)の需要が強く、売上をけん引しました。

 当社が市場をリードするコード格納用のNOR型では供給責任も大きく、万全の供給体制を整える必要がありました。このため従来フラッシュとDRAMで50:50だった製造比率を、54:46とフラッシュに重心を移しました。

 一方、DRAMでは、ハードディスク向けやプリンター向けに、1Gビット品や512Mビット品の需要が高まりました。ここでも製造品目のシフトを実施しました。2Gビット品や4Gビット品もラインアップしていますが、主力をあえて1Gビット以下の製品に置いて、全体の需要増に応えました。

2022年末に新工場の量産開始

2022年のビジネス環境をどのようにみていますか。

小林 DRAMの分野では、大容量品と私たちが扱うスペシャリティーDRAMでは、ビジネスのあり方が分離してきているようです。大容量DRAMでは、性能、生産性、コストの向上を狙って、最先端の製造技術をいち早く投入する技術シーズの追求が競争力に直結します。

 一方、スペシャリティーDRAMでは、製造技術の刷新よりも、市場ニーズに寄り添って、求められる仕様の製品をタイムリーに提供していくことが重要です。市場規模としてはDRAM全体の10%に過ぎませんが、お客様との接点が多いマーケティングや品質保証の部門と設計部門の密接な連携が強みになります。

 コード格納用フラッシュのシェアも、市場全体から見れば小さいですが、応用機器でのプログラムの大型化と歩調を合わせた大容量化を、着実に進めていく必要があります。需要増と容量増加の両方に対応するために、製造のキャパシティー増強が必須になってきます。

どのようにキャパシティーを増強するのですか。

小林 現在稼働中の台中の工場(月産約6万枚)に加えて、2022年下期から新しく高雄工場の量産を開始する予定です。当初は月産約1万枚のDRAM生産から始めます。ここでは、20nm世代のDRAMを量産予定であり、スペシャリティーDRAMの容量帯のシフトに合わせて、1Gビット品~4Gビット品のDRAMの生産を行っていきます。その後も増強投資を継続し、高雄工場で月産7万5千枚のキャパシティーを保有する予定です。このように成熟した世代のラインに積極投資し、開発を継続しているのは、当社が筆頭だとみています。

 高雄工場の量産が開始すれば、台中工場で行っていた分のDRAM生産を高雄工場に移し、台中工場ではフラッシュの生産を増強する計画です。これによって、コード格納用フラッシュの需要増と容量増加に対応していきます。高雄工場が立ち上がる効果から、フラッシュとDRAMの製造比率は、ウィンボンドにとっての定常状態である50:50に近づく見込みです。

楽しみな材料が多いですね。

小林 スペシャリティーDRAMとコード格納用フラッシュの需要は今後も増加していくと考えられます。新工場の寄与に加え、DXの活用、セキュリティー対策の徹底により、日本のお客様を安定的に支えていきたいと考えております。また、2022年は「セキュアフラッシュメモリ」や、環境にやさしい低消費電力の「HyperRAM」といった、時代の要請に応える機能を備えた製品群を拡充します。これからのIoT時代にお客様の要求を満たす持続可能な製品づくりを行っていきます。

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2022年より稼働予定の高雄工場

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