教育とICT OnlineSpecial

【ICT活用事例】 東京学芸大学附属竹早小学校

ソニーの4K大型提示装置2台を活用して
1人1台端末時代の新しい学びを追究

1人1台端末環境のもと、個別最適化の学びと協働的な学びの一体的な充実を目指して、東京学芸大学附属竹早小学校でソニーの4K大型提示装置2台を活用した授業の実証実験が始まった。なぜ、大型提示装置2台が必要なのか。それにより、どのような教育効果が表れているのか──。同校の取り組みをレポートするとともに、1人1台端末時代における4K大型提示装置の重要性や活用法を紹介。さらには、同機器が切り開く新しい学びの可能性を探る。

「小さなモニター1台でいいのか?」
疑問の声に応じて実証実験を開始

大型提示装置と電子黒板を活用し、クラス全員の意見を共有する(1年・国語) 大型提示装置と電子黒板を活用し、クラス全員の意見を共有する(1年・国語)

電子黒板に映し出された例文のポイントに赤線を入れる児童(1年・国語) 電子黒板に映し出された例文のポイントに赤線を入れる児童(1年・国語)

 「GIGAスクール構想」が進み、教育現場で1人1台端末が整備された今、新しい時代にふさわしい教室や授業の在り方が求められている。2021年8月には文部科学省も「学校施設の在り方に関する中間報告」を公表。子どもたちの可能性を引き出す新たな学習環境への指針を示している。

 こうした動きのなか、教員、企業と教育委員会がワンチームとなって、Society5.0に向けた新しい学校システム創りに挑戦する「未来の学校みんなで創ろう。プロジェクト」が始動した。

 同プロジェクトでは、参画企業のリソースを活用しながら、教育現場の課題解決に向けて企画したアイデアを協力校の授業で実現していく。「明日からできる学び」として、公立校への展開も見据えている。

 プロジェクトを推進する東京学芸大学教育インキュベーションセンターの金子嘉宏教授は、「1人1台端末の活用とともに、学びの環境への課題も出てきました。例えば、多くの学校の教室には小さいモニターが1台しか設置されていません。後方に座る子どもにとっては、画面に表示された情報が見えづらく、現場の教員からも改善の声が挙がっていました」と話す。

2021年10月1日、包括連携協定を締結した四国大学・四国大学短期大学部の松重和美学長(右)とマウスコンピューターの小松永門(ひさと)社長 東京学芸大学
教育インキュベーションセンター
金子 嘉宏 教授

 そこで今回、東京学芸大学附属竹早小学校の教員と参画企業の一社であるソニーマーケティングがチームを組み、65V型と75V型の4K大型提示装置2台を活用した実証実験を行うことになった。2台使いの狙いは、65V型大型提示装置と、 75V型にタッチパネルを装着した電子黒板をそれぞれ「子どもたちの発表」用と「教材提示」用のモニターとして使い分けることで、情報の視認性・共有性を向上する点にある。また、教員の働き方改革に関する効果も期待されている。

大型提示装置の特性に着目し
各教員がそれぞれの方法で活用

1台には授業のテーマを、もう1台にはチームの考えを表示。大きく視認性の良い画面が授業への集中度を高める(6年・社会) 1台には授業のテーマを、もう1台にはチームの考えを表示。大きく視認性の良い画面が授業への集中度を高める(6年・社会)

タッチパネル装着の大型提示装置を活用する(6年・社会) タッチパネル装着の大型提示装置を活用する(6年・社会)

 実際に、2台の4K大型提示装置をどのように活用しているのだろうか。

 まずは5年生の社会「自動車工業」の授業を見てみよう。児童は1人1台PCを活用しながら、65V型大型提示装置に表示された「日本における自動車の保有台数の推移表」をもとに、その理由や今後の予想について考える。各班で意見を出し合うと、今度はそれぞれの考えを記した付箋付きの資料を75V型大型提示装置に表示し、発表していく。

 授業を受け持つ上野敬弘教諭は、「これまで活用していたプロジェクターに比べ、明るさや精細さが格段に上がりました。子どもたちからも『後ろからでも、まるで近くにいるように見える』『臨場感がある』といった声が上がっています」と、その効果を話す。

