Vol.2 エッジ×ブロックチェーンで誕生した安全で快適なリモートワーク環境

ソニー出身者によって2016年に設立されたジャスミーが、2022年に安全で快適なテレワーク環境に貢献する新ソリューション「Jasmy Secure PC」の提供を開始した。この「Jasmy Secure PC」は単に便利なツールではない。広大な構想につながる入り口としての役割も担っている。誕生の背景と将来展望について同社代表取締役社長の佐藤一雅氏に聞いた。

――2016年4月の創業から約6年が過ぎました。どのような6年間でしたか。

佐藤氏:後の世から見れば正しかったことでも、その最中には「早すぎた」「時代にマッチしなかった」と評価されてしまうことがあります。

創業時はシリコンバレーを中心に、クラウドを使った新たなサービスが次々と生まれた時代でした。私たちは、日本の企業にももう一度チャンスがあるという思いの下にジャスミーを立ち上げました。立ち上げメンバーは私を含めソニー出身者が中心で、コンピュータの世界では集中の次に分散の波が繰り返されていることを予測していました。

ジャスミー株式会社
代表取締役社長
佐藤 一雅

1980年代、コンピューティングはメインフレームに集中していました。その後ダウンサイジングが進み、私も開発に深く関わっていたVAIOをソニーが発売した頃には、そのVAIOとかつてのメインフレームの性能がほぼ変わらなくなっていました。20年前のメインフレームでできたことが、PCでできるようになり、端末側でも様々な情報処理ができる分散の時代になったのです。

しかしその後、ブロードバンド化とともにクラウドという集中への揺り戻しが起きました。このようなクラウド全盛の頃に「再び分散の時代、IoTの時代が来る、パワーを持った端末、今で言うエッジコンピューティングが求められるようになる」と直感したメンバーによってジャスミーは設立されています。

クラウド全盛の時代でしたが、端末とデータを切り離すことなく、分散してデータを運用するソリューションにできないかとも考えました。クラウドがデータの銀行であるならば、その一部を安全に持ち出せる財布もあれば、さらに安全かつ便利だということです。

ちょうどこの頃は、データの世紀が到来するとも言われていました。アリババのジャック・マー氏が「データは未来の石油であり水である」と言ったのは2015年です。当時すでに多くの人がグーグルのサービスを使っていましたが、自分のデータが経済を大きく動かしていると感じていた人がどれだけいたでしょうか。「便利なサービスが、タダで使えるのだからそれでいい」という風潮が強かったのでGAFAの台頭に問題を感じる人は少なかったように記憶しています。

その後、自分の知らないところでデータが使われる問題が頻繁に起きるようになり、ユーザーの間で自分のデータが無断で使われることは危険だという意識が強くなりました。2018年に欧州連合(EU)で一般データ保護規則(GDPR)が施行されたのを機に、個人情報保護の動きは世界的に進みつつあります。

こうした動きと同時に、データの改ざんを技術的に困難にするブロックチェーンなどの分散技術が急速に発展しました。中央に集約しなくても端末や個人で発生したデータは、これらの技術を使えば守ることができると考えました。

新型コロナウイルスの感染拡大は、こうした最中に起こり、多くの人がリモートワークを余儀なくされました。すると、従来のクラウドとシンクライアントの組み合わせやリモート環境では、良質なネットワーク環境下でないと仕事がはかどらないという課題が明らかになりました。では単純に、ネットワーク環境やエッジ端末を置き換えればいいかというと、今度はそこに保管したデータのセキュリティ問題が生じます。私たちは、こうした課題を解決するソリューションとして、2022年1月にエッジコンピューティングとブロックチェーンを組み合わせた「Jasmy Secure PC」の提供を開始しました。

必要なときに可視化するドライブで
データの安全を確保

――他のサービスとの違いはどこでしょうか。

佐藤氏:できることだけに着目すると、「Jasmy Secure PC」とよく似たサービスはあります。かつて薄くて軽いVAIOの505シリーズは“銀パソ”と呼ばれるカテゴリーをけん引しましたが、他社のノートPCにも薄くて軽いものはありました。しかし、多くの方に支持していただくには、特長を表にしてマルバツを付けるのとは別の要素が必要です。

「Jasmy Secure PC」の特長のひとつは、使い勝手の良さです。財布のようにPCを持ち歩いて、中身を紛失してしまっては大変です。しかし、「Jasmy Secure PC」のゴーストドライブという機能を使うと、持ち歩いているときなどには業務用のドライブは見えなくなります。そして、そのドライブに保存されたデータを確認したいときにだけ鍵を使い可視化できます。可視化の鍵の持ち主である管理者は、遠方にいてもかまいません。PCを持った出先の営業スタッフが、電話をかけて管理者に鍵を開けてもらうという使い方もできます。

この「Jasmy Secure PC」の普及については、2022年2月に、アジア・太平洋地域を中心に世界25カ国以上でPCビジネスを展開するNEXSTGO社(香港)との間で、事業・業務提携に関して基本合意いたしました。今後海外展開も加速する予定です。

▲ PageTop