既に製品ベンダーではない?

意外と知られていないデル・テクノロジーズの真実とは

「計画」から「導入」「運用」「リサイクル」に至るまで

なぜすべてのフェーズを埋める

ITサービスを展開するのか

これまで2回にわたってデル・テクノロジーズのコンサルティングサービス保守サービスについて紹介してきた。ただし、それは同社が提供するITライフサイクルサービス全体の一部にすぎない。特徴的なのは「計画・デザイン」「導入・構築」「運用・サポート」「リサイクル・最適化」とITライフサイクルのすべてを網羅する多彩なサービス群を展開している点だ。具体的にどのようなサービスがあり、その活用によって企業はどんなベネフィットを得られるのか。3回目は全体を俯瞰し、デル・テクノロジーズが目指す世界観や戦略に迫ってみたい。

ITライフサイクルのすべてを網羅するサービスを提供

デル・テクノロジーズのITライフサイクルサービスは大きく4つのフェーズに分かれている。コンサルティングサービスを提供する「計画・デザイン」、ニーズに合わせた製品の提供と導入を支援する「導入・構築」、その保守サービスや運用支援を展開する「運用・サポート」、IT機器の回収と買取を行う「リサイクル・最適化」だ(図1)。ここからは主にこれまで紹介しきれなかったフェーズに焦点を当て、その全体像を見ていきたい。

顧客の課題解決やゴールの達成に向けて、最適なシステムやテクノロジーの活用を提案。
その設計から構築、導入、保守や運用支援、さらに製品の廃棄やリサイクルまで網羅的にサポートする

まずコンサルティングによって導き出されたシステムを具現化するフェーズとなるのが「導入・構築」だ。

このフェーズに共通するのは、「顧客に負担をかけることなく、いかにスムーズに導入をサポートするか」にきめ細かく配慮している点だ。

デル・テクノロジーズ株式会社
執行役員
サービスビジネス営業統括本部
サービスプリセールス本部 本部長
山口 浩直氏

例えば、PCに関しては、工場でのキッティング、Windows Autopilot(自動化ツール)やMicrosoft Intune(運用管理ツール)を活用し、クラウドベースのPC展開を行う「デル プロビジョニング」を提供。イメージングや手動セットアップの必要がない「ゼロタッチプロビジョニング」を実現し、管理者の負担を大幅に軽減する。もちろん、ユーザー側のメリットも大きい。手元に届いた瞬間にPCをすぐに使い始めることができるからだ。

同様のサービスはサーバーやストレージといったエンタープライズ製品でも提供している。その1つが「ラックインテグレーションサービス」だ。「これは工場の生産ラインで、お客様のラック構成の仕様に合わせてサーバーやストレージをカスタマイズして出荷するものです。ハードウエアメーカーの強みとして、お客様の様々なご要件にお答えできる1つです」とデル・テクノロジーズの山口 浩直氏は説明する。ほかにも、BIOSやiDRAC(サーバーのリモート管理ツール)の設定から、デル・テクノロジーズ製以外のパーツも含めたハードウエア製品すべてのセッティングを行ってから出荷する「コンフィギュレーションサービス」もある(図2)。

工場生産ラインで顧客仕様のラック構成にカスタマイズして出荷する。
エンジニアが顧客サイトに出向き、実環境に合わせてカスタマイズやチューニングを行い、導入・稼働検証を支援することもできる

デル・テクノロジーズ株式会社
執行役員
サービスビジネス営業統括本部
統括本部長
高橋 歩氏

もちろん予め前段階で検証・設定していたとしても、システムを構築する現場では、それ以外にも様々な作業が必要になる。そこでオンサイト(顧客の現場)では、多様な作業に対応しているという。例えば「ProDeploy Enterprise Suite」は、エンジニアによる顧客サイトでの物理的な作業や導入支援作業を行う。ハードウエア設置作業からプランニング、環境構築やサーバー統合、データ移行なども支援するという。

「これらのサービスはプロジェクトマネージャーがリモートベースで窓口を一本化し、スケジュール管理も行うので、安心して任せていただけます。構築後も新しい機器の導入などによって構成変更があれば、エキスパートを派遣するなど、お客様の多種多様なリクエストにもお応えするカスタムサービスでお客様の高い信頼を得ています」とデル・テクノロジーズの高橋 歩氏は語る。

運用プロセスの最適化とその自走化も支援

導入に続く「運用」フェーズでは、顧客の人的リソースやスキル不足を補うサービスを提供している。
エンタープライズ製品向けの「レジデンシーサービス」はその1つだ(図3)。

