日経クロステック Special

シミュレーションの民主化を提唱
設計と解析の一元的な統合で
開発短縮と価値向上を図る

ダッソー・システムズ主催
「3DEXPERIENCE Modeling & Simulation Conference Japan 2021」レポート

ダッソー・システムズは「3DEXPERIENCE Modeling & Simulation Conference Japan 2021」と題したオンラインイベントを開催した。このイベントでは、CADを用いた3Dモデリング(設計)とCAEによるシミュレーション(解析)をシームレスに統合して、部品や製品開発の加速を実現する「MODSIM(モデリング&シミュレーション)」という新しいコンセプトを紹介。このレポートでは、このイベントから、主要な3本の発表の要約をお届けする。

 ダッソー・システムズで3D CADのCATIAを担当するDaniel Pyzak氏と、シミュレーションブランドのSIMULIAを担当するGregor Judex氏は、「Accelerate Business Value through Unified Modeling & Simulation」(モデリングとシミュレーションの統合環境がもたらすビジネス価値の向上)と題し、3Dモデリングとシミュレーションをシームレスに統合する「MODSIM」のコンセプトについて講演した。

Gregor Judex氏
Gregor Judex
ダッソー・システムズ
SIMULIA Industry Consultant Director
Daniel Pyzak氏
Daniel Pyzak
ダッソー・システムズ
CATIA Mechanical Industry Process Consult Mgt Senior Director

 部品や製品を設計する際は、要件をベースに設計エンジニアが3D CADを用いて部品などのモデリングを行い、その後、その3Dモデルをベースに解析エンジニアが解析を行って、結果を設計エンジニアにフィードバックする手法が一般的である。

 しかし、このような従来型のプロセスには様々なボトルネックや課題が存在し、開発期間の短縮を妨げてきたと、Pyzak氏は指摘した。

 例えば、CADモデルに対してフィレットや小穴を除去するなどのデフィーチャー(簡略化)や、解析内容に応じたメッシングなどの作業を解析エンジニアがかなりの日数をかけて行わなければならない。また、解析エンジニアがソルバー(最適値の算出)を実行してレポートを作成するまでは、設計エンジニアは設計の良否を把握できないという課題もある。

 それらを解決する手法としてダッソー・システムズが提案するのが、3DEXPERIENCEプラットフォームを中心とした同社のソリューションを用いて3Dモデリングとシミュレーションとのシームレスな統合を図る「MODSIM」と呼ぶアプローチである。

 MODISMとは、自動化やデータの一元化によってモデリングとシミュレーションの間の壁を排除するとともに、時には設計エンジニアが直接解析を行うことでイテレーション(1サイクルの開発期間)を短縮し、製品開発の迅速化や品質の向上を図っていこうという考え方だ。最終的には企業価値の向上へとつなげていくのが狙いである。

 Pyzak氏は、従来の手法で56日かかっていた設計が、MODSIMの導入によって28日に短縮された顧客事例を紹介。さらなる自動化などを推進すれば、14日へと短縮できる見通しだという。

データの一元化とプロセスの自動化が鍵

 Judex氏は、MODSIMのようなコンセプトを実現するには、データが一元化されていることに加え、プロセス定義や自動化が重要であると指摘した。具体的な例として、車体の3Dモデルを変更した際に、メッシュが自動更新される様子や、スポット溶接を含むシナリオが再定義される様子をデモで示した。

 MODSIMのアプローチを導入した場合、解析エンジニア(CAEエキスパート)の業務も大きく変わる。CAEエキスパートではない設計エンジニアや他の関係者が直接シミュレーションを実行して高度な解析ができるように、自動化を含むプロセスの構築や、ダッシュボードやユーザーインターフェースの開発が大きな役割になるだろうと述べた。なお、解析エンジニア以外がシミュレーションを実行することを、同社では「民主化」と表現している。

 さらに、設計やシミュレーションにおけるデータの一元化だけではなく、ハイレベルな要件マネジメントやシステムアーキテクチャーマネジメントにおいてもデータの一元化や関連付けが重要と述べ、3DEXPERIENCEプラットフォームを含む同社のソリューションを活用することで、そうした要件のトレーサビリティーも可能になることを示した。

 セッションの最後でPyzak氏は、要件に基づいて自動設計と最適化を行うジェネレーティブデザインへの取り組みを同社として強化していることを明らかにした。ダクト形状や板金の曲げなどをジェネレーティブデザインで最適化する新たなソリューションを拡充していく。

 次ページより、MODISMを実践する企業、ジャガーランドローバーとノボ ノルディスクの講演を紹介したい。