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DX推進する方改革新時代

アウトソーシングテクノロジー

PCやスマホによるバイタル検査で社員の「本音」を知る

従業員エンゲージメントを向上する方法とは?

従業員エンゲージメントを高め、人的資本の価値向上を目指す企業が増えている。そこで注目を集めているのが、パルスサーベイとバイタル検査を組み合わせた新しいデジタル基盤だ。従業員の満足度を本音ベースでチェックすることができ、従業員に負担をかけずにエンゲージメントを向上する仕組みとして期待が高まる。

パルスサーベイで「突然の退職」を防ぎ、人材の定着率を向上

アウトソーシングテクノロジー イノベーションプラットフォーム部 ビジネス開発&マーケティングディレクター 伊藤 幸弘 氏

アウトソーシングテクノロジー

イノベーションプラットフォーム部
ビジネス開発&マーケティング
ディレクター

伊藤 幸弘

 エンジニアの派遣とシステム開発を請け負うアウトソーシングテクノロジー。約1万6000人の社員のうち3分の2が、客先でのDXやシステム開発に従事するエンジニアだ。顧客ごとの状況をつぶさに観察して課題を抽出し、それを解決するDXを提案する。そして、必要なデジタル基盤を設計し、概念実証(PoC)を経て本格的な開発へと進む。本番運用に移った後も、運用や保守の面で企業を支援している。

 同社が提案するDXの中で、今注目を集めているのが「DX健康経営ソリューション」だ。デジタル基盤で従業員エンゲージメントを測定し、データに基づく確度の高い人事施策を行う。人材の流出を防ぎ、人的資本の価値を向上させる。

 その基礎となるのが、従業員に対して行う各種サーベイだ。パルスサーベイ、エンゲージメントサーベイ、ストレスチェック、社員満足度調査など様々なサーベイがあるが、同社はパルスサーベイの優位性に注目している。「10問程度の少ない質問数で、週1回から月1回といった短いスパンで従業員の満足度を測る手法です。大手企業の過半数がすでに導入しているか、導入準備に入っています」(伊藤氏)。中小企業でも3割以上が導入または導入する予定にあることが調査からわかっている。

 パルスサーベイの目的は主に4つある。「人事戦略の根拠となるデータを取る」「退職兆候の発見と防止」「簡易ストレスチェック」「オンボーディングの支援」だ。パルスサーベイは、従業員の変化をいち早く察知できる半面、回答に様々な思惑が影響しやすいため、その評価は慎重に行う必要がある。「こんな回答をしたら評価が下がるかもしれないと考え、本音と違う回答をする人がいるのです」(伊藤氏)。そうした回答を真に受けてしまうと、エンゲージメントが高いと思っていた従業員に突然退職されてしまうようなリスクが高まる。

「非接触バイタルセンシング」の併用でクオリティを向上

 そこで、同社はパルスサーベイとバイタル検査を併用する新たな方式を提案している。回答している人の脈拍数や呼吸数を測定し、本音による回答なのか、本音と異なる回答をしているのかを見極めることができる。「ポジティブな回答をした人の中から、本音で答えていない人を発見します」(伊藤氏)。

 バイタル検査には「非接触バイタルセンシング」を用いる。スマートフォンやPCのカメラの映像から脈拍数や呼吸数、自律神経の状態などを自動的に測定する方法だ。測定は45~60秒ほどで完了するため、回答者の負担は少ない。

非接触バイタルセンシング

非接触バイタルセンシング

非接触バイタルセンシング。PCやスマートフォンのカメラ映像から脈拍数や呼吸数、自律神経の状態などを測定

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 回答者の顔の映像を「色素成分分離」し、ヘモグロビン色素のデータを抽出する。そこから脈拍数、心拍変動、交感神経と副交感神経のバランス、血行状態などを測定する仕組みだ。スマートフォンのカメラで撮影するだけでこれだけのデータが取れることから、「バイタル計測革命」とも言われている。

 同社では「陰影除去」の独自技術により、蛍光灯や自然光といった光源によるノイズを軽減。脈拍数の測定精度を5~10%向上した。医療機関で使用されている本格的な心電計や血中の酸素飽和度を測るパルスオキシメーターと比較しても、99%の精度を実現している。

 本人の回答結果とバイタル測定の結果を統合し、その回答が本音によるものかどうかを判定する。

バイタル情報を活用した従業員サーベイ

バイタル情報を活用した従業員サーベイ

回答結果を非接触バイタルセンシングと組み合わせて分析し、回答者の「本音」を見抜く

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 パルスサーベイと非接触バイタルセンシングの併用がもたらす利点は、主に3つある。1つ目は、前述したように、パルスサーベイだけでは発見できない、潜在的な不満を持つ従業員を見つけられることだ。ケアが必要な従業員を発見し、人材の流出を未然に防ぐ。

 2つ目は、従業員エンゲージメントが高い人の意見を抽出できることだ。従業員エンゲージメントが高い人は、会社に対する関心が高く、職場環境や組織を改善しようという意欲がある。そうした人たちの意見に耳を傾けることで、新たな経営課題を発見したり、人事施策の改善に生かせるケースは多い。

 3つ目は、非接触バイタルセンシングのデータを活用して、パルスサーベイの質問項目を向上できることだ。本音で答えにくい質問を排除し、より効果の高い質問に洗練させていくことで、サーベイの実効性をさらに高めることができる。

派遣社員の定着率向上から、契約社員や社員へ展開

 「まずは、派遣社員の満足度向上と離職防止に役立てたいというニーズが多いです」(伊藤氏)。派遣社員の離職に悩む企業は少なくない。入ったばかりの派遣社員を対象に、短いスパンでパルスサーベイと非接触バイタルセンシングを実施する。その結果と過去のデータを組み合わせて分析し、離職傾向が高まっている人をいち早く発見して、フォローする。このサイクルによって人材の定着率を高めていく。

 「人材が定着しないと技術が向上しません。また、採用コストの負担も続きます。DX健康経営ソリューションは、多くの企業にとって有益な施策になっていくでしょう」(伊藤氏)

 同社のサービスを出入りの激しい派遣社員から導入し、契約社員や正社員へと徐々に拡大していく企業が多いという。顧客企業と一緒にサーベイの仕組みを開発し、改善を繰り返しながら品質の向上に努めているアウトソーシングテクノロジーの今後について、「企業ごとの実情に合わせて最適なバイタルデータの活用法を提案していきたい」と述べ、伊藤氏は講演を終えた。

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