

~企業価値を持続的に高める組織と技術、渋沢栄一に学ぶ令和版「論語と算盤」~
ビジネスを取り巻く環境がかつてないほど激変する中、企業は多種多様なリスクを的確に予見し、高度な戦略立案や計画策定、実行、検証のPDCAサイクルを、これまで以上にハイスピードで回し続ける必要に迫られている。
だが、現実には、各事業部門から上がってくる予算をまとめ上げるのに精一杯となり、計画作りだけで多大な時間を要し、実績管理や検証まではとても手が回らないという企業が多いのではないだろうか。
そうした課題を先端テクノロジーで解決する「インテリジェント プランニング」クラウド基盤を提供するBoardが主催するオンラインセミナーとあって、視聴者数が500人を超えるほどの大盛況であった。
開会の挨拶を行ったBoard Japanゼネラルマネージャの篠原史信氏は、まず、Boardの生い立ちや事業内容について紹介。「スイスで創業したグローバルテック企業であり、19カ国、2000社以上のエンタープライズに製品を提供しています」と説明した。
同社が提供する「Board Intelligent Planning」は、企業の中期経営計画から、単年度の予算編成、事業部門ごとの予実管理や施策の実行までを、“垂直”(経営から現場まで)および“水平”(事業部門間)で統合できるソリューションだ。
「表計算ソフトのバケツリレーなどで行っている予算管理が飛躍的に効率化し、正確性も向上します。全社の予算を瞬時にまとめ上げ、可視化できるので、連結予算管理の迅速化や、ROICツリーの作成など、様々な切り口で活用できるのも特徴です」(篠原氏)

Board InternationalでCTOを務めるNelson Petracek氏が登壇した講演では、「Board Intelligent Planning」の最新バージョンである「Board 14」の新機能と、2025年以降の開発ロードマップについて解説した。
2024年春にリリースされた「Board 14」には、様々な新機能が追加されているが、Petracek氏は、そのうち①Web UIの刷新、②ダイナミックなエンジンの搭載、③新たな画面ツール機能である「Flex Grid」(フレックスグリッド)にフォーカスした。
「Web UIの刷新によって、旧バージョン以上に使いやすく、パフォーマンスやレスポンスの高い製品になりました。ダイナミックなエンジンを搭載したことで、より大量のデータを効率よく取り込めるようになり、『Flex Grid』によって、データの加工や視覚化も格段に容易になっています」(Petracek氏)
2025年以降については、「オープン、インテリジェント、コネクテッドの3つのテーマでアップグレードを図っていきたい」(Petracek氏)と開発ロードマップを提示。

具体的には、「よりオープンなソリューションとするため、多くのユーザー企業が利用するエクセルのアドイン機能を追加するほか、インテリジェントの一環として、機械学習やPythonモデル、生成AIなどのアナリティクス機能も追加していきます。さらに、ユーザー企業とそのパートナー企業がデータ共有しやすくなるように、コネクテッドの機能も充実させます」(Petracek氏)と語った。
Board Japan シニアセールスディレクターの沖野元司氏は、業種ごとの活用例を挙げながら、「Board Intelligent Planning」のデモンストレーションを行った。
沖野氏は、「企業の意思決定サイクルでは、PA(予測分析)、EPM(パフォーマンス管理)、BI(ビジネスインテリジェンス)の3つのツールを組み合わせることで、分析、計画、実行の高度化が実現します。『Board Intelligent Planning』は、この3つがワンパッケージとなっており、意思決定サイクルのすべてをカバーできる点も大きな特徴です」と説明した。
今回のオンラインセミナーには、「企業価値を持続的に高める組織と技術、渋沢栄一に学ぶ令和版『論語と算盤』」というテーマが掲げられている。
企業価値を高めるためには、財務的価値(算盤)だけでなく、道徳的価値(論語)も追求しなければならないという渋沢栄一の考え方は、今日のサステナビリティ経営にも通じる。