デル・テクノロジーズのテクニカルエキスパートが企業のIT環境の運用をサポート。
対応領域は管理業務、日常業務、問い合わせ対応、改善業務まで幅広い。ニーズに応じて様々なタスクを選択できる

「エキスパートエンジニアがシステムやハードウエアの価値を最大限に引き出せるよう支援します。他社製品を組み合わせたシステム構成でもサポート可能です。我々が提供するサービスの最大の特徴は、単なるスタッフの派遣ではなく、お客様のITスタッフチームの一員として活動することです」と山口氏は話す。

具体的には、顧客の資産を可視化し、ベストプラクティスをもとに最適な運用プロセスを考案。自走化に向けた手順書なども作成する。「現有リソースやスキルの中で最適なシステム運用プロセスを考え、スキルの向上や運用改善までサポートし、生産性向上やダウンタイム削減に寄与します。そのため単なるリソースの補完だけではない価値をお客様へ提供できるわけです」と山口氏は続ける。

このほか、バックアップの効率化やシステムのパフォーマンス向上など、ビジネスの価値と効率性を向上させる改善策なども提案可能だ。

このレジデンシーサービスには3つのタイプがある。IT環境の運用を幅広く支援する「運用支援型」、改善業務を除いた対応を行う「構成変更型」、管理業務や日常業務の支援に特化した「リソース管理型」だ。自社の状況に応じて、利用するタイプを選択することが可能だ。

これに加え、デル・テクノロジーズが運用を代行する「マネージドサービス」も提供している。こちらも他社製品を組み合わせたシステム構成もサポート可能だ。生成AIやコンテナ化されたプラットフォームなど、新たなテクノロジーを採用した環境をフルマネージドでサポートすることもできるという。

運用支援はより高度かつ包括的対応に進化

運用支援はリアクティブな対応からプロアクティブな対応へと、その軸足を移しつつある。その象徴が2回目でも取り上げた「障害の予防保全」だ。サーバー、ストレージなどのエンタープライズ製品において、ハードウエア故障の予兆を自動で検知・通知する。ハードウエア情報やログを収集し、AIなどのテクノロジーを活用して「何が起きているか」を分析し、故障や障害につながる予兆をとらえる仕組みだ。

顧客に通知する際には、既に初動対応が動き出しているという。「お客様には交換パーツまで特定して連絡します。お客様が気付かないうちに、パーツの手配まですべて整えているのです。予防保全の仕組みはこのレベルまで研ぎ澄まされてきています」と高橋氏は語る。

これにより、日常的な監視業務の負荷を軽減できるだけでなく、保守の工数も削減できる。障害に至る前に対応が可能になるため、ビジネス継続性も向上する。

PCに関しては、ライフサイクル全体をカバーするサービスも提供している。それがPC運用サービス「Lifecycle Hub」である。これはPCのライフサイクルを統合管理するサービスだ。デバイスの選定、キッティング、修理や交換、代替PCの手配、廃棄/リサイクルといったサービス群を単体、または組み合わせて利用できる。

エンタープライズPCは、全社規模となれば膨大な台数になる。これを統合管理できるサービスはメリットが大きい。PCの導入・管理に伴うITスタッフの業務負荷を軽減し、大きなコスト削減も可能になるからだ。迅速なサポートは、社内ユーザーの満足度向上にもつながるだろう。

「あるお客様はキッティングや配布などPC導入作業をヘルプデスクで対応しており、年間約800時間もの作業工数を費やしていました。Lifecycle Hubを活用することで、その800時間を削減し、ヘルプデスクを担当していた社員は、社内DXの推進に集中できるようになったそうです」と山口氏は語る。

環境重視の「2030 Goals」を推進

こうして導入・運用されるエンタープライズシステムだが、それを構成する製品は通常数年サイクルで更改されていく。OSやアプリケーションのバージョンアップ、新たなテクノロジーに対応するためだ。IT機器の入れ替えや廃棄の作業は企業にとって大きな負担だ。しかも昨今は気候変動への対応や、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みが世界規模で進んでいる。廃棄やリサイクルにも環境への配慮やコンプライアンスが強く求められる。

デル・テクノロジーズはこうした「リサイクル」のフェーズでも幅広くサポートを展開している。この活動を支えているのが、デル・テクノロジーズが掲げる理念「2030 Goals」である(図4)。「お客様が購入された製品と同量の製品の再利用または再生利用を推進し、2030年までに梱包材の100%、製品部品の50%以上に再生可能材量を使うという目標を設定しています」と高橋氏は説明する。

