遠藤 フードロス削減というテーマにも向き合っています。AI画像判定サービス「MMEye」を紹介しましょう。食品製造業にとって品質は大きなテーマです。どちらの企業も検査工程に力を注いでいらっしゃいますが、長時間の集中が必要な目視検査は、現場の大きな負担。MMEyeは目視検査を自動化して現場の負荷を軽減するとともに、AIの分析結果を前工程にフィードバックすることで原因特定を支援し、不良の発生そのものの低減に寄与いたします。効率化はもちろん、品質向上にもつながるソリューションとして、食品メーカーなどのお客様から高く評価されています。また、近ごろでは次第に「(判定後の)除去も自動化できないか」という声を多くいただくようになりました。MMEyeを導入した工場でも、除去作業は人手で行っていたからです。
桔梗原 検査だけでなく、取り除く作業も自動化したいということですね。
遠藤 食品製造業では対象物は大小、硬軟があるので、取り除くための機構設計は非常に難しい。いわば自動化の壁です。私たちは設立以来、製造業で培ってきた制御技術を保有していますので、機構との連携も得意です。また食品生産ラインのほかの工程にもこのAI画像判定技術を活用できないか、というお声もいただくようになりました。そこで、様々な検査の検証をお客様ご自身で行いやすいよう、AI画像判定機能と撮像環境をセットにした機材パッケージをご用意しました。「MMEye Package LAB.」です。畜産DXや交通DXにもいえることですが、私たちはコスト削減や狭い範囲の業務効率化にとどまらず、産業や業態そのものの持続性を高め発展を支援したいと考えています。あるいは、働く人たちや地域の住民の役に立ちたい。そんな気持ちで、DXソリューションの開発に取り組んでいます。
桔梗原 冒頭、DXはビジネスに質的な変化をもたらすという話がありました。質的な変化を実現するには、それなりの時間もかかると思います。より短期間で、効果的な効果を実現するためにはどのような工夫が必要でしょうか。
遠藤 「仕組みを入れて終わり」という姿勢では、DXの成果を得るのは難しいでしょう。そこで、私たちはDX効果を生み出すための伴走支援サービスとしてITカスタマサービスセンター「Smart Service AQUA」(以下、AQUA)を提供しています。最初にサービス対象として選んだのはSAPです。グローバルで展開している企業グループでは、ある国ではSAPを使いこなしているのに、別の国ではあまり使われていないといったことがよくあります。そこで、当社がアセスメントを行い、活用マニュアル作り、トレーニングなどをサポートし、さらにアフターコンサルティングを実施してユーザーのステップアップを支援する。こうしたサイクルを回すことで、導入効果を高めることができます。最近は、AQUAのエンジニアがサポートする当社ソリューションも増えつつあります。
桔梗原 サブスクリプションサービスの場合は、ユーザーに継続して利用してもらうことが重要で、顧客に対する継続的なサポートは欠かせません。自前でサポート体制を構築することが難しい事業者にとっては助かりますね。
遠藤 すべて自前で対応するという時代ではありません。こうしたサポートサービスを活用することで、エンドユーザーの安心感や満足感を高めることができます。そうしたメリットを感じるお客様は増えており、AQUAを拡張する予定です。今後も様々な形で、DXを進めようとするお客様に寄り添っていきたいと考えています。