改めてその考え方について理解し、それを今日の経営にどう生かすかというヒントを探ってもらうため、一橋大学 経営管理研究科の西野和美教授が「DX時代の『論語と算盤』-インテリジェント経営を実現するための基盤とは」と題する基調講演を行った。
西野氏は、「渋沢が、『論語」と『算盤』という一見相反する概念を並べたのは、儲けの意欲だけでなく、仁義道徳が伴わなければ、正しい道理による経営や事業の実践が行われず、富の獲得には至らないという考え方によるものでした」と説明。
渋沢によると、仁義道徳を支えるものとして「常識」と「習慣」があるが、この2つに現代の要素を加味し、経営や事業の実践を行うことは、現代におけるサステナビリティ経営にもつながると提言した。
「今日の『常識』とは、例えば環境への配慮、SDGsなどであり、『習慣』とは、業務プロセスをデジタル化した上でデータをベースに意思決定を行うというワークスタイル、データドリブン型経営などがあるでしょう。企業のミッションを明確にし、これらを積極的に取り込んだ上で、正しい道理による経営や事業の実践を行うことが、富の獲得、さらに言えば長期的、継続的な企業価値の向上にも結びつくのです」と西野氏は語った。

また、今回のオンラインセミナーでは、米国管理会計士協会(IMA)の石橋善一郎氏が「グローバル企業におけるFP&Aプロセスのベストプラクティス」と題する特別講演を行った。
石橋氏がベストプラクティスとして紹介したのは、Board米国法人の営業責任者であるローレンス・セルベン氏が提唱する「効果的なFP&Aプロセスの12の原則」である。
12の原則は、経営管理プロセスに関するもの(原則1~ 5)、マネジメントコントロールシステムに関するもの(原則6~8)、FP&Aをさらに高い次元に進めるKPI設定に関するもの(原則9~12)の3つに大きく分かれる。
石橋氏は「日本企業の多くは、経営管理プロセスで計画をしっかり立てるけれど、計画通りに業務が遂行されるように統制する仕組みが不十分です。現場に当事者意識を持ってもらえるようなマネジメントコントロールシステムの確立や、事業の成功をもたらすドライバーを明確にし、そのドライバーに関するKPIをしっかりと設定することが重要です」と語った。
この他、今回のオンラインセミナーでは、Boardのユーザー企業による講演も行われている。
キッコーマンは、食品業界のリーディングカンパニーとして取り組んだ機動的経営管理の実践事例を紹介。西松建設は、「データドリブンにプラン・プロセスをマネジメントし、事業運営の効率化・高度化につなげていく」という業務DX方針の下、あらゆる事業活動の状態が可視化され、そのボトルネックが分かる経営管理システムを構想。それを実現するソリューションとしてBoardを選定した理由や、システム化にどのように取り組んでいるのかについて説明した。
Boardのソリューションは、国内の様々なSIerやソリューションベンダとの連携によって提供されている。オンラインセミナーでは、それらのパートナー企業による講演も行われた。
日本企業のFP&A業務の実態を紹介した上で、CFOが果たすべき役割の重要性を指摘した講演では、CFOがリードする形で、FP&Aのための投資を積極化することを提言。CX(コーポレートトランスフォーメーション)を見据えた経営管理高度化の方向性を示した。
また、別の講演では、Boardを活用した仮説検証型経営管理を実現するために鮮度の高い適切な情報収集や、可視化による正しい状況把握、複数シナリオによるシミュレーション、「統合計画プラットフォーム」の必要性などに言及。資本コスト経営を見据えた経営DXをテーマにしたパートナー企業は、事業を見極める力、計画を立てる力、実行管理する力、将来意思を数値にする力の4つが重要であると訴えた。
さらに、管理会計を実践する上では、ERPよりも先に「経営管理システム」を整備することが重要であるという考えを示すパートナー企業の講演も行われた。
非財務情報の収集や分析にも活用できるBoardの特徴を理解してもらうため、ESGデータ収集管理機能を紹介する講演も行われた。サプライチェーンGHG(温室効果ガス)排出量を収集・分析するデモンストレーションは非常に好評だったようだ。
この他、次世代のFP&Aをテーマにした、BoardとAIを組み合わせた活用例を紹介するパートナー企業の講演も行われた。
様々な切り口で活用できるBoardの魅力が存分に伝わってきた。すべての講演を通じで、「組織を動かすDX」や、令和版「論語と算盤」経営の実践に役立つ情報が満載のオンラインセミナーであった。
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