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DX推進する方改革新時代

アドビ

そのPDFで大丈夫?
文書デジタル化を正しく行うための基礎知識

電子帳簿保存法の対応を意識した3つのポイント

一口に文書のデジタル化といっても、デジタル化した文書が必要な条件をそろえていなければ、取り組みの効果は半減してしまうのは言うまでもない。ここでは最新の電子帳簿保存法への適切な対応と併せ、デジタル化の効果を最大化させるために必要なポイントを解説したセッションの模様を紹介。本稿を一読の上、改めてデジタル文書に求められる要件をご確認いただきたい。

PDFなら何でもよいというわけではない

アドビ インストラクター/ジェネラリスト 大倉 壽子 氏

アドビ

インストラクター/ジェネラリスト

大倉 壽子

 登壇者を務めたアドビの大倉氏いわく、2022年1月に施行されている改正電子帳簿保存法に対応する上で注意すべき点は2点あるという。

 「1つは、保管や検索要件への対応です。この点については、規模や工数、予算などに応じて、システム化したり、マニュアルで管理したりするなど、会社ごとに運用を考える必要があります。そして、2点目が、対象文書のアクセス性に関する部分。例えば、ファイルにアクセスしやすいといった品質への考慮に関する点です。デジタルデータはPDFが中心になると思いますが、ISOに準拠していて、信頼性、長期保存できることが担保されていて初めて原本としての価値が出てきます。デジタル文書は、どのような仕組みで保存するかだけではなく、原本をどのように作るかといった点も含めた検討が必要になるのです」(大倉氏)

 つまり、PDFであれば何でもよいわけではないということだが、それはデジタル化の恩恵を最大限享受する上でも重要なのだ。

 だからこそ、大倉氏は多くの企業が、単に紙文書をPDF化する「デジタイゼーション」には取り組んでいることを紹介した上で、今こそ「デジタイゼーション」から、正しくPDF化したデータを活用して業務効率化を実現する「デジタライゼーション」のフェーズに移行すべきだと指摘。

 しかし、“正しいPDF”とは一体どのようなものなのだろうか?

最初から求められる要件を備えたPDFで運用することが重要

 先の問いの答えを一言で表せば「Adobe Acrobat DCで作成したPDF」ということになる。

 その理由について、まず言えるのは、PDFを閲覧するためのアプリといえば、Adobe Acrobat Readerが一般的だが、こちらのアプリで常に正しい内容で閲覧できることが保証されているのはAdobe Acrobat DCで作成したPDFだけだからだ。

 また、今や様々なアプリで作成できるPDFだが、その中で長期閲覧や信頼性を保証するISO 32000-1に準拠しているのはAdobe Acrobat DCで作成したものだけであることも見過ごせない事実の1つだ。

 「一度作成したPDFの品質は、後から変えることはできません。電子帳簿保存法には、検索要件が定められていますが、後でその要件にそぐわないからといっても改善しようがないのです」と大倉氏。だからこそ、文書の作成段階から確かな品質のPDFで運用することが重要なのである。

Adobe Acrobat DCの導入イメージ

Adobe Acrobat DCの導入イメージ

紙業務における一般的な課題(上段)と、紙文書のデジタル化後の文書管理のプロセス(下段)

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 さて、セッションの中盤からは、Adobe Acrobat DCの活用方法について、電子帳簿保存法の対応を意識した3つのポイントを説明。

電子帳簿保存法対応を意識したAdobe Acrobat DCの活用法

電子帳簿保存法対応を意識したAdobe Acrobat DCの活用法

電子帳簿保存法への対応を意識したAdobe Acrobat DC活用に関する3つのポイントまとめ

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 ポイントの1つ目が、紙文書から脱却することによるコスト削減効果である。

 このポイントについて、大倉氏は、Adobe Acrobat DCで紙業務をデジタル化することによって直接的な大幅なコスト削減や時短効果が見込めることに言及。自社のベンチマークテストでは生産性が50%向上したという結果も出ているようだ。

 そして、2つ目がセキュリティとDXを容易にする外部連携についてのポイント。まずセキュリティについて大倉氏は次のように説明する。

 「Adobe Acrobat DCは(マルウエアの)侵入、そして情報漏えいのどちらもカバーすることができます。常に最新のマルウエア対策を行うことができ、情報漏えいでは、改ざん防止に対する高いセキュリティ機能が付与されています」

 DXを容易にする外部連携については、Adobeが提供するクラウドストレージ「Adobe Document Cloud」を活用すれば、チーム内のファイル共有や閲覧などの作業を効率化できることを紹介。

 さらに、Adobe Document Cloudは、Microsoft Teams と連携して、様々なワークフローを構築できる。セッションでは、一例として、Microsoft Teams 内で、PDFを共有し、コメント入力のたびにポップアップメッセージが届く仕組みのデモンストレーションが展開された。

 また、BoxやGoogle Driveなど、他社が提供するクラウドストレージとも連携しているので、テレワークや外出先からでもいつもと同じような環境で作業ができることにも言及し、テレワークをはじめ、多様な環境にフィットできることを示唆した。

電子署名も簡単に使えて、脱ハンコを実現

 続く3つ目のポイントが、電子サインソリューション「Adobe Acrobat Sign」との連携による“脱ハンコ”の実現だ。

 「従来も、契約更新や社内の承認など、双方の合意があれば、 Adobe Acrobatのスタンプ機能で契約を締結することが可能でした。しかし、現在ではクラウドストレージと連携することによって、Adobe Acrobat DCからAdobe Acrobat Signの電子契約機能の一部を使うことができるようになっています」と大倉氏。

 Adobe Acrobat DCにはAdobe Acrobat Signの個人版相当の機能が同梱されており、一対一の契約であれば、すぐさま電子契約のやりとりを行うことができるというのだ。ただ、Adobe Acrobat DCの電子契約機能は会社として署名行為を管理することはできない。そのため、企業で使う場合は上長との簡易的な承認業務といった社内の簡易的な契約行為で使うことが望ましいとされている。従って、まずはAdobe Acrobat DCの電子契約機能から電子契約、ペーパーレスの第一歩を踏み出すのはよい手段かもしれない。なお、Adobe Acrobat Signでは、企業として企業の署名行為を管理することができるため、より契約業務のデジタル化を進めたい場合にはAdobe Acrobat Signをおすすめする。

 もちろんAdobe Acrobat Signは電子署名法で求められる本人性と非改ざん性を確認するものなので、法的な要件を満たした電子契約フローが実現可能なのは言うまでもない。

 大倉氏によれば、Adobe Acrobat Sign導入で、ペンと紙を使った署名のワークフローをデジタル化すれば、1件処理する時間を平均1.5時間短縮できるという。

 以上が約30分のセッションの内容である。いずれにせよ、改正電子帳簿保存法に対応するにも、新しい働き方に対応するにも、デジタル化の価値を享受するためにも、Adobe Acrobat DCの活用が必要不可欠であることを印象づけるものであったのは間違いない。

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