iCARE
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Marketing部
健康経営アドバイザー
小川 剛史 氏
Carelyは中小企業から大企業まで、累計500社を超える様々な規模・業種の企業を顧客に持ち、累計利用者数は30万人を超える。iCAREの小川氏はその特徴を次のように語る。「これまでの健康管理は基本的に大企業向けで、産業医や保健師が利用するシステムでした。Carelyは人事担当者や経営者など、健康管理の専門家以外にも扱いやすくすることで、健康情報を経営に役立てることが可能になります」。
健康管理はアナログ業務が多く残る分野であり、その多くが手作業で行われている。例えば健康診断(健診)の管理業務1つ取っても、従業員の受診希望調査、クリニックへの予約、予約状況の確認、受診状況の確認、クリニックへの支払い、健康保険への補助申請、健診結果の受け取り、産業医の就業判定、再検査の案内、労働基準監督署報告書作成、健診結果の保管とやるべきことが極めて多い。しかも、クリニックとのやり取りは90%以上が電話かFAXで、健診結果に至っては紙で通知される。ペーパーレス化を実現するツールもあるが、あまり効果はない。「部分的にペーパーレス化しても、デジタル化できるのは産業医の就業判定や健診結果の保管程度。健康管理のDXを進めるには、クリニックへの予約や再検査の受診勧奨なども含めた一連の業務をデジタル化することが望ましく、Carelyはそれを実現します」(小川氏)。
実際に従業員3000人、20拠点の企業でCarelyを利用したところ、健診業務の大半をデジタル化でき、年間689時間かかっていた作業を26時間に削減。実に約96%の工数削減を実現した※1。小川氏は「他の企業でもおおむね90%程度の工数削減が実現しています。これだけの人件費削減効果により、コスト削減効果も期待できます」と語る。
※1 iCARE調べ
健康データの活用メリットは、単に工数やコスト削減にとどまらない。
これまで求人や休職、離職といった組織課題の解決には、労務管理システムやタレントマネジメントシステムを使って収集した人事情報や従業員ニーズが使われてきた。小川氏は、「これでは組織の一部分しか見えません。ここに健康データを組み合わせることで、多角的に組織の状態を見える化できます」と指摘する。Carelyは、各種HRTechソリューションやコミュニケーションツールなどと連携できるので、人事データと健康データを組み合わせた分析を容易に実現させることができる。
ここで小川氏は、健康データの活用が離職防止につながった事例を紹介した。情報通信サービス業で約4000人の従業員を抱えるA社は、Well-beingに力を入れていたが、月間の離職者数は約50人、年間離職率は15%で、その削減が課題だった。従来の対策は離職者に対するヒアリングが中心で、そもそも対象者が少ないうえ、離職決断後に聞いても本音が出ない。本当の課題がわからず、改善のPDCAサイクルが回らずにいた。
相談を受けたiCAREは、離職に至る前のハイリスク者のデータを分析し、企業内に潜むリスク要因を割り出すことを提案。ハイリスク者は、健診やストレスチェックによるフィジカル・メンタルの状態、労働時間などから定量的に抽出する。加えて、産業医や人事担当者が面談し、現在の働き方の状況をログとして残していった。これをCarelyに蓄積することで、離職に至る人の特徴や根本的な要因が見えてきた。A社の場合、離職に至る人の特徴は30代男性、中途入社、在籍1年未満だ。キャリアを見込まれて入社したものの、これまでの仕事の進め方とA社のやり方の差にストレスを感じていたり、採用時の話とのギャップ、上司によるアラートの遅れなどが主な要因となり、離職に至っていた。そこで、中途入社向けオンボードプログラムの強化、採用のチェック項目・評価配点の見直し、上司へのフィードバック体制の構築、入社1年間の健康データ収集の精緻化などを提案し、改善に至ったという。「人事データと健康データを組み合わせることで、他にも応用可能です。例えば女性の採用強化を目指す場合は、社内のロールモデルとなる人の健康データなどを参考に、社内制度の見直しなどにつなげることができます」(小川氏)。
このようにデータを使って健康管理を実現し、組織の課題解決につなげるのが、今注目を集めている健康経営だ。ESG投資、SDGsのトレンドの流れから、企業価値を判断する際に、従来の財務指標に加え非財務指標が重要な要素となっているからだ。「従来日本はここへの投資が少ないと言われてきましたが、近年急成長しています」(小川氏)。実際に、経済産業省による認定制度「健康経営優良法人」への申請企業は年々増加。さらに「健康経営優良法人」取得企業の売上高営業利益率は、取得前の5年間がマイナスだったのに対し、取得後はプラスになる傾向にあることがわかっている※2。
こうした健康経営分野でDXを進めるためには、組織改善に向けた4つのステップで取り組むことが重要だ。
ステップ1は、前述のCarelyを活用した健康診断管理業務のデジタル化などによる業務効率化だ。他にもストレスチェックなどを活用したメンタルヘルス予防、過重労働や休職者の削減など、これまでのアナログ管理からデジタル化することで、効率化と属人化の防止が可能となる。
業務の効率化によって生み出された時間や蓄積したデータを使って、分析も可能となる。それを人事データと組み合わせることで、ステップ2の課題の発見につながる。
ステップ3では、各事業部の部門長や経営者、採用や広報部門、産業医など外部の専門家といった社内外の関係者と連携し、実効性のある対策を実行。最後にその活動を社内外に情報発信することで、企業ブランド力向上につなげることが可能となる。「従業員の健康を守っていく活動を事業のブランディングにし、事業成長の資本として考えることが、ESGの考え方であり、今健康経営が進もうとしている流れです」(小川氏)。Carelyは、このフローのステップ1~3をカバーする。
最後に小川氏は、「健康データと人事情報を組み合わせることが、健康経営DXの第一歩です。その実現を阻害しているのが、健康管理のアナログ業務です。Carelyを活用することで、単なるペーパーレスではない、業務プロセスのデジタル化を実現し、関係者を巻き込んで経営課題の解決を実現していただきたい」と締めくくった。
※2 出典:健康経営の推進及び「健康経営銘柄2021」「健康経営優良法人2021」について(令和2年9月 経済産業省 ヘルスケア産業課)
メルカリ
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