人々の働き方が大きく変わったニューノーマル時代、ネットワーク環境の整備が重要性を増している。このような中「ネットワーク機器」部門でNo.1を獲得したのがNECだ。市場ニーズを捉えた製品ラインアップの拡充と、積極的な技術支援・情報提供がパートナーの支持につながった。目指すのは、誰もが快適に、効率よく、安全につながる「ワークライフ空間」の実現。NECは、パートナーとの共創に基づく取り組みを、そのために不可欠なものとして位置付けている。
今日のデジタル社会において、情報伝達を担うネットワークは欠かせないインフラの1つといえる。高品質かつ安定したネットワークなくして、新しい生活様式や場所を選ばない働き方は実現できないだろう。
この状況のもと、NECは顧客や社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)に貢献するため、「ワークライフ空間」の実現を目指している。ワークライフ空間とは、すべての人が快適に、効率よく、安全につながるデジタル空間のことを指す。
「その具現化に向けては、高速でいつでもつながるネットワーク環境が必須です。そこで当社は、『NEC Smart Connectivity』を基盤として、SDN(Software-Defined Networking)やネットワークのライフサイクル・マネジメント全体をマネージドサービスとして提供しています」と同社の坂口 赴夫氏は説明する。
同時に、不可欠なのがパートナーとの「共創」だ。大きく環境が変化する中でも、新たな価値を顧客に提供し続けるため、NECはパートナーと二人三脚でのビジネス強化に取り組んできた(図)。
NECが持つハードウエアやネットワーク、AI技術、業種別サービスにパートナーのアセットや知見を組み合わせることで、共創に基づく新たな価値を創出する
パートナー向け技術サポート要員を増強するとともに、パートナーとの会議には製品部門も積極的に参加。これにより、パートナーの声をより直接的に製品・サービスに反映していく。
「パートナー様の声に耳を傾けることは、市場の潜在ニーズの把握につながります。それを速やかに製品・サービスにフィードバックすることで、マーケットインの取り組みを強化する狙いです」と坂口氏は言う。
このような取り組みに基づき、NECは製品ラインアップを継続的に拡充してきた。LANスイッチ/無線LAN「UNIVERGE QXシリーズ」、VPN対応高速アクセスルーター「UNIVERGE IXシリーズ」の新製品追加はその一例だ。
QXシリーズでは無線LANアクセスコントローラーやアクセスポイント製品のラインアップを強化。IXシリーズでは普及価格帯に10Gbps対応ルーターを投入し、価格性能比を高めている。現在は、多くの企業がオフィスのフリーアドレス化や無線化を進めている。この状況を受け、小規模から大規模までより幅広いネットワークの高品質化ニーズに対応できるようにした格好だ。
また、クラウド型統合管理サービス「NetMeister」の機能も強化。このNetMeisterでは、物理的に離れた拠点にあるネットワーク機器を一元管理できるほか、QX/ IXシリーズの利用開始時に、機器自身が設定を自動取得するゼロタッチプロビジョニングも実現可能だ。
「これをパートナー様が利用することで、保守運用サービスにおけるオンサイト作業の削減や、トラブル対応の迅速化を図れるようになるでしょう。資産管理やセキュリティ対策の運用に関わるサービスを効率化することも可能です」と坂口氏は説明する。基本、無料で使えるため、サービス価格に跳ね返ることがない点もメリットといえるだろう。
特に現在、顧客企業のネットワークのライフサイクル・マネジメントを担うパートナーでは、機器の展開や保守運用にかかる工数が大きな負担になっている。NetMeisterを使えば、それらの負担を軽減し、リソースを新たな価値提供に振り向けることが可能になる。「おかげさまで多くのお問い合わせをいただいており、QX/ IXシリーズともに累計販売台数100万台を達成しました。特にQXシリーズの無線LAN製品は2018年以降、販売数も年300%のペースで伸びています」と坂口氏は話す。
パートナー向けの技術支援、情報提供施策も改善している。製品の技術サポートを専門に行うTAC(Technical Assistance Center)の活動強化はその一環だ。問い合わせ・障害時対応といったリアクティブ支援の質とスピードを向上するとともに、実践的な内容のハンズオントレーニングなども拡充。プロアクティブな支援にも力を入れている。
なお、昨今は販売講習会(セミナー)をリモートで実施している。遠方のパートナーが参加しやすくなった影響もあり、2021年度の参加者数は前年比150%に増加。95%以上が「満足」と回答するなど、パートナーの評価も上々だという。
また、新たな情報提供施策として、市場トピックスなどの“旬”の情報を主に提供するウェビナーも開始。「GIGAスクール向けネットワークの設計・運用」「自治体強靭化庁内ネットワークモデル」などのテーマでこれまで30回以上開催し、延べ2000名以上(2022年2月25日現在)が参加したという。
さらに、ニーズの高まっているQXシリーズの提案活動を支援するため、新たな組織も立ち上げた。それが、「QX 見積・構成センター」だ。
「ネットワーク機器の選定・構成をNECがお手伝いします。商談の上流工程にかかるパートナー様の負担を軽減し、お客様提案のスムーズ化をご支援します」と坂口氏は強調する。相談件数は前年度比3倍以上で増えており、体制を随時改善し、2021年度は平均1営業日での問い合わせ回答を実現しているという。
NECおよびパートナーの支援のもと、快適なネットワーク環境を具現化した事例は数多い。例えば、全国に数百拠点を持つある介護サービス事業者は、拠点の無線LAN環境をNetMeisterで一元管理する環境を構築。また、「NECがSDNでモデル化した構成に基づき、全30の工場拠点のネットワーク刷新・標準化に取り組むお客様もいます」と坂口氏は紹介する。
パートナーとの共創に基づき、ワークライフ空間の実現に取り組むNEC。顧客のビジネス価値増大、そして社会課題の解決に向けた同社の挑戦はこれからも続いていく。