ITインフラSummit 2022

オンプレミス・パブリッククラウドも含んだ
マルチクラウド、ハイブリッド運用高度化

フィックスポイント
代表取締役社長
三角 正樹

DXの進展に伴い新しい技術やシステムの利用が広がり、運用保守対象領域も拡大している。運用部門は深夜・休日を問わず、システムの安定稼働に奔走する。ただでさえ忙しいのに、DXの規模が拡大していけば今までの人海戦術はやがて臨界点を迎える。規模拡大に応じた新しいシステム運用、「運用のDX」はどうすればいいのか。システム運用の現場における課題の詳細とそのソリューションを探る。

デジタル化に伴いシステムの運用保守対象が増大

フィックスポイント
三角 正樹

システム運用に携わって20年、というフィックスポイントの三角正樹氏は、まず自己紹介の中で、自社製品「Kompira」開発に至った経緯を次のように語った。「数百社のシステム運用を行う中で、システム運用をヒューマンパワーで維持する体制に限界が来ていると痛感して、運用自動化プラットフォームの開発に着手しました」。5年間試行錯誤を繰り返して、現在のKompiraが完成したという。

そして三角氏が最初に投げかけた言葉は、「システム運用のDX・高度化進めていますか?」だ。DXはフロントエンドのユーザー部門主導で進められることが多い。顧客や顧客の業界視点で変革を進める必要があるためだ。ビジネスモデルを変え、求められるユーザー体験を提供していく。サービスはデジタルをフル活用し、顧客フィードバックを得ながら常に進化させていく。その中で、安定的なサービス提供に努めるシステム運用は重要な役割を担うが、その業務には“黄信号”が灯り始めている。DXが進むにつれ、運用保守対象は増える一方、となっているのだ。

既存システムだけでも手いっぱいなのに、新しくやるべきことを次々と迫られる。例えば、適材適所のシステム利用でOSやアプリケーションは複雑化し、コンテナの活用によるマイクロサービス化も進んでいる。多様なデータを取得するためIoTデバイスが増加し、そのデータを蓄積・分析するクラウドやAIの利用も広がりを見せる。業務現場では作業効率化のためのRPAロボットが数多く稼働し、通信環境は5Gへの対応が求められている。

ユーザー部門は技術進化や顧客ニーズの変化に機敏に対応したい。システムやサービスの追加・変更にタイムリーに対応することを求める。しかし、運用側からすれば、人海戦術による運用は限界に近づきつつあり、ユーザー部門の期待に応えることは難しい。「現在のシステム運用がユーザーニーズにマッチせず、両者の間にギャップが生じているのです」と三角氏は指摘する。

人は足りず仕事は増える“負のスパイラル”

なぜユーザー部門とシステム運用との間にギャップが生まれるのか。原因は、“後付けのシステム運用”にあるという。

従来のシステム導入の流れは、「システム要求」「要件定義」「基本・詳細設計」「開発・単体テスト」「総合テスト」「導入・総合試験」といったプロセスを経て本稼働に至る。システム運用部門に引き渡されるのはその後である。「インフラ、アプリケーションは開発都合で選択され、渡されるものを強制的に運用しなくてはならない。システムに対して、運用側の要望が取り入れられていないのです」(三角氏)。

さらに、非機能要件が後から発覚してリリースまでにもう時間がない、などという場合に、実装を先送りして運用でカバーすることも少なくない。「しわ寄せは運用部門に来る。すでにバラバラなシステムの個別運用で負荷がかかっているところへさらに個別運用が増え、運用の現場は “個別運用の塊”という状況がいたるところにあります」と三角氏は訴える。

以前はシステムごとに専任の運用チームが保守するやり方もあったが、システムのオープン化やダウンサイジングの流れの中で、運用チームの集約化が進んだ。一方で、デジタル化の進展によってシステムは拡大し新技術に対応した運用も求められ、1つのチームでこうした個別運用を行っていくのはもう限界に近づいている。

また、運用は様々な技術が問われるうえにミスが許されない。何もなくて当たり前、何かあれば怒られる。24時間・365日対応しなければならず夜勤もあれば休日出勤もある。ただでさえ人が足りないのに、過酷な現場に去る人はいるが新しい人材は定着しない。三角氏は、「慢性的な人材不足の中でやるべき仕事だけが増えていくという状況で、“負のスパイラル”に陥っている現場もあります」と語る。

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