日経ビジネスLIVE 2022 Summer レビュー日経ビジネスLIVE 2022 Summer レビュー

人的資本投資の今をLIVE発信
人材育成や能力開発に発想の転換を

Introduction

WebでのLIVE配信番組で、体感できる日経ビジネスを目指す「日経ビジネスLIVE」では、2022年6月22日から24日にかけて「日経ビジネスLIVE 2022 Summer」を開催した。「人と組織が共に成長するイノベーティブな社会のために」をテーマに、経営と人事の様々な課題が議論された。

 企業経営において「人」の問題が、特に人的資本(Human Capital)の拡充がクローズアップされている。SDGs経営の実現には欠かせないものであり、欧米では人的資本の情報開示によって企業価値が左右されるともいわれている。さらに、ジョブ型に代表される新たな人事制度の導入や、専門性の高い人材の採用・育成、HRテックを駆使した人事関連業務の効率化など、人事には課題が山積している。

「人的資本経営」について
課題を議論

 今回の日経ビジネスLIVE 2022 Summerの特徴は、経営トップをはじめ、幅広いビジネスパーソンの支持を得る「日経ビジネス」を中核に、IT、デジタルの「日経クロステック」、人事に特化した「Human Capital Online」という2つの専門メディア、さらに数多くのCHOを含む人事パーソンの会員組織「Human Capital Committee」が協力して、企業競争力を高める「人的資本経営」について発信したこと。3日を「経営」「組織」「人財」の切り口に分け、多くの議論が交わされた。

人的資本投資は
「人」を主語に

 初日の基調講演に登壇したのは、東京大学大学院 経済学研究科教授の柳川範之氏。「人を主語にした経営を実現する人的資本投資のありかた」と題して、人的資本への投資の考え方の発想の転換を求めた。

 柳川氏は「人材育成や能力開発は、会計上はコストという考え方が根強く、人材育成に力を入れても会計上はマイナスに捉えられてしまう。しかし、人的資本への投資だと考えれば、長期的に資産になってリターンを得られる有意義なものになる」と指摘する。

 一方で「人的資本」への情報開示の手法への関心は高まっている。開示できさえすればよいとも考えられがちだが、「人的資本投資とは、政策などにより要求された情報開示をすれば済むことではない。どういう人材をどのように育成するかについて計画し、きちんとした組み立てが必要だ。伝統的な人材育成や能力開発から、戦略を再構築することも考えるべきだ」(柳川氏)。

 そこで求められるのが、「企業のための人材育成や能力開発」から「個人の能力開発の支援」への発想の転換だという。「会社目線からすると人材育成だが、従業員本人にとっては会社のためだけでなく、個人のスキルアップや能力開発につながるもの。人を主語にして考えると、従業員のウェルビーイングを高めるための能力開発を企業が支援し、その結果としての企業価値向上を目指すとよい」(柳川氏)。

 こうした発想の転換をしないと、今後は人材が採用できず、できたとしても離職してしまうリスクも高まる。柳川氏は、「やる気を起こさせるために大事なことは見通しの良さ。会社からの期待をきちんと説明するだけでも、個人の能力開発の努力や意識につながる。期待を伝えるという取り組みでも企業価値は高められる」と、身近な解決方法も提示して人を主語にした人的資本投資への取り組みを促した。

「経営」「組織」「人財」
それぞれで各日議論

 基調講演でスタートした日経ビジネスLIVE 2022 Summerは、3日間の各日、「経営」「組織」「人財」をそれぞれテーマにして、ディスカッションや講演が繰り広げられた。中でも、ステアリングコミッティのメンバーによるパネルディスカッションは充実していた。人的資本経営を先進的に推進する企業の人事担当役員と執行役員で構成するHuman Capital Committeeの幹事会員によるディスカッションである。

 初日の「経営」では、「日本企業における人的資本経営の『あるべき姿』とは」をテーマに、人的資本経営の実態、会社を変革するパーパスの活用、CHOが果たすべき役割について議論が深められた。

 2日目の「組織」では、「組織力強化で実現する『全社員の戦力化』とは」をテーマに、マネージャーのありかたから社員の成果に報いるジョブ型制度の導入まで話題が広がった。

 3日目の「人財」では、「変革を起こし企業価値を上げる『人づくり』の本質に迫る」として、変化適応力を鍛え、共創を深めていく人づくりについて議論を行った。

 このほか、各日には多くのソリューション講演が行われ、人的資本経営実現のための様々なヒントが提供された。

Program