既に製品ベンダーではない?

意外と知られていないデル・テクノロジーズの真実とは
ベンダーニュートラルを徹底的に貫く

「製品ありき」ではない

コンサルティングを提供

サーバー、ストレージ、PC、ネットワーク機器など、多くのエンタープライズ製品を提供するデル・テクノロジーズ。世界的な製品ベンダーであることは周知の事実だが、製品以外にITライフサイクル全般にわたるサービスを提供していることはあまり知られていない。実は、製品ベンダーの枠を超えたもう1つの顔を持っているのだ。本連載ではITライフサイクルサービスを3回にわたって深掘りし、その実像に迫っていく。第1回となる今回はコンサルティングサービスに焦点を当ててみたい。

課題解決のロードマップと「現実解」を提案

デル・テクノロジーズがコンサルティングサービスの本格展開を開始したのは、2000年までさかのぼる。以来、年平均200件以上、トータル約1万件ものコンサルティングを手掛け、多くの顧客の課題解決に貢献している。

デル・テクノロジーズ株式会社
コンサルティングサービス本部
ITXコンサルティング部 部長
若松 和史氏

同社は世界トップクラスのハードウエアベンダーとして、グローバルレベルで様々な企業のIT及びデジタル環境の高度化を支援している。顧客の課題解決やDXの推進に向け、どのようなIT環境が必要なのか。それを理解していることが大きな強みだ。長年のグローバルビジネスの中で知見とノウハウを培ってきたからこそ、それぞれの企業に最適なIT環境を提案できるというわけだ。

この活動を担っているのがコンサルティングサービス本部だ。グローバルのメンバーは2000人以上、国内だけでも約100人体制でコンサルティングを展開しているという。

デル・テクノロジーズ以外にも多くの企業が「コンサルティング」を行っているが同社のコンサルティングは何が違うのか。同本部 ITXコンサルティング部 部長の若松 和史氏はその特徴を次のように語る。

「当社のコンサルティングは、理想形の『To be』を描いて終わりではありません。何を、どこまで、それをいつまでに実現するのか。先進技術の動向を考慮しながら、コストを明確化し、地に足のついた『Can be=現実解』を提案しています」

数枚にもわたる巨大な紙に顧客企業のシステムの現状を見える化していく

同社のコンサルティングの流れはおおよそ次の通りだ。まず顧客企業のビジネスとIT環境を調査し、セキュリティー及びオペレーション上のリスクや課題を把握。それがどの業務に、どんな影響を及ぼすかまで詳細に落とし込んでいく(写真)。「サーバー、ストレージ、ネットワークの構成からアプリケーションやバックアップ体制、制御機器に至るまで、一つひとつを調査します」と若松氏。その正確性、きめ細かさにほとんどの顧客企業が一様に驚くという。その上で「As is」から将来的な「To be」に近づけるためのロードマップを策定し、そのギャップをCan beで埋めていくわけだ。

コンサルティングはITシステムだけに限らない。顧客の要望によっては、稼働後の運用まで見据えた構成管理を作成し、運用体制の最適化や人材育成まで支援しているという。

製品部門から独立した
中立組織として活動

注目したいのは、こうした支援を“ベンダーニュートラル”で行っている点だ。自社の製品・サービスにこだわらないリファレンスアーキテクチャを提供する。

例えば、Can beの実現にサーバーの更改が必要になるからといって、デル製サーバーありきの提案はしない。顧客の求める要件、性能、コストなどを総合的に勘案して、マルチクラウドも含めた最適な提案をするという。

なぜこうした活動が可能なのか。「コンサルティング部門は、製品部門から独立した中立的な組織構成となっています。異なるKPIで活動しているため、自社製品ありきではない、お客様を第一に考えた活動が可能なのです」と若松氏は語る。

様々なバックボーンを持つ人材の多様性も大きな強みだ。サーバーやPC製品を主力とするDellと、エンタープライズ向けストレージ製品のリーディングカンパニーであるEMCが合併して、デル・テクノロジーズが誕生した。各プロダクトに精通した人材が豊富に揃っている。

キャリア採用も進めており、ITコンサルティングやデジタルマーケティングのプロフェッショナル人材、SIベンダーや事業会社でプロジェクトマネージャーを経験したエキスパートも多い。

「互いの知見を共有したり、グローバルのベストプラクティスを学ぶ教育プログラム、社外有識者による勉強会なども開催し、常に研鑚に努めています」と若松氏は述べる。だからこそ、最適なインフラやシステムを提案・構築するだけでなく、ビジネスで結果を出す活用フェーズまで幅広く支援できるのだという。

