HCM・働き方イノベーションForum 2021 Winter Online Seminar Review

デジタル化新時代の新しい働き方が企業を変革する

新時代の人財マネジメント、AI活用、HRテック、テレワーク、デジタル化を考える

  • 日清食品ホールディングス

    『生産性200%』を目指す日清食品グループの働き方改革

テレワークを活用し「生産性200%」を目指す

日清食品ホールディングス 情報企画部 次長 兼 サイバーセキュリティ戦略室 室長 中野 啓太 氏

日清食品ホールディングス

情報企画部 次長
兼 サイバーセキュリティ戦略室 室長

中野 啓太

2013年に日清食品ホールディングスに中途入社した中野氏は、当時の情報システム部門の就労環境について次のように語る。「朝8時から夜8時までシステム系の問い合わせがあり、自分の仕事ができるのはそれ以降。会議はアジェンダや議事録もなく、日程調整も電話で空いてる時間を伝えて調整しているような状況で、衝撃を受けました」と振り返った。当時の調査では、食品業界23社の中でも、日清食品グループは平均月間残業時間でワースト2位、有休取得率は最下位であったことから、業務基盤刷新の必要性を感じたという。

そこで中野氏は、日清食品グループ全体の生産性向上を目指した「Future Office Project」を立ち上げた。まず、Office 365(当時の名称)の導入によって3つに分かれていたメールシステムを統一し、Outlookの予定表で会議スケジュールを調整して共有するといったプロセスを、まずは情報企画部や関係していたプロジェクトの中で徹底し、徐々にグループ全体に展開していった。

「情報企画部においては、サービスデスクを導入して問い合わせをメール主体に切り替えることで業務を効率化し、対応に要していた時間を年間で6000時間以上も削減することができました」

さらに、情報企画部では2017年から在宅勤務やテレワークをトライアル導入。そこから、人事部が主導して日清食品グループ全体へと展開していった。こうした取り組みによって、「子育てをしている女性社員の育児休暇からの復職率を、ほぼ100%にすることができました」と、中野氏は成果を紹介した。また、2015年10月には48人いたスタッフを現在は約40人に集約し、そのうえで業務効率化によって有休休暇の取得増と残業時間の削減も実現している。さらに、専門的なスキルが必要な業務については副業での採用も受け入れ始めたという。

日清食品グループではDXを加速し、2023年までにルーチンワークを半分に減らすことなどによって「生産性200%」の実現を目指している。実際、ITの活用やDXへの取り組みなどの効果によって働き方は大きく改善され、2014年との比較では月間の平均所定外労働時間は30時間から20時間に、有休消化率は30%から96.6%にまで改善されている。

「Future Office Projectの取り組みとしては一区切りをつけましたので、ゼロトラストのチームで新たにテレワークを活用したDigital Workplaceのプロジェクトを開始し、生産性向上を目指すニューノーマルな働き方に積極的に取り組みながら、『NISSIN GARAGE』のような新しいオフィスのあり方も追求していきます」

最後に中野氏は、「2021年度における情報企画部のミッションは、デジタルを最大活用してステークホルダーのHappyを創造することです」と述べ、日清食品グループの働き方改革に対する取り組みを印象づけた。

  • 経済産業省

    なぜ「健康経営」「働き方改革」を推進するのか
    エンゲージメント向上、企業と個人の成長推進に投資をする健康経営とこれからの健康づくり

企業の持続的成長を支える健康経営

経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 総括補佐 藤岡 雅美 氏

経済産業省

商務・サービスグループ
ヘルスケア産業課 総括補佐

藤岡 雅美

「働き方改革の第一章は長時間労働の是正で、第二章では生産性向上とエンゲージメントの強化です」と説明する経済産業省の藤岡氏は、生産性を高めるためには社員がいきいきと働くことのできる環境の整備が重要だと説く。そのために必要となるのが健康経営だ。長期的なビジョンに基づいて、企業の成長のために従業員への健康投資を行う必要が出てくる。経済産業省では、「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」などの健康経営に係る顕彰制度を実施している。

従業員の健康を守るためには、単に健診を勧めるのではなく、健康を保持・増進する行動を誘発するような“健康経営オフィス”を作ることが重要だという。実は、血圧や血糖値などの身体的リスクと生産性との相関は薄く、逆に睡眠などの生活習慣リスクやストレスなどの心理的リスクは生産性との相関が高いと言われているからだ。

「健康経営施策は今後、評価結果などの積極的な情報開示が促進され、健康経営が業務パフォーマンスにどのような効果があったかを評価・分析することが増えていきます。今後は自社だけでなく、サプライチェーンや社会全体の健康経営を考慮する必要があります」(藤岡氏)。