 6年生の社会「江戸時代」の授業では、日本の戦国時代にどの大名が天下を取る可能性が高かったのかをテーマに考える。75V型大型提示装置に当時の勢力図を色分けしたマップを提示し、65V型大型提示装置には、調べ学習を経て子どもたちがまとめた戦国大名の経歴や特徴について作成した資料を表示し、発表する。

鮮明な4K画面の前でチームの考えを発表する児童(5年・社会) 鮮明な4K画面の前でチームの考えを発表する児童(5年・社会)

端末を使い、自分の意見を付箋に記入する(5年・社会) 端末を使い、自分の意見を付箋に記入する(5年・社会)

 授業を担当する佐藤正範教諭は、「ソニーの4K大型提示装置は色の違いを明確に出せるため、日本の地図や歴史の動画資料を隅々まで映せます。また、プロジェクターでは難しかった小さい文字までクリアに表示できるので、文字サイズを気にせずに豊富な情報を表示できます」と、その有用性を語る。

 一方、1年生の国語の授業では、子どもたちが学校にあるものを探して紹介文を作成していく。75V型大型提示装置にこれから作成すべき文章の例文を提示し、65V型大型提示装置には、作文の前段階となる付箋に記された、対象となるものの「特徴」を提示していた。

 子どもたちは、すでに前の授業で校内の生き物や遊具を探して写真を撮影し、付箋にその特徴を書き出していた。この日は文章作成に入る前に、大型提示装置に映された例文で付箋の特徴と文章のどこが対になっていて、どのように文章が構成されているのかを確認していく。

 授業を行った幸阪創平教諭は、「大型提示装置に全員の考え方や作品を表示し、共有できるので、子どもたちは多角的な視点を養うことができます。また教員側としても、これまでのように例文をプリントして配布するなどといった煩雑な作業が減り、授業の準備をスムーズに進められました」と話す。

誰でも使えるテクノロジーにより
学校全体でICT化を推進

上野 敬弘 東京学芸大学附属竹早小学校
上野 敬弘 教諭

佐藤 正範 教諭 東京学芸大学附属竹早小学校
佐藤 正範 教諭

幸阪 創平 教諭 東京学芸大学附属竹早小学校
幸阪 創平 教諭

 今回の実証実験を行った3名の教諭は口を揃え、「大きく高精細なモニターの前で自分たちの意見を発表する子どもたちは、とても生き生きとしていました」と話す。4K大型提示装置によって、自らの意見が教室の隅々まで届くことで、発表する子どもたちも自然と力が入っていたという。

 情報の視認性や共有性のアップにより、理解力や授業への集中度・参加意識の向上といった効果が見られた今回の実証実験について、金子教授は「今後は、黒板だけでなく、大型のプロジェクターとホワイトボード、大型提示装置の2台使いなどが普及し、先生方、授業内容に合わせて選択していくことになるのではないでしょうか」と話す。そして、「プロジェクトでは、コストをかけて最先端の教室を作るのではなく、あくまでも公立校にも実装可能な教室を作ることを念頭に置いています。これからの教育は、今回の実証実験のように、誰もが扱えるテクノロジーを各先生が自由に活かしていくことが大切になります」と締め括った。

みんなで情報を共有
授業への集中力も高まる

佐藤 洋平 副校長 東京学芸大学附属竹早小学校
佐藤 洋平 副校長

 4K大型提示装置2台を活用したプロジェクトが始まったことで、本校では1人1台端末を活用したICT化が進んでいます。実際の授業では、児童それぞれが手元の端末だけではなく、大きく鮮明な4K大型提示装置に集中することで、クラス全員で「情報を共有している」という意識が生まれているようでした。
 今後は、体育の授業で自分や先生の身体の動きなどを撮影し、確認する場合などにも4K大型提示装置の効果が期待できます。これまでは、そうした動作確認を各自の端末で行ってきましたが、大型提示装置の活用により全員で情報を共有できれば、一体感が生まれ、学習意欲も向上するでしょう。新たな学習による子どもたちの成長が楽しみです。

ソニーマーケティング株式会社

https://www.sony.jp/bravia-biz/academy/

「法人のお客様向け購入相談デスク」
0120-448-863 受付時間 10:00〜18:00(土・日・祝日を除く)
●携帯電話・PHS/一部のIP電話などでご利用になれない場合がございます。