働き方や働く場所の多様化によって、スムーズでセキュアなファイルやデータの共有への需要は急速に高まり、企業のクラウドストレージ導入を後押ししている。法人向けクラウドストレージ「DirectCloud-BOX」を提供するダイレクトクラウドが行った独自調査の結果から、最新のニーズが明らかになった。
働き方、働く場所の急速な変化により、クラウドストレージ導入企業は増加傾向にある。「共有リンクでのファイルの受け渡しや、外部ユーザーをゲスト招待して共同作業することも可能で、どこにいてもオフィスでの作業環境と変わらない操作感・高レスポンスで安全に業務を行えるため、これまでVPNを活用してテレワークをしていた企業からも問い合わせが増えている状況です」。
そう語るのは、ダイレクトクラウドのマーケティング部門を率いる田畑邦浩氏だ。同社では2022年3月、国内企業におけるクラウドストレージの利用状況についての大規模な調査、「市場調査 クラウドストレージ利用状況について」を実施した。調査では、運用方針や導入の目的、選定ポイントなどもヒアリングしている。「一般企業に所属する約7万6000名の方へ協力を仰ぎ、最終的に情報システム関連部門所属の約750名の方から回答をいただきました」(田畑氏)。
調査からは、意外な事実が次々と浮かび上がった。特に田畑氏らが驚いたのは、クラウドストレージの導入目的についての回答だった。「大容量ファイルや機密性の高いファイルの受け渡し目的が最も多いのは予想通りでしたが、次点は“脱ファイルサーバー”でした。クラウド移行を前向きに捉えている方がここまで増えたことは予想外でした」(田畑氏)。
同社営業担当の和田浩二氏も、そうした動きを肌で感じているという。「暗号化したファイルをメールで送りパスワードを別送する、いわゆるPPAPの廃止が進む中、ファイル受け渡しのためだけでなく、DX推進の一環としての脱ファイルサーバーの動きを実感しています。例えば5台のNASで運用されていた企業様で、その5台すべてをDirectCloud-BOXへ完全移行された案件や、120TB規模で移行された案件など、大規模の案件が増えています」。
企業向けに移動体通信機器などの販売を行い、DirectCloud-BOX販売に携わる兼松コミュニケーションズの三上景三氏、池谷剛紀氏も企業のニーズ急増を実感している。「2021年秋頃から、クラウドストレージへのニーズが急速に高まっているのを感じます」(三上氏)。
では、企業は数あるクラウドストレージの中から、どのようなポイントを重視して導入するサービスを選んでいるのだろうか。「価格よりも『セキュリティ』が圧倒的多数でした。業務では機密性の高い情報も扱うため、セキュリティの高さが求められるのでしょう。私たちはお客様の大切なデータをお預かりしているのだと使命感を改めて感じました」(田畑氏)。今や多くの企業にとって、セキュリティこそが、クラウドストレージ選定の最大のポイントなのだ。