4つの領域でビジネスの高度化を幅広く支援

デル・テクノロジーズのコンサルティングサービスは大きく4つの領域がある。「マルチクラウドトランスフォーメーション」「データ利活用/生成AI」「ワークフォーストランスフォーメーション」「レジリエンシー&セキュリティー」だ(図1)。

「マルチクラウドの最適活用」「全社横断型のAI/データ利活用」「ワークスタイル/コミュニケーション変革」「セキュリティーおよびレジリエンシーの向上」まで幅広く対応し、ビジネスの課題解決と新たな価値創造を支援する

1つ目の「マルチクラウドトランスフォーメーション」では、クラウド化が可能なシステムとオンプレミスを継承すべきシステムを仕分けし、適材適所のクラウド活用方針を策定する。システムおよびデータの移行計画を策定し、移行後のクラウド運用モデルの標準化もサポート可能だ。

2つ目の「データ利活用/生成AI」では、データドリブンなビジネスへの変革を支援する。「AI/データ活用基盤の設計・導入するだけでなく、お客様組織内にデータサイエンスチームを設立。セキュリティーおよびガバナンスを考慮したデータ運営プロセスを定義し、お客様自身がデータ分析・活用による業務改善PDCAサイクルを推進し、ビジネス価値を向上させる施策を立案・実行できるように自走化までサポートします」(若松氏)。

マルチクラウド化とAI/データ活用は密接にリンクしている。この活動はDevSecOpsを組み込んだフレームワーク「デル・デジタル・クラウド(※)」をベースに進めていく。マルチクラウド化を軸にインフラを最適化し、それをAI/データ活用基盤の構築につなげていくわけだ。これにより、年間数十億円のコスト削減に成功したケースもあるという。

※デル・デジタル・クラウド:Dell Technologiesの社内ITを指す。顧客に最適なMultiCloudソリューションを提供するためのショーケースとしても運営されている

3つ目の「ワークフォーストランスフォーメーション」は、ITのみならずオフィス環境や人事制度、企業文化を踏まえた多様な視点から働き方改革を支援するもの。最後に4つ目の「レジリエンシー&セキュリティー」は、サイバー攻撃をはじめとするセキュリティーリスクに対するデータ保護領域を定義し、データ侵害の発生に備えたリカバリー計画と運用手順の策定まで支援する。災害発生時の事業継続を確保するディザスタリカバリー環境の策定と実現もサポート可能だ。

4つの領域は現状の課題を明らかにし、あるべき姿を描き、そのギャップを埋めるCan beの実現を目指すのが基本的アプローチだが、実装や組織変革まで踏み込まず、アセスメントのみの利用も可能だ。顧客ニーズに合わせて、コンサルティングのフェーズを柔軟に選択できるのも特徴の1つである。

コンサルティングサービスのエンゲージメントを高める施設も整備した。それが2022年1月にオープンしたイノベーション共創施設「エグゼクティブ ブリーフィング&ソリューション センター」(以下、EBSC)だ。東京都・千代田区の本社「Otemachi One」17階にある。各ソリューション分野の国内外スペシャリストによる情報提供やディスカッションを行えるほか、最新のIT機器を無償で利用できるという(コラム参照)。

プリセールスの中で
無償のワークショップも

デル・テクノロジーズはコンサルティングサービス本部だけでなく、製品・サービスの提案段階でも顧客に寄り添う活動を展開している。その象徴が「アクセラレータワークショップ」だ。

トランスフォーメーションの第一歩を踏み出したいが、何から始めていいか分からない。そうした企業を支援するためのサービスで、原則として無償で行われているという。

スペシャリストのアドバイスのもと、実証された手法やベストプラクティスに基づく半日間のワークショップを実施し、その結果をレポートとして提供する(図2)。

直面する課題を整理・理解した上で、戦略やビジョンを策定し、想定効果も明示化する。
現状と目指すべき姿のギャップを埋めるロードマップも優先順位を付けて示すため、ゴールをイメージしやすくなる

デル・テクノロジーズ株式会社
サービスビジネス営業統括本部
サービスプリセールス本部
コンサルティング アドバイザリー
ソリューション プリンシパル
池田 司氏

アクセラレータワークショップには様々なテーマが用意されている。中でも、近年特にニーズが高いのが、データ活用戦略や生成AIの活用に関するテーマだという。サービスプリセールス本部でコンサルティング アドバイザリー ソリューション プリンシパルを務める池田 司氏は次のように説明する。

