LIVING TECH Conference レビュー「2025年の社会課題を解決する住宅DX」

Opening/Keynote
Session
 今年で第4回目を迎える「LIVING TECHカンファレンス」が、LIVING TECH協会と日経BP総研の共催で2月25日に開催された。

 同カンファレンスは、日本が世界に情報発信する大阪・関西万博の開催年2025年をターゲットに、「ROAD TO 2025」をキーワードとして「暮らし×テクノロジー」の各テーマで計11のセッションをオンライン配信で公開した。基調講演と各セッションをレビューする。
Opening

【ROAD to 2025】 リビングテックロードマップのストーリー戦略

Speaker
  • 古屋 美佐子 氏 一般社団法人LIVING TECH協会 代表理事 アマゾンジャパン合同会社 Amazonデバイス事業本部 オフライン営業本部 営業本部長
  • 山下 智弘 氏 一般社団法人LIVING TECH協会 代表理事 リノベる株式会社 代表取締役
Moderator
安達 功 氏 日経BP 総合研究所 フェロー

 オープニングセッションは、日経BP総合研究所フェローの安達功氏をモデレータに、LIVING TECH協会代表理事の山下智弘氏と古屋美佐子氏が「【ROAD to 2025】リビングテックロードマップのストーリー戦略」として、協会のこれまでの取り組みを紹介するとともに、25年に向けた戦略と未来像について、リラックスした雰囲気で座談が進んだ。

 LIVING TECH協会は「人々の暮らしをテクノロジーで豊かにする」をミッションに20年4月に設立。スマートホームを「ユーザー視点」で定義し、「便利の先にある豊かな暮らし」をユーザーに届け業界横断で社会課題の解決を目指す。「顧客の利便とは何かからスタートし、それに合わせたビジネスプロセスを業界横断で組んでいく。『ユーザーのために何ができるか』だけを考える団体は珍しい」と山下氏。「海外の情報家電見本市で、日本の存在感が希薄であることに危機感を持ち、山下氏と議論したことがこの活動のきっかけだった」と、古屋氏は設立当時を振り返る。

 21年10月には3社共同プロジェクト「真鶴の家プロジェクト」でスマートホームモニター体験会を実施。「スマートホーム関連機器が実装された住宅でスマートホームを体験する実証実験で、導入から利用後までユーザーから直接声を聞くことができた。そこから改めてビジネスを組み立てることができるのも協会の価値」と古屋氏は言う。

 山下氏は「暮らし×テクノロジー」に関わる分野領域をカオスマップで可視化することや、スマートホームが目指すべきレベルを、自動車の自動運転レベルを例に制作していく構想を紹介。最後にモデレータの安達氏は「LIVING TECH協会はサンドボックス(自由な砂場)。とにかくやってみる。失敗を恐れずに実験や実証に取り組むことができる場」として、同活動に並走、伴走してくれる企業や人が増えてほしいとセッションを締めた。

LIVING TECH協会の今後
Keynote1
古屋 美佐子 氏 アマゾンジャパン合同会社 Amazonデバイス事業本部 オフライン営業本部 営業本部長

Amazonが考えるスマートホーム

 Amazonはグローバルでスマートホームの普及に取り組んでいる。その最新事例とユーザー視点でオープンにスマートホームの普及を目指す戦略について紹介したい。

 Amazonのビジョンは「地球上で最もお客様を大切にする企業になること」で、そのためのイノベーションを重ねてきた。そこから生まれた新しいプロダクツやサービスに、スマートスピーカー「Amazon Echo」と、その頭脳となるクラウドベースの音声サービス「Alexa」がある。「Alexa」対応家電や設備のカテゴリーも広がっていて、住宅開発者は「Alexa」導入を前提とした家づくりも視野に入る時代になったと思う。

 米国では「Alexa」のテクノロジーを活用して家族で協力し合いながら、安心して高齢者を見守る環境の実現をめざす「Alexa Together」を2021年にリリースした。さらに人工知能(AI)機能を搭載した自律型家庭用ロボット「Astro」を発表。インテリジェントモーション機能で顧客の自宅を自動でモニタリングし、「Alexa Together」と連携した24時間緊急対応サービスへの連絡も可能となる。モビリティが家に入ると「家」のあり方も大きく変化するはずだ(いずれも日本では未発売)。

 このほか、米国のConnectivity Standards Alliance(CSA)は、各メーカーが開発するスマートホームデバイス間の互換性を確保するための、スマートホームの新規格「Matter」を発表した。当社のほかAppleやGoogleなどが開発に参加している。

家庭向けロボット「Astro」(米国での事例)

2021年、米国向けに「 Day 1 Editions 」という位置付けで999.99ドルで販売を開始、招待制での販売。Alexa、ハードウェア、ソフトウェア、コンピュータビジョン 、AIなどAmazonの持つ先端テクノロジーを結集し、開発された家庭用ロボット。

