日経クロステック Special

SDGs対応に向けた抜本的な変革とは?

建設業界向け統合プラットフォームで猶予期限が迫った
働き方改革カーボン削減を同時に実現する

猶予を与えられていた“働き方改革”の期限が2年後に迫り、2030年までにカーボン排出量を半減させる目標も課せられている建設業界。SDGsへの対応が待ったなしの状況下で、多くの企業が打開策を見いだせずに苦慮している。取り組むべきは、従来の業務の進め方を抜本的に変革することだ。そのための有効なソリューションも登場している。

“働き方改革”が
進まなければ、収益性も改善しない

「サステナブルな社会」の実現に向けた目標として、今や誰もが知る存在となったSDGs(持続可能な開発目標)。世界各国の政府や自治体、産業界や企業が一丸となってその達成に向けて様々な活動を繰り広げているが、日本の建設業界の取り組みはやや遅れが目立っている。

象徴的なのが“働き方改革”だ。SDGsの17のゴール(目標)には、「働きがいも経済成長も」というゴールも含まれているが、日本の建設業界は2019年に施行された「働き方改革関連法」の適用が5年間猶予されている。他の業界に比べて環境改善に時間を要すると見込まれたことなどが先延ばしの理由だが、長時間労働は是正されず、若者の“建設業界離れ”を促すという皮肉な結果をもたらしている。

年間実労働時間の推移

建設業界の年間実労働時間は、全産業の平均に比べて339時間も長い。2024年4月に「働き方改革関連法」の猶予が終了することで、建設業界には本格的な改革の実施が求められることになる

「長時間労働が是正されないのは、猶予によって非効率な作業が改善されないままの状況になっているからです。他の業界では、『働き方改革関連法』が定めた労働時間の上限規制に合わせて、限られた時間でも効率よく業務が処理できるように業務プロセスの見直しやデジタル化などが進んでいますが、建設業界はその波に乗り遅れてしまっています。

しかし、5年間の猶予が終わる2024年4月には、建設業界も待ったなしで“働き方改革”に取り組まなければなりません。本気で動き始めるべき時期に差し掛かっています」と語るのは、BIM/CIMによる設計・エンジニアリング・建設施工などの多彩なソリューションを提供するオートデスクの大西正明氏だ。

大西 正明氏

オートデスク株式会社
ACS‐Autodesk Construction Solutions
セールス マネージャー
大西 正明

同社の建設施工向けソリューションを統括するAutodesk Construction Solutions(以下、ACS)でセールス マネージャーを務める大西氏は、数多くのクライアントから日本の建設業界が抱える課題を日々耳にしているという。

「作業が非効率な状態のままでは、当然ながら収益も上がりません。建設業の多くのお客様が利益率の低さに悩んでおられるのは、“働き方改革”を実現できていないことが根本原因の一つだと言えます」(大西氏)

「働きがいも経済成長も」という前述のSDGsのゴールは、どちらか一方が実現しなければ、もう一方も達成されないという関係性を言い表しているのである。

一方で、「気候変動に具体的な対策を」というSDGsのゴールも、日本の建設業界にとっては高い目標だ。他の業界も2050年までにカーボン(温室効果ガス)排出量を実質ゼロにするという目標に悩んでいるが、建設業界が越えるべきハードルはさらに高い。

しかし、大西氏は「現場作業の効率化を推し進めれば、カーボン排出量の削減でも大きな成果が見込めます」と語る。

いったい、どういうことなのか。次のページから詳しく解説しよう。