日経XTECH
グリーン成長に向けた製造業のカーボンニュートラル戦略

脱炭素化とDXの実現に向けた「Powerico(パワリコ)」の取り組み  脱炭素化とDXの実現に向けた「Powerico(パワリコ)」の取り組み

DXと脱炭素。表裏一体とも取れる両者の目標を実現する鍵となるのがデータセンターだ。STNetが香川県高松市に構えるデータセンター「Powerico」は、脱炭素型データセンターを目指し、再エネの活用※1で企業のグリーン経営を促進している。今回、STNet取締役社長の小林氏が協業関係にあるNTTコミュニケーションズの代表取締役副社長 菅原氏を招き、両者が取り組むグリーン成長戦略について意見を交わした。

再エネの地産地消により
脱炭素と地方創生を両立

──脱炭素実現に向けた政策や投資が加速しています。これからの企業戦略はどうあるべきでしょうか。

今後、企業の存続はグリーン戦略なくしては成し遂げられない状況です。脱炭素に挑戦しつつ企業成長を図ることは、SDGsやESGの観点からも重要な社会的責務。その実現には抜本的な事業変革が急務であり、また同時にビジネスチャンスでもあると考えています。

小林 功氏

脱炭素への取り組みは、資金調達にも影響するほど重要で真正面から向き合うべき課題。今後企業は環境課題の解決を担う役割を求められ、かつてのようなCSR(企業の社会的責任)ではなく、CSV(共通価値の創造)の領域で考えていく必要があるでしょう。

──脱炭素に向けて進む一方、国際情勢の影響もあり、エネルギー調達においては懸念が増しています。

そうした観点からも今後重要な役割を果たすのが自然エネルギーです。太陽光や水力、地熱、バイオマスといった再生可能エネルギーは国内で生産することができます。地球環境に配慮した再エネの利活用は、エネルギー安全保障や自給率の向上に寄与いたします。ただ、安定した利活用を可能とする蓄電池技術も同時に求められているところです。

STNetの所在地である高松市は、積極的に再エネ推進に取り組まれているイメージがありますね。国が提唱するデジタル田園都市国家構想においては、データセンターの分散化が掲げられています。地域のデータセンターに地産地消エネルギーを活用することは、レジリエンスの面でも地方創生の観点からも有効な施策。当社もこれを見据え、国内データセンターをどのように配置し、どう活用していくかを検討しています。

菅原 英宗氏

──NTTコミュニケーションズは、データセンター「Nexcenter」を高松市にも展開しています。その拠点となるSTNetの「Powerico」についてご紹介ください。

「Powerico」は、2013年運用開始のN棟(1000ラック)と19年開始のS棟(1000ラック)の2棟で構成された西日本最大級※2のデータセンターです。「安全性」と「効率性」にこだわり、自然災害リスクの低い立地と堅牢な建物構造を誇り、業界が定める安全基準にも最高レベルで対応。中央省庁、金融、保険など高いセキュリティとファシリティを求めるお客様を中心にご利用いただいています。

──データセンターにおけるグリーン戦略にはどのようなものがありますか。

当社は22年4月より、国内5つのデータセンターにおいて、お客様が再エネ電力を選択できるサービスを開始しました。選択可能なメニューは、非化石証書を活用した実質再エネの他、専用の発電所から再エネを提供するオフサイトPPAにも対応。お客様の利用状況を記載した証書を個別に提示可能とし、RE100、CDP、SBTなどに対応した報告値としてご活用いただくことができます。

データセンターの省電力化、脱炭素化は国の重要施策でもあります。当社も脱炭素化に貢献すべく「Powerico」では22年4月から非化石証書を活用した再生可能エネルギーの利用を開始しました。導入したのは空調や照明などの共用部で、「Powerico」の消費電力の約4割に当たります。これにより、お客様の脱炭素化の取り組みに貢献するだけでなく、当社の経営理念である「快適な暮らしと豊かな社会の実現」を目指してまいります。

「Powerico」の総使用電力の約40%を占める共用部の電力に、再生可能エネルギー由来の電力を充当することで、年間約4400tのCO₂排出を削減。これは一般家庭が排出するCO₂の約1500世帯分に相当※3するという。