Astroの機能のご紹介

●インテリジェントモーション機能によってお客様のご自宅を自動でモニタリング

●部屋から部屋へ、通話やエンターテインメント鑑賞時も追従

Alexa Togetherを使えば、24時間緊急対応サービスへの連絡が可能。

Keynote2
宿本 尚吾 氏 国土交通省 住宅局 住宅生産課長

世帯減少時代の社会課題と住宅DXによる解決への期待

 2018年時点、日本の住宅ストックは約6240万戸、うち880万戸が空き家で、旧耐震基準の住宅は約1800万戸、耐震性不足は約700万戸に上る。国内の世帯数は23年の5419世帯をピークに減少に転じるが、今後は新築既存住宅全体で、国民の住生活に対する多様なニーズに応えつつ、将来世代に承継できる良質な住宅供給を推進する必要がある。空き家を増やさずに住宅ストックの質を向上させることが課題の1つだ。

 住宅開発の生産性向上や働き方改革の推進も、産業政策上、重要な課題となっている。高齢化が進むと健康維持増進につながる安心安全の確保や、カーボンニュートラル実現には新築だけでなく既存住宅の流通、住宅を循環させることも重要だ。こうした数々の課題をデジタル技術で解決できないか。

 私たちが考える住宅DXは、デジタル技術の浸透を通じて人々の生活をよりよいものへと変革することで、大きく2つの目的がある。1つは、「住宅」や「まち」という空間そのものの「快適性、安全性、利便性」の最大化。そして、住宅生産(設計・施工・維持管理)における生産性の向上だ。現状、住宅・まちづくり分野とデジタル分野の両方に知見のある専門家は限定的であり、人材の育成も必須だ。情報・人材連携が重要になると考えている。

 2021年3月に閣議決定した住生活基本計画では、新たな日常やDXの進展などに対応した新しい住まい方の実現を目標の1つに掲げ、DX推進計画を策定し実行する大手住宅事業者の割合を、2025年までに0から100%とする成果指標も示した。

今後の住宅を取り巻く課題(質的に不十分な住宅ストック)
Keynote3
池本 洋一 氏 リクルート『SUUMO』編集長 兼SUUMOリサーチセンター長

見えてきたニューノーマルとテクノロジーで進化する暮らし

 リモートワークは今後も定着するのか。リクルートキャリアほかの調査では、「(テレワークになって)よかった」「続けたい」という声が多く、テレワーク経験者の66%が自律的な働き方を支持し、8割以上が継続意向※1を持っていた。一方、リクナビNEXTから見たテレワークの求人者/求人動向では「在宅勤務OK」は2020年2月を1とした場合、同年10月には6.5倍に増え、応募数も5.7倍に増えている※2

 また「住宅・住宅設備必要度×必要度の変化」についての調査では、「通信環境」「通風/換気」「遮音性」「省エネ性能」を上げる例が多く、意外なことに「ワークスペース」はトップ項目には入らなかった。テレワークはモノが増えるため、収納かワークスペースかの空間の取り合いが想定されるが、アンケートの結果では収納を重視する傾向にあった。家にいる時間が長くなり、ユーザーが、住宅に“より快適性を求めるようになった”生活スタイルがニューノーマルと言えるのではないか。

 最後に「真鶴の家」見学で感じたことを話したい。この家に導入したスマートホームデバイスが何の代替であり、その優位性を考えることでスマートホームの価値が見えてくる。例えば「Alexa」のような音声対応のサービスは、子供にコミュニケートして好奇心を伸ばし、親がガミガミ言う代わりに、対話で子供の歯磨きや片付けを促して習慣づけも可能になる。子育てのストレスは大幅に軽減するはずだ。今後の普及に向けては、デバイスの初期設定の簡素化は不可欠で、これをフォローアップする仕組みも必要だ。家電量販店とタイアップして保証サービスとセットにする方法などが考えられるだろう。

※1:リクルート『新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態調査』(2020)
※2:リクルート『リクナビNEXT求人動向』(2020)
コロナ禍で必要になったもの
Special Session
岸村 大安 氏 ウェブシャーク 取締役

「Yogibo」が「リラックス」に与える影響を科学的側面から紐解く

 「ストレスのない社会の実現」を企業理念に掲げるウェブシャークは、高い快適性で知られる米国東海岸発祥のビーズソファYogiboを世界8カ国に展開している。同製品が提供する価値「リラックス」の本質とは何か。ウェブシャークは早稲田大学との産学連携プロジェクトで「リラックスとは何か」「ビーズソファが仮眠時に与える効果」のテーマで、同大学内の2つの研究室と、アンケート・分析、生理測定による定量評価などの調査研究を実施。このセッションではその調査結果を発表した。Yogiboがもたらすリラックスと上質な仮眠の、学術的な裏付けが公開された。

Opening/Keynote
Session
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