「データや生成AIに関しては、経営陣からビジネス活用の命を受けたものの、自分たちの考え方ややり方が本当に正しいのかという不安を持っているお客様が少なくありません。ワークショップでどのような課題があるかを浮き彫りにし、その解決策としてデータや生成AIの活用法を考えていきます。ステークホルダーや意思決定者の合意を取り付け、会社の方針に沿った形で実装していく方法論を学ぶことができます」

ワークショップを支援するコーチ陣のスキルアップにも継続的に取り組んでいる。「生成AIの技術や活用スキルに秀でた各国のエキスパートが参加するブートキャンプをグローバルレベルで開催。そこでトレーニングを受けた“チャンピオン”がエバンジェリストとなって、自国のスタッフのスキルアップをけん引していきます。こうした取り組みにより、最新の技術トレンドやユースケースを素早く提供できるのです」と池田氏は語る。

自走化で成果を上げる
Copilot活用の現実解

生成AIやデータの活用は顧客の関心が非常に高い。ワークショップをフックとして、コンサルティングサービスへの展開につながるケースも少なくないという。なかでも最近はMicrosoft WindowsやMicrosoft 365に実装された生成AI機能「Copilot for Microsoft 365」(以下、Copilot)の活用を模索する顧客が多いという。

これを企業の業務プロセスの中に埋め込んでいくには、統合的なデータ基盤を構築し、学習用のデータセットの整備も必要になる。そのデータを保護し適正に利用するセキュリティーやガバナンスの仕組みも欠かせない。さらに質の高いデータを収集したり、AI活用戦略をリードするデジタル人材を育成するなど、組織全体のAI活用スキルの底上げも必要だ(図3)。

AI開発はデータマネジメントが重要なポイントになる。そのデータマネジメントは「データ基盤」「データ運用」「人材育成」が3本柱になる。
高品質なデータによる学習が可能になり、AIの精度が向上していく。デル・テクノロジーズはこの取り組みをトータルにサポートする

デル・テクノロジーズはコンサルティング部隊とプリセールス部隊が連携し、こうした取り組みをトータルにサポート。既にその実績も豊富にあるという。

「Copilotを導入する際はベストプラクティスをもとに、お客様にとって最適な活用形態を提案し、スモールスタートでクイックウィンを目指します。まず成功体験をつくり、それをスケールしていくやり方が最も効果的だからです。利用定着に向けた運用マニュアルの作成、組織の横展開に向けたロードマップ策定、さらにAIの精度向上や効果創出の最大化に向けた継続的な改善サイクルの自走化まで支援します」と池田氏は説明する。

Copilotをはじめとする生成AIだけでなく、機械学習と組み合わせたより高度な利用もサポートできる。「将来的にはメタバースとAIを融合させた活用を提案し、新たなビジネスモデルの創出を支援したい」と若松氏は展望を語る。そのための技術やノウハウの習得に向けて既に動き始めているという。

このようにデル・テクノロジーズは製品部門から独立した中立的な組織が、顧客に寄り添う付加価値の高いコンサルティングサービスを展開している。コンサルティングサービスはデル・テクノロジーズが展開するITライフサイクルサービスの一例に過ぎない。次回以降で製品ベンダーのイメージを覆すITライフサイクルサービスをさらに深掘りしていく。

EBSCコラム


新たなビジネスを共に考え、価値創造を推進

Executive Briefing & Solution Center(通称:EBSC)は「ブリーフィングルーム」「ショーケース」「CSCデーターセンター」という3つのエリアで構成されている。

ブリーフィングルームはオンラインとオンサイトを組み合わせたハイブリッドなブリーフィングを提供する場。世界中の社内プロフェッショナル人材と様々なビジネステーマについて議論し、洞察を深めることができる。

ショーケースには「デジタルトランスフォーメーション」「Edge/5G」「Work from Anywhere」「Social Impact(サステナビリティ)」の4つのテーマ別ゾーンがあり、パートナー企業とのエコシステムで提供する幅広いソリューション・ポートフォリオを“体験”できる。

CSCデーターセンターは最新のサーバー、ストレージ、ネットワーク機器を無償で利用可能だ。顧客はここで実際の稼働環境を事前に構築し、動作検証・パフォーマンス試験を行える。データーセンター内には5Gの専用通信ラボ「Open Telecom Ecosystem Lab」や「Dell Technologies AI Experience Zone」「SAPコンピテンシーセンター」も併設。最先端の知見と経験を有する海外チームメンバーがオンラインでサポートし、最新技術トレンドのビジネス活用を共に考えていける施設となっている。

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