人工知能サミット 2021 〜AI活用は総論から各論へ、業種別に活用の勘所を探る〜 Review

「脱サイロ化」でコラボレーションを加速 製造現場のAIプロジェクトを変える

製造業において、大きな成果を生んだAIプロジェクトは残念ながらまだ少ない。大きな要因が、データアナリストやデータサイエンティスト、データエンジニアといった人材の取り組みが、縦割り組織の中で分断されていることにある。この状況のもと、「脱サイロ化」の重要性を訴えるのがDataikuだ。AIと機械学習のための統合プラットフォームが工程間のコラボレーションを支え、プロジェクトの成功を促すとともに、AI人材の育成を支援する。

AIの効果創出を阻む「サイロ化」の解消が急務に

Dataiku社 日本・韓国地域営業統括 ウィリアム・ホン氏
Dataiku社
日本・韓国地域営業統括
ウィリアム・ホン

製造現場においてAI活用の機運が高まっている。ただ一方で、その取り組みはなかなか進んでいない。この状況について、Dataikuのウィリアム・ホン氏は次のように語る。

「これまで450社以上のお客様と会話してきた経験から、AI活用の成功を妨げる課題には、大きく次の3つがあると感じています。1つ目は『共同作業が成り立たないサイロ化されたチーム』、2つ目は『データとAIに関するリスク管理の不足』、そして3つ目が『ツールやプロセスの複雑化』です」

そこでDataikuは、これらの課題を解決するソリューションとして、データ活用の川上から川下までをエンド・ツー・エンドでサポートするプラットフォーム「Dataiku」を提供している。これにより、先の課題を解決したAI活用が実践できるという。

例えば、「データ接続」「データ準備」「視覚化」「モデル作成」「デプロイ(本番展開)」「運用・監視」「ガバナンス」というAI活用のプロセス全体をカバーする機能を提供。プロジェクトを一貫して1つのプラットフォーム上で進行できる。「従来は、工程ごとに異なる専門家が、異なる言語やソフトウエアを使って作業するのが一般的でした。これがプロジェクト失速の要因となる『サイロ化』を生んでいましたが、Dataikuであればこれを回避できます」(ホン氏)。Dataikuは工程間のコミュニケーションをサポートする機能も有し、コラボレーションが加速する(図1)。

図1 工程間の柔軟なコラボレーションを支援するDataiku

図1 工程間の柔軟なコラボレーションを支援するDataiku

一連のプロセスを単一のプラットフォーム上で実行できるようにすることで、AI活用プロジェクトの成功を阻む「サイロ化」を解消。工程間のコラボレーションを促進する

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データやモデルの管理・ガバナンスも一元化できるため、リスク管理やガバナンスを強化できる。また、工程ごとにツールを用意する必要がなくなり、ツールや工程のシンプル化を図ることも可能だ。データサイエンティストやデータエンジニアなどの高度なスキルを持つ人にはもちろん、ビジネス部門や経営層など、スキルレベルが異なるあらゆる人に対しても、高度なGUIで直感的に分かりやすいインタフェースを提供する。

製造業のバリューチェーン全体にAIの価値を提供

Dataikuなら、製造業の複雑なバリューチェーン全体にAIを適用し、価値実現を図ることが可能だ(図2)。どのようなAI適用例があるのか、順に紹介しよう。

図2 製造業のバリューチェーン全体にAIの価値を提供

図2 製造業のバリューチェーン全体にAIの価値を提供

既に多くの事例もある。中には、R&Dプロセスの重複作業や不適合を排除し、生産設計時間を2分の1に短縮した企業や、製品ごとのテスト分析時間を40分の1に短縮した企業の例もある

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まず「R&D」の領域では、部品設計の最適化やテスト期間の短縮を実現することで、製品開発サイクル全体を高度化する。「あるお客様は、生産プロセス全体から取得したデータを継続的にフィードバックすることで、R&Dプロセスを改善。重複作業や不適合、コスト上昇といった問題を排除し、生産設計時間を従来の2分の1に短縮しました」とホン氏は述べる。

