日経クロステック Special

ServiceNow Summit Japan Special Review

vol.2
ServiceNowで顧客や従業員の
エクスペリエンスを向上させた国内事例
ServiceNowが2022年4月14日から開催しているオンラインイベント「ServiceNow Summit Japan」では、同社のプラットフォームを活用して顧客や従業員のエクスペリエンスを向上させた国内企業3社の成功事例も披露された。業務プロセスのデジタル化と自動化は、各社にどのような価値をもたらしたのか。講演内容をダイジェストで紹介する。

 日本の時間当たり労働生産性はOECD加盟38カ国中23位、1人当たり労働生産性は28位と、先進諸国の中でも低いレベルにある。業務やデータが部門ごとにサイロ化され、業務プロセスが効率よく回らないことに加え、業務の自動化の遅れ、レガシーなシステムやツールによる非効率な作業などが、生産性を下げている大きな原因だ。

 これらの課題を一気に解決し、生産性を飛躍的に向上するプラットフォームとして注目されているのがServiceNowである。実際に同社のプラットフォームを導入した国内企業は、どのような効果を得ることができたのか。

申請業務のリードタイムを短縮
従業員エクスペリエンスを高める

清水 氏
アサヒグループジャパン株式会社
デジタルトランスフォーメーション統括部
マネージャー
清水 博

 「ServiceNow Summit」で1つ目の成功事例として紹介されたのは、アサヒグループジャパンによる従業員エクスペリエンス向上の取り組みである。

 アサヒグループジャパンは、アサヒグループが国内で展開する酒類、飲料、食品などの事業会社を統括する日本のヘッドクォーターである。その国内グループ全体のDXを担う同社デジタルトランスフォーメーション統括部 マネージャーの清水 博氏は、「アサヒはお客様に高品質の酒類や飲料、食品を提供していますが、従業員に対しても質の高い体験を提供できているのかという問いかけから、従業員エクスペリエンス向上のためにServiceNowを活用することにしました」と語った。

 同社は、ITサービスや人事、総務などの社内申請に関する従業員の煩わしさを解消するため、ServiceNowのIT Service Managementを導入。「この申請はどの部署に行えばいいのかということを誰かに聞かなくても、必要な情報に1人でたどり着けて、申請から完了までのプロセスも自動で回る仕組みを構築しました」と清水氏は説明する。

 例えば、従業員が社内のストレージに新たなフォルダを作成する際には、セキュリティポリシーやドキュメント保管ルールに抵触しないかどうかを各部署に照会するため、申請から完了まで1週間近くかかっていたが、IT Service Managementでワークフローを完全自動化した結果、リードタイムが1時間足らずに短縮された。

 清水氏は、「ServiceNowなら、あらゆる業務プロセスのデジタル化と自動化を実現できるので、今後適用範囲をさらに広げていきたい」と語った。

ServiceNow Japan Summit 2022

顧客体験向上のためのツールを
取引先との業務プロセス改善にも利用

佐藤 氏
株式会社アクティオホールディングス
ITグループ ITサービス サービスデリバリー
営業支援システムチーム
チームリーダー
佐藤 博之

 ServiceNowで、取引先との業務プロセスまでデジタル化しようとしているのが、建機レンタル大手のアクティオホールディングスである。

 同社は、顧客から注文を受けて建機を納品するまでの業務フローをデジタル化するため、ServiceNowのCustomer Service Managementというソリューションを導入。「従来は、お客様が紙のカタログを見ながら電話で注文するというアナログな方法だったので、注文内容の聞き間違いや重複、納品担当への伝達ミスなどが少なからず発生していました。Customer Service Managementによって建機のウェブ検索やオンライン注文が実現し、注文内容もデジタルデータで共有されるようになって、課題が一気に解決しました」と、同社 ITグループ サービスデリバリー 営業支援システムチームリーダーの佐藤博之氏は導入効果について語った。

 さらに同社は、注文を受けた建機を顧客の元に運ぶ配送業者の手配にもCustomer Service Managementを利用しようとしている。顧客とのやり取りと同じく、配送業者への依頼や納品後の検収も電話やFAXで行っていたため、手配の行き違いなどが起こっていたからだ。佐藤氏は、「小さく始めてServiceNowを活用する可能性に気づき、やりたいことが広がっていきました。バリューチェーンを見渡したときに関係各所との連携でデジタル化が難しいと感じた場合はServiceNowを検討いただければと思います」と語る。

 Customer Service Managementは顧客体験を高めるためだけのツールだと思われがちだが、その適用範囲を取引先にまで広げようとしている点で画期的な事例だと言える。

ServiceNow Japan Summit 2022

グローバルで一体化した
ITサービス管理のためにServiceNowを採用

松本 氏
株式会社荏原製作所
情報通信統括部
インフォメーションサービス部
部長
松本 峰左子

 ポンプをはじめ、送風機やコンプレッサ、タービン、都市ごみ焼却プラント、半導体製造装置などの世界的なメーカである荏原製作所は、2030年までの長期ビジョン「E-Vision2030」で、製造・技術・情報に関する経営資源の最適配置をリソース戦略の一つに掲げている。その実現のためには、国内および海外でサイロ化されたITサービス運用を改善することが喫緊の課題であった。

 「部門ごとに立ち上げるシステムの数が膨大となり、保守運用人員の増加やコスト増を招いていました。そこで19年に国産のITSM(ITサービスマネジメント)ツールを導入し、保守業務のアウトソース化を進めるなど、ITサービス業務の効率化とともにサービス品質の向上を図ってきました」と語るのは、同社 情報通信統括部 インフォメーションサービス部長の松本峰左子氏である。

 同社は「E-Vision2030」でグローバル一体経営の実現を目指している。それに沿ってITサービス運営もグローバルで一体化するため、業務プロセスやルール標準化のための基盤としてServiceNowのIT Service Managementを導入した。

 松本氏はServiceNowを選定した理由について、「ITILというITサービス管理の世界標準に立脚したツールであること、標準化されたプロセスを忠実に実行でき、拠点ごとのカスタマイズや変更が統制できることに加え、クラウドで利用するITサービスマネジメント製品のデファクトスタンダードであることを評価しました」と語る。

 グローバルで一体化したITサービス管理はまだ道半ばだが、松本氏は「DX人財の育成や、荏原グループ全従業員の情報リテラシー向上などにも取り組みつつ、最後までやり抜きたい」と意思表明している。

 ここで紹介した3社は、「ServiceNow Summit Japan」の特設サイトから登録することで22年5月まで視聴できる。事例の内容をより詳しく知りたければ、ぜひ視聴をお勧めしたい。

ServiceNow Japan Summit 2022
ServiceNow Summit Japan Special Review vol.1