重要システムの新たな選択肢

サーバー、Linux OSの長期保守サポートサービスを経験豊富な2社がワンストップで提供

企業内には、不変的な機能の提供を使命として運用されている重要システムが多数存在する。それらのシステムは長期間にわたって運用されており、Linux OSを採用している場合が多い。そこで常に課題になるのが、サーバーおよびLinux OSのライフサイクルだ。機器の更改やLinux OSのサポート終了を加味しながら、安心・安全なシステムの安定運用をどう実現するか――。そのためのLinux運用設計の方法に、今、新たな選択肢が登場し、注目を集めている。
エフサステクノロジーズ株式会社
コアプロダクト事業本部
データセンタ事業部
Linuxビジネス開発部 マネージャー
橋本 健
サイバートラスト株式会社
OSS事業本部 執行役員本部長
青山 雄一

重要システムのLinux運用設計で
課題になりがちな問題は

 DX時代のシステム開発・運用において、アジャイル、DevOpsといったビジネススピードを高めるための方法論は不可欠なものとなっている。一方、ビジネスの根幹を担うシステムでは、長年にわたり機能や仕様の要件が変わらないことが多く、むしろ「変えずに維持する」ことこそがミッションといえるだろう。特に社会基盤を担う公共事業者や自治体、金融機関、製造業などの世界では、そのようなシステムが中核を担っている。

 これらを支えているのがLinux OSだ。OSS(オープンソースソフトウエア)のため、特定ベンダーへのロックインに陥らない。また、長年の基幹業務を採用の実績から、重要システムの安定運用に向いたOSといえるだろう。

 だが、そんなLinux OSにも課題はある。大きなものが運用コストだ。

 例えば、一般的なLinuxの開発ではアップデートを頻繁に行うことで最新技術を提供している。一方、セキュリティーパッチは最新のアップデートに対し提供されるため、結果、頻繁なアップデートが必要となる。これは「変えずに維持する」ことが求められる重要システムの安定運用には不向きである。

 「事実、当社には2024年6月末にメンテナンスが終了したCentOS Linux 7に対する延長サポートへの要望が多数寄せられており、長期保守サポートサービスを利用したいお客様が多いことを強く感じています。とはいえ、一社でLinuxディストリビューションを維持していくことはリソース面や継続性の面でハードルが高いという現実があります」と話すのはサイバートラストの青山 雄一氏だ。

 そこで、サイバートラストとエフサステクノロジーズは、CentOSの突然の終了という事態に対する反省として生まれた商用Linux互換のAlmaLinuxに注目した。AlmaLinuxは複数の企業・団体が参画するAlmaLinux OS Foundationを中核とし、ニュートラルな体制により運営されている。一社に依存した提供形態となっていないため、急なメンテナンス終了などの事態が起こりにくいからだ。

AlmaLinux OS
サポートサービスを
ハードウエアと組み合わせ
ワンストップで提供

 その上で両社は、重要システム基盤を長期安定運用可能なLinux環境で構築するための新たな選択肢となるソリューションを発表。これが今、多くの企業の注目を集めている。

 「『AlmaLinux OS』、当社のPCサーバー『PRIMERGY』、および両方に対する保守サポートサービスをワンストップで提供するものです。両社が連携することで、ハードウエアとソフトウエアのどちらに起因するか切り分けが難しい問題に対しても速やかに対処できるようになります」とエフサステクノロジーズの橋本 健氏は説明する。

 具体的には、エフサステクノロジーズが一次窓口となってすべての問い合わせを受ける。Linux OSの修正が必要となる場面では、国内初のAlmaLinux OS Foundationプラチナスポンサーであるサイバートラストと協働して取り組むという。

 このソリューションには両社それぞれの強みが生かされている。

 まずエフサステクノロジーズは、重要システムの安定稼働を担ってきた富士通エフサスが、富士通のサーバー、ストレージ、ネットワークなどのハードウエア事業を統合する形で2024年4月に誕生した企業である。

 「20年以上にわたり、社会基盤や金融機関などの重要システムを支えるインフラ、ソフトウエアおよびそれらに対するサポートを提供してきました。国内250人以上のLinux専任技術者が、お客様の重要システムの問題解決を支援します」と橋本氏は紹介する。重要システムの保守・運用について、豊富な知見と実績を有している点も同社の強みだ。

 一方のサイバートラストは、AlmaLinuxをはじめ、多様なLinux OSの知見を備えたLinux ディストリビューションベンダー。その土台には、20年以上の間、国産Linux OS「MIRACLE LINUX」を開発・提供してきた実績がある。

 「AlmaLinuxについては、OSそのものに関する理解はもちろんのこと、プラチナスポンサーとして機能の改善・追加にかかわるコミュニティへの働きかけが行えることも強みです」と青山氏。例えば、対応に急を要するセキュリティー上の脆弱性が発見された場合は、独自パッチの提供と並行して、コミュニティへ反映の要請をかけるといったことが可能だという。

 ちなみにAlmaLinuxのコミュニティでは、CVSS※の一定レベル以上のリスクについて、すべて対応することを明言している。米国政府の調達基準にも採用されている暗号モジュールの国際安全基準「FIPS 140-3」の認証を取得する最終段階にあり、重要システムの基盤に欠かせないセキュリティー要件についても、十分に満たすOSであることは付記しておこう。

 両社が共に国内ベンダーであることも重要なポイントだ。例えば、マルチバイト文字に関するノウハウを持つ海外ベンダーは多くない。「このような日本特有の問題に対応し、また日本国内で99%解決する体制を構築することで、日本国内のお客様の要件に沿ったきめ細かなサポートサービスが提供可能となります」と橋本氏は語る。
AlmaLinuxサポート体制
AlmaLinuxサポート体制

マイナーリリースを固定した
長期保守サポートサービスを提供

 2024年10月現在、同ソリューションではPRIMERGYとAlmaLinux OSに対する一般的な保守サポートサービスのみを提供中だ。ここまで紹介した強みのいくつかは、今後のソリューション強化によって実現されていく。

 「2024年度内をめどに、AlmaLinux OSに対する長期保守サポートサービスを提供予定です。特定のマイナーリリースに対して脆弱性に対するセキュリティーパッチ提供などを継続的に行うことで、マイナーリリースを固定したままシステムを使い続けたいお客様のニーズに応えます」(橋本氏)。この長期保守サポートサービスこそ、重要システムに大きな価値を提供するものといえるだろう。

 元々PRIMERGYは長期保守を強みにしたサーバー製品ラインアップを用意していることでも知られている。ハードウエアも一体で提供される本サービスであれば、長期保守においてもハード/ソフトウエアのライフサイクル管理に手間取ることはないだろう。また、AlmaLinux OSの長期保守サポートサービスはクラウド向けにも提供されるため、クラウド/オンプレミスのハイブリッド環境でLinuxシステムを稼働しているユーザーも、長期保守サポートサービスの恩恵を受けられる。ユーザーは、その分の人的リソースをより戦略的な業務に充てられるようになるはずだ。

 戦略的協業のもと、重要システム向けのLinux OSの世界に新たな選択肢を提供する両社。「長期間にわたるサポート」「ハード/ソフトウエアのライフサイクル管理からの手離れ」といったメリットを備えた同ソリューションは、本来やるべきシステム戦略にリソースを集中したいと考える企業・組織に、大きな価値をもたらすものといえそうだ。
Common Vulnerability Scoring System(共通脆弱性評価システム)。情報システムの脆弱性に対する汎用的な評価手法として、ベンダーに依存しない評価方法を提供する。これを用いることで脆弱性の深刻度を同一の基準のもとで定量的に比較できる
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