また別の企業では、テストに関する膨大なデータがサイロ化された異なるアプリケーションに分散していた。Dataikuを導入し、全データを1カ所に集約して分析することで、製品ごとのテスト分析時間を40分の1に短縮したという。

「製造・メンテナンス」の領域では、セルフサービス分析や予知保全といった取り組みを支援する。「Dataikuは機械学習をベースにしたセルフサービス分析基盤を提供しています。これを活用することで、約120時間かかっていたダッシュボード開発を15時間に短縮。同時に、ノーコード開発によって特定担当者に依存しない体制を実現したお客様がいます」とホン氏は言う。多様なデータソースを用い、それまで作成に30時間かかっていた製造関連の月次レポートも、わずか1時間程度で作成できるようになっているそうだ。

「流通・調達」の領域では、オンタイムデリバリーを実現するためのソリューションを提供。悪天候や交通渋滞などによって納品遅延が発生すれば、その後の工程に大きな影響を及ぼす。そこで、これを回避するため、リアルタイムに配信される気象情報、交通情報を含む地理的データ、商品の追跡情報などをDataikuに連携して予測分析を行うことで、最も効率のよい配送ルート情報をレコメンドしたり、随時遅延予測を行い、ビジネスに及ぼす影響を最小化できる。

さらに「営業」「カスタマーサポート」の領域では顧客の需要予測を実現する。季節ごとの要因やマーケティングキャンペーン、競合他社の活動なども変数として取り入れ、時系列予測が行える。「需要予測の結果は、売上予測や顧客満足度の向上、在庫管理や生産計画、人員編成計画、予算編成などに生かすことができるでしょう」とホン氏は話す。

人材育成の基盤となってセルフサービス分析を支援

加えて、脱サイロ化とAI活用の一層の推進に向けて不可欠なのが、特定の専門家/専門組織に依存しない「セルフサービス分析」を加速することである。その際に重要なのが、社内のAI人材をどう育てるかだという。

この点についても、Dataikuが、企業全体でデータ活用の専門家を育てるための教育ツールとして機能する。ユーザーやスキルレベルを限定しないプラットフォームと適切なユースケースがあることで、日々の業務におけるAI活用のハードルが下がる。様々な立場の社員がAI活用に携わる中で、組織全体のスキルレベルを自然に底上げできるだろう。また、実際のユースケースを取り入れた「Dataiku教育プログラム」も用意し、顧客のセルフサービス分析推進をサポートしている。

具体的には、次のようなプロセスで進める。初めに説明会を実施し、社内ポータルなどで教育プログラムを周知する。社員には、オンライン講座やハンズオンなどで知識や技術を習得してもらいつつ、随時、ユーザーコミュニティやイベント、スキルアップ交流会などにも参加してもらう。一連のプログラムを終えた人に資格・認定を付与し、新たなメンバーへの講師役になってもらう。先に習熟したシチズンデータサイエンティストが、次の参加者へのスキルトランスファーも行う形だ。

このようなプログラムを実施すれば、最短3カ月程度でセルフサービス分析が可能になる。また、「全社員をデータ専門家に変えたい」という思いで取り組みを進めた結果、もともとはデータに詳しくなかった社員も含め、約2000人のユーザーがDataikuを業務で活用するようになった企業もあるという。

「Dataikuなどのツールは“木”であり、ユーザーは“鳥”です。どんなに魅力的な木があっても、その木にユーザーが止まってくれなければ効果は小さなものにとどまるでしょう。その意味で、ツールを採用する前には、ぜひ実際に触って効果を実感していただきたい。当社ではトライアル環境も用意しています。検討に当たっては、ぜひこれらを活用してもらえればと思います」とホン氏は紹介する。

ユニークなプラットフォームを核としたソリューションによって、日本市場での存在感を増しているDataiku。製造業各社がAI活用を検討する上で、同社のソリューションは重要な選択肢の1つになるだろう。


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