「サーバー」部門と「法人向けPC」の2 部門において首位を獲得したデル・テクノロジーズ。顧客やパートナーの多様なニーズに対応したフルラインアップの製品をいち早く提供する。長年にわたって続けてきたこの姿勢が、躍進の大きな原動力となった。さらにイベントのオンライン開催、勉強会、情報発信といった多面的な施策パートナープログラムを展開。パートナーが売りやすく、儲けやすい施策を行ってきたことも高い評価につながった。
顧客満足度の三冠に加え、サーバーと法人向けPCでパートナー満足度の二冠も獲得したデル・テクノロジーズ。意外なことにパートナー満足度No.1は、今回が初めてとなる。この受賞について「これまでの調査では評価が2位以下に甘んじており、これをどうにかして高めていかなければならないと、社内一丸となって取り組みを進めてきました」と語るのは、デル・テクノロジーズでパートナー事業を統括する常務執行役員 パートナー事業本部長 入澤 由典氏。同社はPC直販モデルの開拓者であるものの、近年は半分以上の売り上げがパートナー経由のビジネスとなっており、「パートナーなくして自社の成長はない」という強い想いがあるという。「そのためパートナー様が売りやすく、儲けやすい施策をきちんと打ち、その結果にご満足いただくことは必須条件。今回の受賞を非常に嬉しく思っています」。
同社が満足度のトップに躍り出た理由――その要因としてまず挙げられるのが、顧客ニーズに対応した製品をいち早く提供してきた点だ。特に近年は、環境の劇的な変化に伴って、様々なニーズが生まれているという。これについて、同社のサーバー関連製品を統括する執行役員 製品本部長 上原 宏氏は次のように語る。
「例えばサーバー1つとっても、最近ではワークロードのあり方が多様化しています。従来型の業務処理だけではなく、大規模なデータ処理を行うアナリティクスやマシンラーニング、ディープラーニングといった並列処理が求められる領域、さらにはコンパクトさや耐久性が求められるIoTエッジなど、様々な使い方が想定されるようになっているのです。そのためコンピュート機能だけを見ても、単にCPUの能力だけではなく、GPUの能力やメモリー容量も問われるようになっています」
これに対し、デル・テクノロジーズでは幅広い要求に対応したフルラインアップの製品を提供。あらゆるワークロードに対して、最適なサーバーを選択可能にしている。
さらに、顧客の声を製品設計にきめ細かく反映している点も大きい。例えば、ブートデバイスの継続的な改良もその1つだ。「OSブート領域とデータ領域を隔離したい、ラックサーバーの前面ドライブはすべてデータ領域に使いたい、OS/ハイパーバイザーもハードウエアRAIDで保護したいといったご要望に応えるため、筐体のディスクドライブスロットを消費しないPCIカード、『BOSS(Boot Optimized Storage Solution)』をいち早く実装しました」と上原氏は語る。
数多くのモデルが用意されており、多様化するワークロードに最適な製品が選べるようになっている
BOSSとはOS/ハイパーバイザーのブート専用のストレージデバイス。2枚のSSDでRAIDを組むことが可能だ。その後「BOSSは使いたいが、貴重なPCIeスロットを消費したくない」「ブートデバイス交換のために蓋を開けてサーバーを止めたくない」という要望に応え、一昨年にはこれを『BOSS-S2』へと進化させた。「BOSSはPCIスロットを1つ専有する形で搭載しており、サーバーの上蓋を開けなければ取り外しができなかったのですが、BOSS-S2では専用キャリアにカードを搭載し電源横のモジュールベイに格納できるようにしたため、HDDと同じように簡単に取り外せるようになりました」(上原氏)。
多様化したニーズに向けた全方位の対応は、法人向けPCでも同様に行われている。これについて同社でクライアントPC事業を統括する常務執行役員 クライアント・ソリューションズ統括本部長 山田 千代子氏はこう語る。
「コロナ禍によって日本でも、この2年間でテレワークが広がっていきました。その結果、自宅でも高い生産性で仕事ができるPC環境や、家かオフィスかといった二択ではなくどこでも使えるPCが求められるようになりました。こうしたニーズの変化は、全世界から米国本社に寄せられていますが、当然日本のニーズも製品開発に反映されています。日本からの要望で最も大きかったのは手軽に持ち運べる軽量PCを求める声でしたが、これに対応する製品もいよいよ市場に提供していきます」
Windows 11への対応も迅速だった。このOSが最初にリリースされた日には、既にフルラインアップでWindows 11への対応を果たした。さらにパートナー向けのウェビナーも事前に行っており、Windows 11リリースの初日から製品を販売できる体制を敷いていたという。
これに加え、海外の先進的な動きが日本向け製品に迅速に取り込まれることも、グローバル企業としてのデル・テクノロジーズの大きな強みとなっている。その1つがSDGsをはじめとしたサステナビリティーへの取り組みだ。
「SDGsは欧州が先行していますが、デル・テクノロジーズでは欧州基準に合わせた取り組みを、早い段階から進めてきました。例えばPC製品の設計では、環境に配慮した材料を使用し、より少ない材料で製品を生み出せるようにする一方で、再利用や再生利用を最大化するように配慮しています。また製造では再生可能な素材の使用や廃棄物の最小化など、無駄を排除する取り組みを推進。出荷時には短期間で再生できる梱包材を使用し、形状を小さくすることで輸送時の占有空間も縮小しています。2021年1月には植物由来のバイオプラスチックをPCの天板部分に採用した製品もリリース。さらに2021年12月には、よりサステナブルなノートPCの実現を目指す『Concept Luna』も発表しています」(山田氏)。
