マネーフォワード
マネーフォワード
執行役員 経理本部 本部長
松岡 俊 氏
マネーフォワードの松岡氏は、冒頭に「当社は会計システムを提供している会社ですが、今回のセミナーでは営業担当ではない経理担当として良い面も悪い面もあわせて率直にお話しすることで皆さまのご参考となる場としたい」と話す。
松岡氏がマネーフォワードに入社した2019年当時の経理業務では、まだまだExcelや紙とハンコの作業が残っており、リモートワークでは不可能な状態だった。また、アナログな業務による負荷の高さから残業時間も多く、有休取得が難しい状況もあったという。
2019年から改善プロジェクトを発足させたマネーフォワードでは、まずボトルネックを見つけて優先度を決め、プロジェクト体制を整えていった。プロジェクト発足後は、複数のクラウドシステムの導入をそれぞれ2〜3カ月で推進し、短期間で本番運用を開始している。
まずは、受取請求書業務から集中して改善して成功体験を得た改善プロジェクトは、その後も現在に至るまで12のテーマの業務改善を行い、改善を継続していった結果、残業時間の大幅削減や有休取得率の向上などのチームメンバーの働き方の改革が行われ、結果的に従業員サーベイも向上していった。
受取請求書の処理をどのように改善していったかを具体的に説明し始めた松岡氏は、次の図のように改善前と現在の処理フローを示し、改善前は人的ミスや紛失のリスクがあったと説明する。
現在の受取請求書処理は、請求書のPDFを「マネーフォワード クラウド債務支払」にアップロードして電子承認をし、インターネットバンキングや「マネーフォワード クラウド会計Plus」とAPI連携をさせている。また、以前は渡された紙の請求書を経理が手入力していたが、改善後は現場の申請者が支払依頼時に画面上で科目と部門を選択して入力し、経理が確認する形に変更されている。これによって、ペーパーレスが実現されて書類を探す手間が省け、出張先などの遠隔地でも上長の承認が可能となった。また、伝票承認がどこで止まっているのかがシステム的に可視化でき、適切にリマインドすることができるようになり、現場入力によって費用分析が容易となり、正確な部門別原価計算が可能となって迅速な経営判断に寄与しているという。さらに、前月の支払依頼をコピーして当月利用できるようになったことで、以前は人によってばらつきがあった科目などが均一になっている。
請求書支払からAPIによる自動仕訳で財務会計システムと連携させることによって仕訳帳のリンクから支払依頼に、支払依頼のリンクから事前購買申請までさかのぼることができるため、さまざまな調査を経理が行いやすくなったことも改善の効果のひとつだ。APIで銀行システムと連携させて支払マスタによる管理を行うことで、支払処理の工数が減り、より正確かつ迅速に行えるようにもなっている。以前は7営業日かかっていたものが4営業日と、請求書の処理日数も大幅に短縮された。
「効率化を目指した改善を行ったことで、ペーパーレス化が進み、クラウドシステムに自宅からでもアクセスできることで、結果としてすべてリモートワークにつなげることができました。緊急事態宣言時、経理本部の社員はほとんど出社することなく、フルリモートで年度決算を1回、四半期決算を5回乗り切ることができています」と松岡氏は話す。
電子帳簿保存法改正への対応にも取り組んできたと話す松岡氏は、以前は領収書を受け取って3日以内に撮影するのが間に合わないなどの課題があり、相互牽制や定期検査などの負担が大きく、電子帳簿保存法で当初狙っていた効率化が十分実現できていなかったと説明する。
毎年のように改正される電子帳簿保存法は、そのたびに使いやすくなり、2020年10月の改正では、ICカードやクレジットカード、新幹線・飛行機の予約サイト、タクシーなどと「マネーフォワード クラウド経費」を連携させることで一部の領収書添付が不要となり、効率化につながっていると松岡氏は言う。また、2022年1月の改正では、負担が大きいことが課題だった相互牽制や定期検査が不要になるように緩和されるため、これに応じて社内プロセスを変更する。
続いて、ペーパーレスの徹底も継続して行っていると話す松岡氏は、月1回の記帳のために出社や金融機関への移動が発生していたため、紙の通帳も廃止し、通帳の電子化によって出社・外出の削減と通帳物理管理コストの削減を実現していると説明する。また、申告・納税もe-Taxに切り替えているという。一部残っていた領収書・請求書以外の紙とハンコによる承認作業も、「マネーフォワード クラウド経費」のワークフローの機能を活用して電子承認を徹底した。
マネーフォワードでは、「持たず」「作らず」「持ち込ませず」の「非紙三原則」を徹底している。松岡氏は、一気に紙をなくすことはできないが優先度を付けて徐々に進めていくことが重要だと説明し、システムを導入するだけでなく全社一丸で取り組み、取引先の理解と協力も必要となると話している。
マネーフォワードは、本社で行ったこれらの改善のプロセスを標準化し、グループ会社に横展開することで人的コストの削減や決算締め作業のプロセス標準化を実現している。また、電子化されていない業務はBPOサービスを活用することで、業務の整理、文書化、プロセス標準化につながり、書類の保管スペースも削減できたといい、監査法人にマネーフォワードの各クラウドシステムのアカウントを発行することで監査の電子化やリモート化も実現している。
「リソースに限りがあるなか、すべてを改善することは難しいので、優先度を決めて集中対応し、スモールスタートで一部部署やメンバーからパイロット運用することが重要です。我々はクラウドファーストで考えた結果、スピード導入とペーパーレス化を実現することができました。導入効果については、経理内部における効果計測だけでなく、現場側のメリットも提示することが重要で、成功体験を受けて他のプロセスに改善を拡大させ、改善を継続して行っていくことも重要となります」と最後に松岡氏は話している。
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