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4D イメージングレーダーチップ イメージングレーダーの選定方法 ベストプラクティス とは

自動運転システムの高度化によって、センサー数は大幅な増加傾向にある。これによって複雑化が進みコスト面もかさむ中で、Vayyar Imaging(バヤー・イメージング)は従来テクノロジーに代わる、次世代型イメージングレーダーを提供する。同社の自動車セクターを統括するIan Podkamien氏に詳細を聞いた。
Ian Podkamien
Vayyar Imaging
VP and Head of Automotive

4Dイメージングレーダーチップ

 世界の自動車用センサー市場は重大な転機を迎えている。従来、世界の主要なOEMおよびティア1は、カメラ、LiDAR、ToFレーダー、超音波センサーなどのソリューションを活用してきた。「しかし近年、より信頼性や経済性に優れたテクノロジーへと軸足を移しつつあります。そのようなテクノロジーの一つが、インキャビン・センシングと先進運転支援システム(ADAS)の両方に対応する次世代型イメージングレーダーです」とPodkamien氏は話す。

 イメージングレーダーの選定基準となるのは、コスト効率、実用性、信頼性だ。これに加えて導入時に必要となる隠れたコスト、労力、リソースを十分に調査し、総合的に判断する必要がある。そこでVayyar Imagingが提供するのが、4Dイメージングレーダーチップ(RoC:Radar-on-Chip)だ。優れたコストパフォーマンスに加え、OEMやティア1側での開発業務も最小限で済ますことができるのが特長である。

 同社のレーダーチップは、AEC-Q100認定を取得済みでASIL-Bに準拠。デジタルやアナログを問わず、すべてのRFコンポーネント(DSPやMCUを含む)をチップ上に集約する。「他社では6~8のアンテナを使用した複数チップのアーキテクチャーを採用することが多いですが、当社のセンサーは最大48のアンテナを1個のチップに組み込んでいます。そのため消費電力を抑えながら非常に高い解像度が得られ、総合的な検知ソリューションが実現します。車内でも車外でも複数のターゲットをピンポイントの精度で追跡でき、自動車業界の厳しい安全要件を達成することができます」(Podkamien氏)。

 また、幅広い用途に活用できるよう設計されているため、「用途ごとに別々のセンサーを搭載する」のではなく、「1つのセンサーで複数の用途に対応する」ことで部品点数を減らすことができる。つまり車両に搭載するセンサーの数を大幅に減らすことでコストを削減しながら、安全性を維持することが可能だ。さらにチップのプラットフォーム構成を活用することで、車内や車外の安全性を高める先進ソリューションを独自に開発することもできる。

 「当社の高解像度レーダーテクノロジーは、自動車向けセーフティーセンサーの新基準となると確信しています。センサーを車内に1個、車外に2~4個搭載することで、車両のEuro NCAPの安全性ポイントにおける最大35%の要件を満たし、最高評価の5つ星を達成できるだけでなく、2025年までのロードマップに記載されている複数の規制の要件をクリアすることができるでしょう」とPodkamien氏は言う。

一貫したサポート体制

 ただし、車両に新しいテクノロジーを取り入れる上では、広い視野で導入方法を計画する必要がある。リスクを避けながら円滑に導入を進めるためには、合理的なアプローチを提供するプロバイダーが欠かせない。

 従来、イメージングレーダーを利用したソリューションの開発には多大な労力が必要だった。複数のベンダーが参画する場合、スケジュールの遅れによって数十億ドルの損害が発生するようなリスクの増大は避けられない。またソリューションの基盤となるハードウエアは、レーダーのIC、アンテナ設計、BOMの選定、PCBの設計、そして製造までをエンジニアが担う必要がある。

 一方、Vayyar Imagingでは必要なハードウエア・コンポーネントをすべて含む包括的ソリューションを提供。高性能のミリ波RFICと大型の多入力・多出力(MIMO)アンテナアレイに加え、厳しいテストを経たリファレンスデザインも用意されており、車内監視とADASの両方の用途に対応できる。

 またソフトウエアにおいては、最先端のアルゴリズムと豊富なデータセットが用意されており、市場投入までの時間を大幅に短縮可能だ。OEMやティア1は、3D/4D点群APIを利用して、このプラットフォームを基盤とするアプリケーションを短期間で開発できる。

 また部品調達においては、Vayyar Imagingのハードウエア/ソフトウエア・プラットフォームを導入することで、レーダーに詳しい専門的人材が不要になり、統合やテストの必要性もなくなるという。

 「当社は、レーダーRFICと低コストの開発用基板の他にも、様々なサービスを提供しています。“プロトタイプから大量生産まで”の完結したソリューションによって、複数のコンポーネントを使用した複雑なテクノロジーに内在するリスクを減らすことができます。また、レーダーアルゴリズムを熟知した技術者やサポート担当者など、経験豊かなプロフェッショナルの支援を受けながら、テクノロジーを確実に統合することができるのも強みです。レーダー開発にリソースを割く必要がなくなるため、イメージングを中心に開発を進めることができ、車内外の幅広い用途に対応する実用性の高いソリューションを実現できます」とPodkamien氏は話す。

社内外の幅広い用途に応える

 車内監視(インキャビン・センシング)の用途では、1つのチップのみで、3列すべてのシートを監視して8人分の乗車状況を検知できる車内監視ソリューションを実現。1つのRFICによって、乗員の位置、大人か子供かを判別できるため、安全対策デバイスが複数あることによる誤検知問題の回避が可能となる。さらに幼児置き去り検知(CPD)、シートベルト着け忘れ防止(SBR)、エアバッグ展開の最適化、侵入検知アラートなどの幅広い安全機能もサポートする。

独自のインキャビン・センシング機能

 車外については、同社の統合ハードウエア/ソフトウエア・プラットフォームによって、従来10個以上のセンサーが必要と言われていたADAS分野において、4つ以下でADASソリューションを構築。短距離レーダー(SRR)、中距離レーダー(MRR)、長距離レーダー(LRR)の各用途に対応する。

 また速度域においても幅広くドライバーを支援する。低速走行時には、例えば点群データを使用して駐車支援を行うことが可能。高速走行時には、死角検知(BSD)、自動緊急ブレーキ(AEB)、前方/後方衝突警報(FCW/RCW)、前進時/後退時の側方衝突警報(FCTA/RCTA)、車間距離制御装置(ACC)、大きな障害物などの警報を行うことができる。

安全性を支える各種機能

実用性に優れたテクノロジー

 イノベーションの急速な進行によって、年々安全性要件は改訂されている。こうした自動車業界の変化に合わせて、同社では無線ネットワーク経由(OTA)によるソフトウエア・アップデートを実施することで、既に公道を走る車両にも最先端のアップデートを適用。車両のライフタイムが終わるまで多機能性を維持する。

 最後にPodkamien氏は以下のように述べる。「当社の多用途ソリューションでは、パッシブ型およびアクティブ型の様々な安全機能を組み合わせることで、あらゆる面で安定したパフォーマンスが得られます。数百万件のテストサンプルを使用して徹底的に評価されており、業界最高レベルの信頼性を実現しています。大量生産に対応し、ソフトウエア・アーキテクチャーを変えずに2帯域(60/79GHz)で運用できるシステムです」。

 リスクを軽減し、車両に必要なセンサーの数を大幅に減らす完結型のプラットフォームを提供するVayyar Imaging。長期にわたってコストを下げ、複雑さを解消するソリューションとして期待したい。

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