Windows 11への対応も、OSリリース初日からフルラインアップで実現している
もちろん同様の取り組みは、サーバー製品でも行われている。
「既に既存製品へのリサイクルプラスチックの採用を広げており、データセンターの大きな課題となっている電力消費に関しても、効率化するために熱対策だけに特化するサーマルエンジニアチームが研究開発を進めています。これはデータセンターのランニングコストを抑えるためだけではなく、サステナビリティーの観点でも、大きな貢献を果たしています」(上原氏)
このような先進的な取り組みは、パートナーからも注目を集めており、最近ではSDGsに関する相談や問い合わせが寄せられることも増えているという。
今回は製品以外でも、様々な点が高い評価を受けた。特に注目したいのが「納期」である。いくら優れた製品でも納期が長ければ、パートナーが収益化できるまでに時間がかかってしまう。特にこの2年間はコロナ禍の影響で半導体製品の調達が難しくなり、納期の遅れだけではなく製品の値上げや製造停止といった状況に直面するケースも少なくなかった。顧客に納品して検収してもらう時期が想定からずれてしまい、期末に間に合わなかったという経験をしたITベンダーも少なくない。
パートナーの製品選定や新機能活用などに、役立つ情報が数多く掲載されている。この他にも定期的なウェビナーや、パートナーの若手社員向けの勉強会なども開催している
これに対して、デル・テクノロジーズでは、グローバルでの高い調達力を背景に、他社と比較して短い納期を実現し続けてきた。これに加え納期回答が的確かつ迅速なことも、大きな評価要因となった。実際、法人PC部門の今回の評価項目でも、納期が予測しやすいことが高い評点となっている。
「デル・テクノロジーズは顧客が仕様を選択したものを納品するというモデルで成長したこともあり、サプライチェーンが洗練されているため、どの部品を組み合わせると納期がどうなるかということが、すぐに分かるようになっています。パートナー様に対しても営業がすぐに納期の見通しを回答でき、それが後で変更されることもほとんどありません」と山田氏は語る。
エンタープライズ製品の納期に関しては、パートナーがセルフサービス型で確認することも可能だ。構成と見積もりを支援する「OSC(Online Solutions Configurator)」で、生産完了までの概算期間も表示されるからである。
「サーバー製品では組み込むパーツを1つ変えるだけでも、納期が大きく変化する可能性があります。そのため、お客様が許容できる納期の観点からパーツの組み合わせを決めたいというパートナー様も増えています。OSCならこのような試行錯誤も、パートナー様ご自身で行うことが可能です。これによって納期リスクを最小化できる点も、ご好評をいただいています」(上原氏)
これに加え、多面的なパートナープログラムを展開している点も高評価につながっている。
その1つが、Windows 11対応の際にも行われたウェビナーだ。デル・テクノロジーズはコロナ禍でリアルイベントが開催できなくなってからというもの、頻繁にウェビナーを開催。その中には顧客企業向けのものだけではなく、パートナー向けのものも数多い。
「Heroes Academy(ヒーローズアカデミー)“徹底攻略塾”と銘打ったウェビナーはその代表例です」と上原氏は話す。これはサーバーの基礎からHCI/ストレージ/データ保護、ネットワーク、システム管理、さらにはサイジングツールの使い方などを、徹底攻略できるというもの。定期的に開催しており、参加したパートナーの満足度も9割近くに達しているという。
その一方でパートナーの若手社員向けの勉強会も開催。コロナ禍で先輩社員の売り方を実際に見る機会が減っている状況の中、デル・テクノロジーズのインストラクターが製品販売の方法論を伝授するこの勉強会も、パートナーから高い評価を受けている。
これに加えてパートナー向けに情報を提供するためのサイトも立ち上げた。それが「情報ガイドステーション」だ。このサイトには、製品/サービス紹介資料や製品選定ガイドに加え、新製品や新機能を分かりやすく解説する「テクニカルBLOG」、パートナーSE選りすぐりの「厳選ホワイトペーパー集」などを掲載。パートナーからのアクセスは着実に増加しており、最近ではパートナーがテクニカルBLOGの記事を寄稿することも増えているという。
「デル・テクノロジーズにはPC製品に搭載されているDell Optimizer(PCを使用する人の挙動を学習し、使用頻度の高いアプリの高速化やバッテリーの駆動時間を延ばすなど、AIベースのソフトウエア)や、昨年から本格的に提供を開始したAPEX(デル・テクノロジーズのインフラストラクチャをアズ・ア・サービスと提供するソリューションポートフォリオ)など、ほかのベンダーにはないユニークな特徴が数多くあります。またデル・テクノロジーズの製品を活用したDXやテレワークの事例も数多く存在します。これらの情報をもっと発信して、パートナー様の中に当社のファンを増やしていきたい。そのための取り組みは、今後もさらに拡充していく予定です。さらにパートナー様が取り組んでいる課題も共有し、その課題解決のお手伝いも積極的に行っていきたいと考えています」(入澤氏)
今後も同社では、パートナーが安心して売りやすく、収益化も行いやすい環境を、継続的に強化していく考えだ。「まだまだパートナー様の期待に100%応えているとは思っていません」と入澤氏。さらなるパートナー満足度の向上を見据えている。