これからの健康づくりには、「健康は本人の責任ではない」「社会的・環境的要因への着目」「健康はabilityである」3つの視点が必要になる。また、「将来の健康のために何かをする」ことを目的とするのではなく、「営業成績を上げたい」「かっこよくなりたい」のように、健康を別の価値に置き換えて意識させる環境を作ることも重要だという。

選択肢をうまく設計・配置することによって、人の背中を押すように、人々に適切な選択をさせるナッジ理論には、Make it Easy(簡単にする)、Make it Attractive(魅力的にする)、Make it Social (社会化)、Make it Timely(タイムリーに)の4つのポイントがあり、これらのフレームワークを活用して行動変容させることも重要だ。

経済産業省では、国民の健康増進とヘルスケア産業の発展のためにさまざまな施策を行っているが、健診やレセプト、電子カルテなどの情報をマイナポータルで個人や医療機関、ライフログデータを扱う民間事業者が活用できるようにPHR(Personal Health Record)を整備してきている。

最後に藤岡氏は、「個人が所属する企業、企業を取り巻く社会全体のエコシステムの流れを考えながら、健康づくりや働き方改革を考えていくことが重要です」と強調し、講演を閉じた。

  • Sun Asterisk

    「深い集中を取り戻せ」の著者が語る「個人パフォーマンスを最大限出し切るための働き方」とSun Asteriskの新規事業支援の取り組み

人はなぜオフィスで集中できないのか

Sun Asterisk Business Development Section Manager 井上 一鷹 氏

Sun Asterisk

Business Development Section
Manager

井上 一鷹

 登壇したSun Asteriskの井上氏は、2012年から眼鏡の開発・販売を手掛けるJINSで、眼鏡型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」やソロワーキングスペース「Think Lab」の事業化を手掛け、2021年からSun Asteriskに転職した。井上氏は同社について、「誰もが価値創造に夢中になれる世界を本気で目指している会社です」と紹介する。

 井上氏はJINS MEMEおよびThink Labの開発にあたり、個人のパフォーマンスを最大限出し切るための働き方を研究。今回その成果を紹介した。

 最初にJINS社内で働く場所と集中力の相関関係の調査結果を紹介。オフィスでの集中の割合が、新幹線、喫茶店、図書館などに比べて最も低いことがわかった。その理由を井上氏は、「人は23分かけて深い集中に入ることが研究でわかっていますが、オフィスでは11分に1回話しかけられるか、メールかチャットを受け取ります。これでは深い集中に入れません」と説明する。それでは家なら集中できるかというと、家ではオンとオフの切り替えが難しい、働く環境が整っていないといった理由から、それも簡単ではない。

 では集中するにはどうすればいいか。そのポイントを井上氏は、4つの視点で説明した。まずは立ち上げ速度のUPだ。その方法として、TODOリストでこれから何をするかを宣言して着手する方法を勧める。アロマの活用も有効。香りの種類は何でもよく、特定の香りを決めておくことで気持ちを切り替えられる。これは仕事モードから抜けだす時にも有効で、別の香りを決めておくことでスムーズに離脱できる。

 2つめの視点が集中の深さUPだ。音楽と集中の関係は人によるため、あった方が集中できるのか、ない方が集中できるかを見極めておく必要がある。また、学習の場合問題の難易度が適切なほど集中でき、問題が簡単すぎても難しすぎても集中できないことがわかっている。自分で仕事の難易度を調整することは難しいが、マネージャーはこの点を考慮する必要がある。

 3つめは持続性のUPだ。集中力を持続するには姿勢が大切で、腰をしっかり立てて座れる椅子を選ぶ。また、温度やCO2濃度が高いと集中できなくなる。また、25分間作業をして5分間休憩するプロセスを3回繰り返し、4回目にまた25分間作業をして30分間の休憩をとるというプロセスを繰り返すポモドーロ・テクニックも有効だ。

 最後のポイントとして井上氏が語ったのは“抜け出す速度のUP”だ。これは前述の通り立ち上げ速度UPと原理的に同様である。また井上氏は、「個人が集中するために、オフィスではあまり話しかけないといった文化も必要です」と語る。

 さらに、井上氏自身が培ってきた集中力の矛先を向けていくのは、新規事業の爆発的な増加だと言う。

 DXと一口で言っても、コストダウンを目的としたデジタイゼーションと事業の革新をしてさらなる価値を作るためのデジタライゼーションがある、と井上氏は語る。そのデジタライゼーションを強力にサポートすべく、所属するSun Asterisk(https://sun-asterisk.com/)は、井上氏のようなビジネス人材とともに、テクノロジー人材、クリエイティブ人材を集めている。

 特に、人材不足が多く取りざたされるテクノロジー人材(IT)に関して、「東南アジアでIT教育に力を入れ、その卒業生を中心とする優秀な1,000人を超える人材とともに支援をすることで、日本全体の新規事業の数を爆発的に増やしたい」と語り、講演を終えた。

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