サステナビリティの実現に向け、コンプライアンスと環境配慮を軸に、製品の再利用と再生利用を推進する。
アセットリカバリーサービスはこの2030 Goalsの理念に基づいて運営されている

この一環として提供するのが「アセットリカバリーサービス」である。IT機器の回収と買取を行うサービスだ。対象はPC、モニター、サーバー。デル・テクノロジーズ製品だけでなく、他社製品も回収と買取を行う。業界全体でサステナビリティを推進するという強い想いがその根底にある。

IT機器を査定後、機器を回収し、データを消去した上でリサイクル可能なものは再生可能材量として再利用する。そうでないものは法令に則って責任を持って廃棄し、証明書を発行する。

査定の結果、資産価値が残存するものはデル・テクノロジーズが買い取り、キャッシュバックする。「古いIT機器の処分に対する不安と労力を軽減できるだけでなく、買取によって利益に変えることができるのです」(山口氏)。

マイケル・デルの創業理念が全活動の源泉

ITライフサイクル全般にわたるサポートと2030ゴールに象徴されるサステナブルな活動。デル・テクノロジーズはなぜこうした取り組みを推進するのか。そこにはデル・テクノロジーズ会長兼CEOのマイケル・デルが最も大切にする「お客様満足度を第一に考える」という創業精神が根底にあるのだという。

またデル・テクノロジーズの沿革自体も大きな強みとなっている。というのも同社は、PCやサーバー製品に強いデルと、エンタープライズ向けストレージのリーディングカンパニーであるEMCの合併によって誕生したからだ。互いの強みを掛け合わせ、相乗効果を高めることで、幅広い領域にわたって高品質なサポートの提供が可能になったわけだ。

「常にお客様の立場に立ったサービスを考え、組織や仕組みを整備・強化し、新しいテクノロジーも積極的に採用していく。デル・テクノロジーズのITライフサイクルサービスはこうして進化を続けています」と山口氏は話す。

高い顧客満足度を得るためには、働く従業員の満足度向上も欠かせない。デル・テクノロジーズにとって、この2つは車の両輪のようなもの。顧客満足度を追求するために従業員満足度も高め、社会全体の価値向上につなげていく考えだ。

コラム


AIでビジネス成果を出すITサービスを提供

これまでITのライフサイクル全体を支援するデル・テクノロジーズのサービスについて述べてきた。最近ではそうしたITサービスを組み込んだフルスタックソリューションも提供している。

その象徴的な例といえるのが「Dell AI Factory」である(図5)。これは、顧客のデータを「入力」として受け取り、AI機能が搭載された幅広いインフラストラクチャーを活用しつつ、独自のソリューションや技術を持つ企業、スタートアップ企業とも連携。これらをベースとして、様々なユースケースを用いながら顧客のAI導入の戦略立案、データの利活用の推進、生成AIプラットフォームの導入、実装を促進し、顧客のビジネス成果として「出力」する仕組みだ。

この仕組みを利用することで、AI/生成AIの実装、活用をより簡単かつ効果的に進めることが可能になるという。

Dell AI Factoryの大きな特徴は、検証済みのアーキテクチャを通じて迅速な導入と、All in oneで即時利用可能なソリューションを提供していること。つまり、松竹梅のように事前に大まかな構成を組みつつ、顧客のビジネスニーズによって柔軟に組み合わせて選択するといった利用ができるわけだ。

またオープンな技術を採用しているため、ベンダーロックインを防げる点も大きなメリットである。このように、デル・テクノロジーズの強みは、コンサルティングサービスのもと、強力なハードウエアとエコシステムから自在に戦略の立案が可能である点だといえるだろう。

なぜデル・テクノロジーズがフルスタックな「Dell AI Factory」を提供できるのか。それはコンサルティングサービスをはじめとしたITライフサイクルサービスを提供してきたことはもちろん、社内でのAI/生成AIの活用も積極的に進めてきているからだ。

2回目で触れたように、サポートにおける障害切り分けにAIを活用し、原因の特定の迅速化を図るといったことはその一例だ。また、顧客向け提案書の作成支援にもAIが活用され、作成時間の短縮とともにミスの発生を低減させている。このほかにも、海外のインサイドセールスではCopilot for Salesを採用することで事務作業を効率化し、そこで捻出した時間を顧客とのコミュニケーションに割くなど効果が出ており、日本においても導入準備が始まっている。

このように、社内で生成AIに関する数百のユースケースを評価し、最も価値のあるユースケースを特定しているからこそ、価値あるAI/生成AIの活用を提案し、ビジネスの成果につなげることができるわけだ。

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